問い
ケテルの評議会館はアディシェスに接収され、今は議長室にウルスが、副議長室にルゼがいる。ウルスは主に治安関係の権限をルゼから取り上げたが、経済に関する権限は残したようだ。衛士隊はウルスの指揮下に置かれ反乱の気配には厳しく対応しているが、ケテルの商習慣に疎い者に経済のかじ取りは難しいと考えたのだろう。また、ルゼがアディシェスに無条件降伏した手前、地位や権限を取り上げては大きな反発を招きかねないという危惧もあったに違いない。仮にケテルの有力な商人が一斉に町を離れるような事態になれば、アディシェスとしてもこの町を支配するうまみがないのだ。少なくとも今は、ルゼに権限を残すことでケテル商人たちに『今までと大きな違いはない』ことを示す必要があった、ということだ。
「よくぞいらっしゃった。我がケテルへようこそ。歓迎します」
ケテルのトップとナンバー2となった二人が笑顔で客を出迎える。わずかに空いたウルスとルゼの距離が二人の微妙な関係性を伝えていた。ウルスはルゼを全面的に信用しているわけではないし、ルゼもまた、ウルスに心から臣従しているわけでもないのだ。そして出迎えられるほうの客は、はげヅラを被った謎のプロモーターコメルを始めとするトラック達はげヅラーズとノブロ、そしてもはやどちらが本当の姿なのか分からなくなりつつある、アイドルユニット『ミューゼス』こと剣士とナカヨシ兄弟である。パレードの時と同様、セシリアははげヅラと共に付けヒゲを、ミラは猫耳カチューシャをつけ、イヌカはモヒカンの上からズラをつけているため頭が変に盛り上がっている。誰かツッコんであげて。スルーされると本人かなり辛いよ。
『ミューゼス』は公式プロフィール上は十代なので、酒を提供するのもまずかろうとか帰りの時間は二十時までとかいう配慮が働き、会食は昼食会という形でセッティングされた。イャートが持ち掛けてきた『ミューゼス』をノブロとウルスの会食にぶっこむという提案は意外にあっさり了承されたようで、トラック達とミューゼスはよそよそしい雰囲気を装っている。ただ、ノブロはどうやらミューゼスが剣士たちだということがあまりよく理解できていないらしく、本気で「はじめまして」と挨拶していた。アイドルと話すことなど普通に生きていたらそう起こることでもないので、カリオペイアと握手するノブロの顔はガチガチに緊張しており、「試合より緊張する」という彼のつぶやきが場の笑いを誘った。
「どうぞ、お座りください。堅苦しい席ではない。共に手を携えこの町の未来をより良きものにするために、友好を深めてまいりましょう」
ウルスの声から為政者としての誠実な信念が伝わってくる。彼は本当に、この町をより良いものにしていこうと考えているのだ。セシリアがわずかに視線を落とした。ウルスは悪でもなんでもない。むしろ統治者としては有能で、かつ善良な、稀有な人材だろう。そしてだからこそ、トラック達は早くウルスを排してケテルを取り戻さなければならない。時間が経てはケテルの民はウルスの支配を受け入れ、支持するだろうから。今、このタイミングしか、トラック達がケテルを奪還する機会はないのだ。
堅苦しい席ではない、の言葉の通り、会場は数人が座れる丸テーブルがいくつも配置され、特に各自の席が指定されてはいない。席を移動しながら各人が会話して交流することを促しているのだろう。しかし部屋の各所にはイャートを始めとする衛士隊と、ウルス直属のアディシェス兵が配置され、不測の事態に目を光らせている。トラック達は彼らを出し抜き、隙を突いてウルスを捕えなければならない。イャートがトラック達の正体に気付いていて、この場で全員を捕縛しようと待ち構えているという可能性も充分にある。急いては仕損じるかもしれないが、待ちすぎれば先手を取られかねない状況は、和やかな昼食会の雰囲気にそぐわぬ奇妙な緊張感を生み出していた。
「正直、六ラウンドの左ボディ、あれが効いた。あれで動きが一段鈍った」
「ほんとか? あの後もひょいひょいかわされてたぞ?」
ウルスとノブロが、エキシビジョンマッチの内容を振り返って熱いトークを繰り広げている。あの体勢から右を切り返すとは思わなかった、決めるつもりで放ったストレートがクリーンヒットしたのに倒れなかった時には愕然とした、そんな話を笑顔で語っている。そこにはウルスのアスリートに対する素直な賞賛があり、つまりウルスはやっぱり、気持ちのいい男なのだ。ノブロもまたウルスに相通じるものを感じているのか、いつもより饒舌に受け答えをしている。ノブロの周りには普段、ボクシングの話をしても理解してくれる仲間がいないので、語ることのできる相手がいて嬉しそうだ。「あのストレートは、実は予想してた」などとちょっと得意げな顔のノブロはいきいきとしていた。
一方でルゼは『ミューゼス』の対応をすると自らを定めたようで、カリオペイアたちと他愛のない話をしている。学業との両立は大変でしょう、とか、どれくらい歌の練習をしているのですか、とか、いかにも大人が聞きそうな、表面的な質問をしながら、どこか値踏みをする目で彼女たちを見る。カリオペイアたちはにこやかにそれに答えながら、どこか居心地が悪そうだった。ルゼはこちらの正体を知っているのか知らないのか。知っていて知らない振りをしているなら、イャートと共にトラック達を罠に掛けようとしている可能性が高くなる。ルゼもイャートも本心を表に出すような分かりやすい人間ではない。下手に動けば術中に嵌まるかもしれないが――だからといってずるずると先延ばしにすることもできない。いつ動くか、それを見極め、決断しなければならない。昼食会が終わってしまって、結局なにもできませんでした、ではダメなのだ。
「せっかくですから一曲、歌っていただけませんか?」
ふと、ルゼがそんなことを言った。その柔和な笑顔は形式的な提案なのか、何か裏の意図があるのかを教えてくれない。もっとも『ミューゼス』としてはそれを断る理由がないため、剣士――カリオペイアはにこやかにうなずくしかない。
「もちろん。どんな曲がよろしいですか?」
ルゼは思案気な顔を作ると、
「勢いのある曲を、と言いたいところだが、それではあちらのボクシング談議がますますヒートアップしそうだ」
と言ってウルスたちに視線を向け、苦笑いした。
「少し落ち着いた曲をお願いできますか?」
「わかりました」
軽く声を出して音程を整え、カリオペイア、エラトー、ウーラニアの三人が立ち上がる。カリオペイアは何か思いついたようにルゼに言った。
「もし可能なら、部屋を少し暗くできますか? 光に包まれる場所に似合う曲ではないので」
ルゼはアディシェス兵の隊長と思しき男を振り返る。……ってか、この隊長、この前カリオペイアに「ファンです」って言ってたひとじゃん。手を握られて涙ぐんでたひとじゃん。隊長は一も二もなくうなずいた。『ミューゼス』を欠片も疑ってないな。ちょっと胸が痛いわ。
ルゼがイャートに目配せをして、衛士隊の面々が部屋のカーテンを引く。テーブルに燭台が運ばれ、淡い蝋燭の灯りがともった。ウルスたちも何事かと話を中断して『ミューゼス』に顔を向ける。どこからかマイクを取り出し、カリオペイアが言った。
「それでは、聞いてください。『ミューゼス』のメジャーデビューシングル、『胸きゅん☆はぁとDE恋シテル』のカップリング曲――」
カリオペイアが大きく息を吸い、その眼差しに強い光が宿る。
「――『呪い』」
なんでだよっ!! なんで権力者との昼食会で披露する一曲目にそれを選んだんだよっ!! ってかそもそもデビュー曲のカップリングに『呪い』て! どの層をターゲッティングしたらその戦略になったんだよ!! アイドルとしてお前らはどこを目指してんだ!!
『胸が少し、痛い』
カリオペイアが目を瞑り、歌い始める。楽団を引き連れてきたわけではないのでアカペラ――かと思ったら、どこからかピアノとバイオリンの音色が聞こえた。誰か楽器を持ってきたの――と思ったら、カリオペイアの隣でエラトーとウーラニアが口笛を吹いていた。
……
口笛でピアノとバイオリンの音は再現できねぇよ! いや、できないはずなんだよ! でも今、できているというこの現実をどう受け止めればいいんですか!? スキルか? スキルなのか? スキルだと言って! そうすれば納得するから!
『あなたの視線を追いかけて』
俺の叫びはどこにも届かず、カリオペイアは歌を続ける。
『その先にあるものが見えるたびに』
カリオペイアは現実を受け入れることを拒むように目を瞑ったままだ。
『胸が鈍く、痛む』
カリオペイアが左手を胸に当てる。
『あなたの視線を追いかけて』
少し背をかがめて、
『その先にあるもののまぶしい光に』
カリオペイアは苦しそうに眉を寄せた。
『想いは呪いよ。叶わぬと知りながら、縛られ続ける』
カリオペイアは目を開く。その瞳が苦悶に揺れる。
『どうして? 報われぬなら断ち切ればいい。
どうして? 貴方以外いらないのに。
どうして? 手に入らないなら意味はない。
どうして? 貴方を失ってしまったら――』
カリオペイアの右の目から一粒の涙がこぼれる。
『――息もできない』
自分自身の中の矛盾に引き裂かれる心を、カリオペイアは歌う。
『想いは呪いよ。貴方の笑顔が向けられるのは私じゃないのに。
微笑み合う未来が来るはずもないのに。
私の目が貴方を追うことを止めない。
どうして?
どうして、私は、貴方を愛してしまったの?』
カリオペイアは虚空に手を伸ばす。届かぬ何かに触れようとするかのように。歌うカリオペイアを、魅入られたようにウルスが見つめていた。ああ、そうか。この曲はきっと、ウルスには刺さるんだな。なにせまさに、ウルスはこの曲の主人公と同じ立場にあるんだから。イーリィの心が自分にないと知りながら、イーリィへの想いを断ち切れずにいるのだから。
歌い終わり、カリオペイアが深く頭を下げる。ウルスが涙をこらえるように固く目を瞑り、強く両手を打ち鳴らした。アディシェス兵と衛士隊の面々も追随するように拍手を始める。ミューゼスファンの隊長は「これが『ミューゼス』だ」と言わんばかりに自慢げな顔でうなずいている。この素晴らしさを自分はすでに知っていたぞ、という優越感だろうか。気持ちはわかるよ。自分の推しの素晴らしさに他人が気付いた瞬間を見ると嬉しいよね。
ウルスと兵士たちは『ミューゼス』への惜しみない拍手を送っている。部屋は薄暗く、気配は拍手の音に紛れている。拍手をしているということは手がふさがっているということ、もっと言えば、拍手をしながら剣を持てない、ということだ。皆の注意は『ミューゼス』に向いていて、はげヅラーズを警戒する者はいない。つまり――
「全員、動くな!」
鋭い声が部屋の雰囲気を塗り替える。ハッとウルスが声の主を、自らの喉元に刃を突き付けるイヌカを振り返った。セシリアの魔法の光が手足を縛り、ウルスは身動きが取れなくなっている。ウルスの横にいた護衛の兵はマスターに鉄棍を向けられて動けずにいた。ミラが魔法ですべてのカーテンを開く。室内が明るくなり、ウルスの現状を余すところなく皆に伝える。
「……何のつもりだ。私を、謀ったのか!!」
激しい怒声が空気をビリビリと震わせる。イヌカは動じることなく答えた。
「その通りだ。貴方には人質となっていただく。アディシェスの兵をこの町から排除するまで」
憎らしげにイヌカをにらみつけ、ウルスはギリリと奥歯を噛む。
「お前たちは、何者だ!」
にやりと笑い、はげヅラーズは一斉に被っていたはげヅラを空に放り投げる。ウルスの顔が驚愕に歪んだ。
「お、お前たちは、冒険者ギルドの!」
……ああ、本気で気づいてなかったんだな。はげヅラは本当にトラック達の正体を隠してくれていたんだな。きっとそれがこの世界のルールなんだな。はげヅラを被ると別人。はげヅラかはげヅラじゃないかで、この世界の人々はまず他人を認識するんだな。
「おかしな動きをすれば、お前たちの主の首にもう一つ口ができることになるぞ! それを望まねぇなら動くな!」
イヌカの張り上げた声にアディシェス兵の剣の柄に伸びかかっていた手が止まる。ウルスは首をよじって兵たちに叫んだ。
「私に構うな! この者らを捕えよ!」
「いや、動いてもらっては困るな」
ウルスの叫びに冷静な声が重なる。それと同時に衛士隊が動き、アディシェス兵に剣の切っ先を突き付けた。ウルスは目を見開き、その言葉を放った人物を見つめる。
「ルゼ! 貴様!」
ウルスの怒りを、ルゼは冷徹な目で受け止めた。
「裏切るのか! その意味を、本当にわかっているのか! この町を戦火に晒さぬために、お前はアディシェスに降ったのではなかったのか!」
ウルスの声には裏切りを許せぬという以上に、ルゼの『戦を回避する』という思いが嘘だったのか、という怒りがあるようだった。複雑な感情は様々あれど、死者を出さないという思いだけは共有していると信じていた。ウルスの目はそう語っている。ルゼは小さく首を振り、静かに諭すように言った。
「裏切るのではない。正統な主にお返しするのだ。ウルス卿、あなたこそ真に仕えるべき相手を間違えている」
ウルスが不可解そうに眉を寄せ、すぐに怒声を返す。
「世迷言を! 私が仕える相手は国王陛下のみ!」
「なればこそ、あなたは傅かねばならぬ」
ルゼはセシリアに目を向ける。セシリアの身体がわずかに強張った。
「セフィロト王国の正統なる王位継承者に」
え? ということは、ルゼはセシリアの正体を知ってた? そして、トラック達が戻ってきた際にはアディシェスを排除しようとあらかじめ準備をしていて、この昼食会もそのためにセッティングしたってこと!? イャートの『ミューゼス』への提案もその一環!? 疑ってごめーん! 罠かもとか言ってごめーん!!
ハッとした表情を浮かべ、ウルスがルゼの視線を追う。じっとセシリアの顔を見つめた後、再びルゼを見てウルスは怒りを叫んだ。
「ふざけるな! アウラ殿下にヒゲが生えているはずがなかろう!」
付けヒゲ外し忘れとったーーーっ!! はげヅラだけ外して油断しとったぁーーーっ!! セシリアがじゃっかん顔を赤くして付けヒゲを取り、髪に手を触れて色を変える。栗色の髪から金の髪に戻ったセシリアを見て、ウルスが呆然と口を開く。
「まさか……本当に、アウラ殿下、なのか?」
セシリアはうなずき、ウルスの前に進み出た。
「私はセフィロト王国の王位継承者にして、かつて世の戦乱を鎮めた英雄のひとり、ディアーナの血を継ぐ者。私は今こそこのケテルの地に立ち、他種族との融和を掲げ、王を僭称するズォル・ハス・グロールを討つ」
ウルスはじっとセシリアの目を見る。そして首を小さく横に振った。
「止めておけ。戻れなくなる。二人の王が並び立つことはない。貴女が王を名乗れば、この地はどちらかが滅ぶまで終わらぬ凄惨な戦場となろう。ズォル・ハス・グロール陛下が簒奪者であったとしても、さらに犠牲者を増やすだけの未来に賛同する者はおらぬ。あなたは民の信任を得ることができぬであろうよ」
セシリアの肩がわずかに震える。虚勢を張るようにセシリアはウルスをにらみつけた。
「ズォル・ハス・グロールは『種族浄化』を謳い、他種族をことごとく滅ぼそうとしている。かつてケテルを造った三英雄のひとりの末裔として、その思想を受け入れることはできぬ。私が立たねば罪なき者が、ただその生まれによって命を奪われるのだ。そのような暴虐を看過するわけにはいかぬ。その責任が私にはある」
ウルスは小さく息を吐く。その表情には憐れみがあった。
「……他種族の痛苦を想像できる者は少ない。民は、人は、己の身が安全であると信じて初めて、他者を思いやるのだ」
分かり合うことはできないという静かな拒絶を感じたのか、セシリアはウルスをにらみつけたまま、口を開くことはなかった。ルゼが助け船のように口を挟む。
「セフィロト王家が絶えたと思えばこそ、クリフォトに従った諸侯も多い。ならば、正統の王に忠誠を誓おうという者たちは少なくないのではありませんか? アディシェスもまた、セフィロト王国の重臣として王家を支えていたはず。今、アウラ殿下に剣を捧げ、大義のために戦いことこそ騎士道に適うと思われませんか?」
ウルスは首を横に振る。もはやその顔に怒りはなかった。
「アディシェスがセフィロト王家に従うことはない」
「なぜ?」
ルゼは冷静に問う。ウルスは皆を見渡し、全員に聞こえるように言った。
「勝てぬからだ。アウラ殿下がセフィロト王国の再興を宣言しても、他種族の力を結集したとしても、クリフォトには勝てぬ。ズォル・ハス・グロールという男の執念を、あなた方の甘い幻想が凌駕するとはとても思えぬ」
部屋が水を打ったように静まる。ウルスの感情を込めない言葉はある種の説得力を持って広がった。誰もが口を閉ざす。しばらくの沈黙の後、セシリアは決意の証のように口を開いた。
「それでも、為さねばならぬ。理不尽に沈黙してはならぬのだ。強き者だけが自由を謳歌する世界を認めるわけにはいかぬ。弱ければ蹂躙されて仕方ないなどという世界を認めるわけにはいかぬのだ」
ウルスはじっとセシリアの目を覗き込む。そして小さく息を吐き、「わかった」と言った。
「アディシェスの兵は三日以内にケテルより退去する。そちらが法に則った対応をする限り抵抗はせぬと約束しよう。私の身柄はケテルに留め置くなり、首を刎ねるなり好きにせよ。ただし――」
ウルスの目が獅子のごとき猛々しさを宿し、セシリアをにらむ。
「我が兵に傷の一つも付けてみよ。私はお前たちを決して許さぬ」
トラックがプァンとクラクションを鳴らす。わずかにウルスが表情を緩めた。
「信じよう、特級厨師」
セシリアが足を拘束していた魔法を解除してウルスを立たせる。衛士隊の面々がアディシェス兵を武装解除させ、外へと連れ出していく。ウルスもまた衛士たちに両脇を固められて連れ出された。部屋から出ていく直前、ウルスは足を止めてセシリアを振り返る。
「王になれば」
ウルスは見極めるように静かに問う。
「あなたは命じねばならぬ。戦えと。クリフォトとの戦いに身を投じよと。命を失っても、大義のために剣を取れと。本当にできるのか? あなたは、自らを慕う者たちに『戦って死ね』と、本当に言えるのか?」
その問いは重苦しさを伴って部屋に響く。セシリアの返答を待たず、ウルスは背を向け、部屋を出ていった。
約束通りウルスは三日で兵と共にアディシェスに帰還します。そして報告するのです。
「アウラ殿下ははげヅラと付けヒゲを趣味としておりました」と。




