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優しすぎる王の国  作者: さもはさうえい
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安泰の国

なんちゃって異世界ファンタジー。暗いです。メリバ……です。

淡い色の建物。淡い色の服。食事は濃い色の物あるが、それも嫌なら色変えができてしまう。髪、瞳すらも変えられる濃い攻撃的な色の無い国。それがこの国だ。


国民の皆は優しく。犯罪など起きない。別の国の人間が犯罪をする為に訪れても毒気を抜かれて起こせないので犯罪を取り締まる者が居る意味がほぼ無くらいだ。この国は優しい王様のおかげで、成り立っている。



これは優しい国と……この国で一番優しい王様と優しくなれない私の物語だ。




気が付けば知らない場所に居た。見た事ない白い壁に天井知らない景色。ぺたぺたと自分の身体を触って、みたけどこれは本当に自分の身体なのかと思う程の違和感。何かが大きく欠けている気がする。


さらりと耳から落ちた髪に私は黒い長い髪だと分った。少し厚手の黒い長袖の赤いスカーフのついた服。重いくらいの黒のスカートに白い膝までの靴下に革靴。物も名前は一部だけ分かる。自分の名前も考えれば浮かんだ。


だけどここがどこで私が何者かが抜けている。思い出せない。どうしようと不安で泣きそうになって、いると何処かから悲鳴が聞こえた。その声の方向へ行けば誰か人が居る。そう思って慌ててその場所に走った。


「ここどこなの?わたし、なに?わかんない!わかんないよ!」


そこには少し茶色い髪の女の子。だけど服は違う子が居た。とりあえず激しく泣いているので駆け寄って声をかける。


「大丈夫?その様子だと貴女も同じ状況みたいね?」


女の子が顔を上げこちらを見た。ぱっちりとした可愛い茶色の瞳の女の子。私の存在に安心したのか少し泣き止んだ。彼女の涙で涙も引っ込んだので冷静に周りを見る。


正面に大きな重そうな扉が見え。出口はそこしかない。なので、そこを目指そうとその子を起こす。二人手を取ってさあ行こうとした時。その重そうな扉が開いた。


「まあ!お迎えが遅くなって申し訳ございません」


ベージュの優しい髪。そして異常だと感じてしまう桃色の瞳の女性が現れた。警戒しつつ行く当ても記憶もないので後についていく事にするしか無い。


ここは『安泰(あんたい)の国』そう呼ばれているので無く。本当にそんな名前の国らしい。この国には稀に異世界から来た者が迷い込む。その者は皆、生まれた国の事をあまり覚えていない。これは何故なのか未だに解明されてしないと悲し気に言われてしまった。


国の事はまだ良い。だが家族の事。何をしていたのか何歳なのかも分からない状態で来てしまうらしい。そんな哀れな者達にこの国は国民全てで助けると決まりがある。それは昔の王からの命令。今もまだ続く伝統。暮しも仕事も支援するから安心してくれとまるで天使の様な笑みで話された。


そんな信じられない話の途中で周りを見るが全てが白く淡い。飾られている高価そうなものすらも濃い色が無い。通り過ぎる人も白の服を着ている。異常だと思った瞳の色。ここで普通みたいだ。


髪も瞳もまるで白の絵の具を必ず混ぜたみたいに淡い。その中で私と隣の彼女は異質だった。濃い色が多い。何だか何とも言えない寒気を覚え拳を握る。


俯いて見た床も白に金の縁のカーペット。革靴と黒いスカートが浮いている。場違いだ。ふと隣の子を見る。紺の上着の白のシャツに赤いリボン。濃い緑と黄いろのストライプのスカートを着ている子を見て心を何とか落ち着けた。


同じだ。場違いな仲間が居るんだ。彼女も不安なのか握る手が強くなる。


「王がお待ちですよ」


白の大きな扉を磨かれたシルバーの甲冑の騎士が開けた。ぽんぽんと色んな名前言葉が出てくるのに家族や自身の国の事は不自然な事に出て来ない。


「やぁ、今回の迷い子は二人か……しかも少女。可哀そうに不安だったろう」


美しいクリーム色の美しい金の髪。それは長く。膝の近くまで伸びている。薄い水色のキラキラと光る優しそうな瞳。少し白い肌。薄い唇に長いまつ毛。白く長い布を巻き付けた様な服を着ている。低い声とその身長や骨格を見なければ男性だと思えない姿。まるで絵画だ。


手が離された。離された方向見れば両手で口を押さえ「綺麗」と目を見開いて呟いている。仕方ない事とは言え。不安で離された手を見てしまう。


「綺麗かい?男としては少し複雑だが確かに良く言われてしまうよ」


座っていた白と水色の王座から立ち上がった王がすたすたとこちらに来た。そして何を思ったか、にこりと笑ってお辞儀をする。何だか偉そうじゃない。


「ようこそ。我が国へ……(われ)はこの国の王。リーザだ。君達を救い。手を貸そう」


周りを見れば膝をついて跪く人達。私たちは顔を見合せる。何が始まるんだ。


「……何て堅苦しいのはここまでにして少し付き合ってくれないかい?」


ちょっとした決まり事なんだと笑う王に隣の彼女はつられて笑った。この王様。さっきも思ったけど他に例を知らないが何となくだが王らしくない。気が抜けてしまいそうになる。


「はい!なんですか?」


意味が分からないこの状況をもう彼女は受け入れていた。恐怖よりも王の美しさや、どこか呑気な優しさが勝ったんだと思う。少し羨ましい。私はその美しささえも恐ろしいと気を抜けば感じてしまうからだ。


「一人ずつに行う儀式があるんだ。面倒だけど決まりだからごめんね?一人ずつ王座の前に……先ずは君だ」


指名されたのは隣の女の子。エスコートする為に手に触れられ顔を赤らめながら連れて行かていかれた。しんとする室内。私は先ほどのベージュの髪の人に後ろに下がらされる。


「皆、目を閉じなさい。君は顔を上げて申し訳ないけど膝をついてくれるかい?そう。顔をあげてね」


目を閉じる前に胸元についていたアクセサリーとは言えないデザインの物が目に入った。そうだ。これは覚えている。これは名札(なふだ)だ。名を記す物。この見覚えの無い文字は私が私であった証だ。それしか頼れずそれを手で握りきつく目を閉じた。


「では先ずは君に……国の……を……………る」


「え?ひゃ!!」


驚いた彼女の悲鳴に目を開けそうになってしまう。何をされるんだ。小声で何かを言われているみたいだ。怖い。


「はは。目を開けては駄目じゃないか、さぁ。もう一度閉じて」


「は、はい」


また彼女が何かを言われ「終わったよ」と王に優しく声をかけられている。目を開けて良いと言われ目を開く。足音もたたないくらい上品に歩き。王が優しい瞳でこちらを真っ直ぐ見つめてきたのを何となく避けて反らしてしまう。


「そんなに避けれれると悲しいよ。おいで?」


「す、すいません……」


手を差しのべられそれを恐る恐る受け入れる。入れ違いで彼女が後ろに下がり私が王座の前に来た。


「さぁ、目を閉じて……」


言われるままに目を閉じると他に神経がいってしまい。ぱさりと布の動く音に身体をびくつかせてしまう。


「まるで人馴れしていない仔猫だ。愛らしい。大丈夫。怖くなどない」


「っ!?」


囁かれ頭を撫でられ、手が頬に触れ……そして唇が頬に触れた。なるほどこれが悲鳴の理由だ。


「君にボクからの祝福をそしてこの国からの祝福を与える」


今度は反対の頬だ。きっと私の顔は赤いに違いない。


「君がこの世界でこの国で幸福に過ごせる様に願う」


最後に額にキスされた。過去にされたキスの事は覚えてない。だけど、勝手に熱くなる顔。これは恐らく耐性の無い女の子にする事ではないだろう。儀式が終わり彼女を見ればぽーっとした顏で王を見ていた。恋をしている。そりゃするよ。


「では……最後に名を教えてもらえるかな?」


一人一人。数少ない記憶の名を告げる。こうしてほぼ強制的に私と彼女の異世界での生活が始まった。

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