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あ~眠い。昨夜は動画配信遅くまで見ていたから…。
鏡に映る自分の顔…少し浮腫んでいて気になる。けれど今日は2現目のゼミに行かないと!講師って細かくチェックしている…赤チェックが多数入った卒論に、思わず溜め息が溢れてくる。
あ~駄目だ。私の為に、良い卒業論文が出来上がるよう指導して下さっているのだから…先生にムカムカしたり、自分の至らない事で卑下しちゃ駄目だ…。
指摘部分を訂正した後、気分転換に動画を観たけれど…ね、眠い。
大学最寄り駅を上の空で歩きながら…お洒落なオープンカフェの前を通り掛かる。
「あっ!今日もいた!はううう~格好いい」
今日はラッキー!と思わずニンマリ。彼はこの辺りで時々見掛けるスーツ男子。身長180センチくらいの仕事出来る系イケメン。
大学4年間…彼を時々見掛けて喜んでテンション上がったけれど、これもあと少しで見納めかぁ…。
「お!麻生おはよー」
「ああ、堂本おはよー」
同じゼミの堂本は、いつも気さくに声を掛けてくる。ま、良い奴だな。体格も性格も良いから、いつも彼女が途切れずにいるタイプ。
「今日の打ち上げ行くのか?」
「うん。恵美達も行くらしいからね。付き合いで」
「そっか~俺、今日は兄貴を会社まで迎えに行って成田迄送迎する約束しちゃったんだよな」
「へぇ~偉いじゃん!優しい」
「っは!優しいじゃないんだよ…弱味握られててさ…」
「ぷぷぷ…何よ?弱味って」
「馬鹿、言うわけねぇだろう!って事でお前も一緒に行かない?空港でメシ奢ってやるから」
「え?何で?」
「前回の試験でノート借りただろ?お前のノート分かりやすかったから評価良かった。だから、その借りだよ」
「ああ、そうなの?あの授業、テストに出す思惑がある時、先生の口癖が微妙に出るのよ。それを吹き出しで入れてたから!」
「そうだよな!すげえ確率で出題していたから驚いた」
「まあね~先生の深層心理って感じ?読み取るのよ」
「ああ」
笑いあっている間に建物内に着いていた。
「じゃあ、後で連絡する」
堂本に手を振り、教室に向かった。