表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優しすぎる王の国  作者: さもはさうえい
5/5

優しい王

今日は花嫁お披露目の日。城のバルコニーの下には噂の皆の為に一人頑張っていた少女。何年も王に片思いし、その愛に気付き。それをやっと受け入れてもらえた少女の花嫁姿のお披露目だと国民や他の国からの見物者が押し寄せていた。


「駄目、だめよ。リーザ。見えてしまうわ」


肩と背の大胆に空いた黒のドレスは一族以外は純白の露出のないドレスに見えている。それは分かるが先ほどから彼は私の肌に唇で痕をつけていく。


「本来なら見せたくない。この姿が晒されると思うだけで嫉妬でおかしくなりそうだ」


言葉。顔。行動を彼は度々、私に幻を見せて誤魔化していたが、私が他者に関わると狂ってしまう。彼は一族らしく嫉妬深い女神に似ている。幽閉。地下で王とラブラブ同居している虚ろで濁った光の無い目の女神から同情された。


「いい子にして……ね?」


抱き締めて頭を撫でてやるがお腹が邪魔でくっつけない。機嫌を直そうとしたが、舌打をした彼がよい顏で腹を撫でる。


「……早くでてけよ?」


「リーザ!」


名を呼んで叱ってやると少し、しゅんとして、情けない顏で後ろを歩く。ここでの年月は怖ろしい程に遅く出来ている。だから、赤ちゃんもと思ったけれど、そこは普通らしい。


だが、普通ではないのは妊娠していても多少の無理が出来てしまう事だ。


毎夜。彼は来る。あのランプは焚いた相手を性的な意味でとろけさせてしまう物で毎夜焚かれてしまう。以前は半覚醒状態だったが、その要素は消えている。


イネ様。お母様は「三人目くらいで少し減った」と言うが、このまま続きそうな気がする。


外へのカーテンを夏蓉とその旦那である男性が引く。あれから直ぐに男性が来て運命だと言っていないのに珍しい事だと術が施されず。混乱する彼を何とかしろと無理矢理に番わされた。


この旦那様は少しうちの王寄りの人間で依存して執着して寧ろ男から彼女に責任を取れと迫ったらしい。泣いて嫌だと言う彼女に紙を渡してやった。私の名の書かれた紙だ。


彼女には名を教えてあげた。泣いてこれを御守りに励みに宝にすると言われあの日のように抱き締めてやれば落ち着き。子を産んでここの生活を約束して離縁すると言っていた。


が、男性を見れば分るが痛いくらいに瞬きも無いくらいに彼女を見ている。彼女しか目に入っていない。だから多分。出来ないと思う。


そんな彼女を哀れみながら手を振る。そして目を閉じた。光り出す私に驚く人々。徐々に私の髪が金に変り、瞳は淡い紫に変っていったからである。


頑なだった彼女の呪いが解けたと皆、喜んでいるのが見えた。成功だ。実は見せてるだけで変わっていない。演出だ。


皆の髪の色を見るとたまに濃い色が見える。その中に目立つ赤を見つけた。彼は私を化け物を見る目で見た後で悲しい顏でその場を去る。実は呪いで負の感情に蝕まれた少女の呪いは解けた。彼女の呪いは消えたと広める予定だ。


「皆様に呪い(祝福)を……」


この言葉は別の言葉に変換されているだろう。私も子の成長と共に使えるようになった。私の言葉に怖いくらいの笑顔で喜び。優しく寄り添う王は少女にキスをする。ディープキスにお尻を揉んでいるがこれも見えてない。


呪いをと言ったのに皆には祝福されている。愚かな国だ。愚かでま嘘だらけの優しさしかない。不幸の国。白の花びらが撒かれる。花だけは白い。その根は真っ黒だけど皆には灰色に見える。


城も王の好みで内装は深く濃い色だ。白だと思っていたメイド服も実は黒と白だった。何が本当で嘘か分からない世界。


「愛してるよ。美月」


だけど、この言葉だけは本当であって欲しい。あの女神みたいにあの感情が爆発した時みたいになりそうで怖いからだ。


「私もよ。永遠に愛し合いましょう」


そう言うと荒い息で抱き運ばれてしまう。皆にはまだ手を振っているように見えるはずだ。今日は朝からか、とため息をつく。これが嘘なら幻なら良いのだけどと思う自分がいる。流石に毎日はきついのだ。


それから数年。また私に子が出来た。





「おばあ様!ご懐妊おめでとうございます」


()()に言われ苦笑いで感謝をする。私はもうひ孫がいる年齢になった。意外な事に彼は赤ん坊を子を愛せる人だったらしい。ただ困ったのはこれは愛の証だと喜び過ぎて何度も何度も作ってしまう事だ。まだ身体は18なのに野球チームが出来るくらいには生まされてしまった。


予感は当たり彼は飽きない。あの頃のまま狂ったままだ。私は私よりも狂った人間が隣にいて恐れてた事態にはならなかった。愛も信じている。毎夜。毎夜言われれば信じるしかない。しかも返事をしないと直ぐに悲しむ。


「奥様。王がお呼びです。何処にもいない発狂しかけているのでお早く」


「一人でお茶も飲めないのかしら……今、行くわ」


逃げられず、あの女神のように絆されてしまったシャロンが呼んでいる。彼女の旦那に本名で呼ばないでくれと頼まれた。本当の名は自分と子だけにと願われてしまったからだ。


彼女は記憶を消された。私の本当の名も覚えていない。だけど、鍵の無い箱をたまに撫でいる。忘れたフリかもしれない。


私も彼には外ではアヤと呼ばれている。シャロンと違うのは子にも言わない事。そこだけは譲らない。譲らないで思い出したが、よその国の一部では残酷王と呼ばれているらしい。小国だからと攻め込もうとした国を実は何度も女神の力で滅ぼしたからだ。噂はここには来ない。聞いても消される。


ハルナの……王子の国も攻め込んでいないのに理由もなく消された。あの一族は途絶えたと聞く。なのに流れる噂は平和な物ばかり。私の妊娠も認識のおかしい国民は祝うのだろう。やはりこの国は安泰の国だと喜ぶんだ。


安泰の国。


ここは永遠にそう呼ばれる。残酷で冷酷。そんな王は嫁と子だけには優しい王だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ