第二話『統治者』
第1章
第2話『統治者』
本番の前は決まって安い紅茶を飲んでいた、
惜しんでいるのではない、これが私にとって落ち着く懐かしい味だった。
茶髪の赤い唇が目立つ美女は静かに私を呼んだ。
「大統領、お邪魔してすみません、そろそろお時間です。準備の程を…」
少し小さく息を着くと私はゆっくりと答えた。
「うん。そうだね行くとするよ」
私は民衆の前へ向かった。
観衆は歓声を上げて私を迎えた、
私のやるべきことはそれに答えるだけだった。
「国民の皆さん…、この度はお集まり頂き感謝の意を申し上げます」
やり方はわかっている、
いつもどうりやれば良い。
考えてみればここまで随分かかった気がする、
戦争が、社会が気に入らなくて始まった人生だった。必死で勉強して、日本の1番上まで歩いて来た。
そこで待っていたのは底知れぬ闇だった。
知ってはいたつもりだった、中○とアメリ○の貿易摩擦は時が経つにつれて激化、
その末両国は、傘下の発展途上国を利用して圧力を掛け合いそれが原因で途上国間の戦争が勃発した、両国はさらにそれを悪用し代理戦争のようなものを始めた。
知ってはいたんだ、
だが私が考えていたものとは比にならないほど多くの利権と欲が絡んでいた。
それを止めるために私はアメリカと同盟を結んだ。
同盟とは名ばかりに軍門に下った地位だった、
だから待った、アメリ○が弱るのを
予想どうり中○は時が経つにつれ力をましアメリ○は相対的に落ちていった国民の不満も溜まり次第に日○を頼り始めた。
やっと機会が訪れたそう思った。下から少しづつ手篭めにしてついにアメリ○と日○はひとつの条約を結び私は今日の式をもって首相から大統領になる。
ようやくスタートラインにたった。
ここからだそう思った。
「大統領逃げて下さい!!」
恐ろしいほど慌てた屈強なボディーガードが私を急かした。
「なんだ!話している途中だぞ!」
逃げろ?一体どう言うことだ、
「旅客機が…こちらに墜落する可能性があると報告が入ってきました」
一瞬自体が呑み込めなかった。
だが私はすぐさま冷静を取り戻すやるべきことをやらなくてはならない。
「ひとまず民衆を避難させろ!あとの指示は逃げながら行う、案内してくれ」
急がなくてはこんなとこでおわってたまるか
苦虫をかみ潰しながらどうすればいいのか考えたその時
銃声が聞こえた気がした。
20XX年 08/16 午後05時25分
吉良 雄二大統領が
大統領を狙ったと思われるテロ事件により
行方不明
旅客機の搭乗者含め
推定3000人近い被害者を出し500人程が死亡
現在も調査が続いている
私は志半ばで破れ
『死んだ』