第三話「黄緑色の黎明」
意識があった。
でも僕がそれに気が付いたのは、目が覚めてからずいぶん経ってからな気がする。
理由はわからない、不思議な気分だった、
認知できるもの全てがおぼろげでぬるま湯に浸かりまどろみの中にいるような、
幸せだったころを思い出した、
世界が自分中心で回っていると錯覚してしまっていたあのころを...
第二章
一話「黄緑色の黎明」
ここはど~こ?わたしはだ~れ?
ふざけている場合ではないのはわかっている、だが許してくれ混乱しているのだ。
ここは僕の寝室、そして僕は川尻 純一、
純粋な子供になってほしいと僕を育ててくれた人がつけてくれた名前だ、わかってはいる、わかっちゃあいるんだ。
だが、僕が寝ているこの薄手の布団に真っ赤なカーテン、金色のおそらくは金属製であろうベットガードのついたベットは明らかに僕の趣味ではなかった。
そして僕の名前は
「ピース様朝食のお時間ですよ、おめしものをとりかえましょう。」
顔にあるそのしわがなんとも安心感を与え、落ち着いたメイド服がよく似合うおばあさんは優しく僕に語りかけた、そう僕に。
ピース・キャヴェンディッシュそれが僕の名前らしい。
自分が川尻 純一であることを理解できたのはいつからだろう、
ずっと前な気もするし、ここ最近な気もする要するによくおぼえていないのだ。
でも死ぬ直前とそのすぐ後のことは鮮明に覚えている、
新調した白衣が真っ赤に染まって僕たちの研究データ灰になる、そこで意識が途切れた。
そのあと、僕は暗闇の中にいた360度真っ暗だったのに自分の姿だけははっきりと自覚でき、なぜかそこにいる僕は7~8歳位の見た目だった。
僕はそんな暗闇の中をさまよっていると一つの小さな光が見えそれに近づくと光は徐々に大きくなり僕を飲み込んだ、あれが何だったのか僕にはいまだわからない、
今わかるのは僕は死んでそして記憶を持ったまま、生まれ変わったということだけだ。