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Sweet Lily-Lite  作者: Iris.com
1/1

Encounter

前書きです。

普段はR-18の方で進行している物語を少しでも多くの人に見てもらいたくて

ゆる~い感じで書き直した物になります。

内容は殆ど現在進行中のR-18の物と変わらない予定(・・)です。

前書きが長くてもつまらないと思うので早速本編へ、どうぞ!

私に春は来ない、ずっとそう思っていた。

恋愛に興味がある訳でもなく、でもしたくないかと言われればそうじゃない。

そんな曖昧な気持ちで中学を卒業し、

友人について行くように女子高を選んで何となく日々を過ごしていた。


「いよいよだね、高校生活」


「…」


連日友人に連れ回された疲れと前日に姿を現した期待と緊張による不眠感によって私の頭の中は

現在、ふわふわとした状態にあった。


「あれ、相奈(あいな)?大丈夫?」


「…」


「ちょっ!!?相奈!!!」


私が目を覚ました時、目に映ったのは何の変哲もない天井だった。

妙に弾力のある地面、微かに香る薬品の匂い、私はすぐにここが保健室である事を悟った。

私を囲むカーテンが春風に揺られカラカラと音を立てながらゆっくりと舞い始める。

そっと起き上がりカーテンを開くと椅子に座り本を読む女性の姿が

私の意識を一気にそちらへと引き寄せる。

サラサラの髪にワイシャツの上から白衣を羽織ったその姿はまさに美女と言う言葉が相応しい。

その艶やかな容姿に見とれていると女性がこちらに気が付き視線を向ける。


「あっ…」


「起きたのね」


立ち上がりこちらに向かってくる女性との距離が近付くにつれて私の心拍数はペースを上げていく。

女性は私の目の前で立ち止まると顔を眼前まで近付けて私の目を見た。


「えっ…あのっ…!」


女性の唇が次第に私の唇に近付き私は思わず目を瞑ってしまう。

しかし、予想とは裏腹に密着したのは唇では無く互いの額だった。


「…熱は無いみたい、具合はどう?」


「だ、大丈夫…です…」


どうやら私の顔は相当赤くなっていたらしい。


「せんせー、相奈起きましたかー」


保健室の扉を開けてやってきたのは私と幼馴染みの

椎名 悠莉(しいな ゆうり)、春休み中に私を連れ回した張本人であり特徴も面白さもない私と昔から

仲良くしてくれる優しい友達だ。

見た目こそ金髪ピアス胸元を開けたシャツと校則違反の固まりだが

私は学校という組織に真っ向に立ち向かう彼女の勇気には敬意を示している。


「椎名さん、後はよろしく」


「はーい」


悠莉に手を握られ保健室を出て行く間、私の視線はずっとあの綺麗な女性を追っていた。


「綺麗だよねー、七星先生」


「七星…先生?」


「うん、七星 美乃里(ななせ みのり)先生、意外と女子人気高いんだよあの人」


「…そうなんだ」


「私トイレって言って抜け出してるからもうちょっと時間潰すね」


「程々にね、悠莉」


教室に戻った私に待っていたのは注目だった。

誰一人として知っている人がいない中で皆の視線が一斉に私に集まる、

そんなアンフェアな状況に戸惑いつつもを1番後ろの席に着く。


「おはよー、君名前なんていうの?」


「え…あの…」


「あ、私は水戸 楓(みと かえで)、よろしく!」


金沢 相奈(かなさわ あいな)です、よろしくお願いします…」


「相奈か、可愛いじゃん!…でさ相奈、なんで遅れたの?遅刻?」


「具合が悪くて保健室に…」


「えっ、それ大丈夫なの?」


「多分…?」


ホームルームが終わると楓と共に教室を出る。

すると、すぐに隣のクラスの悠莉が私達の存在に気が付き声を掛ける。


「ねー、私達今からカラオケ行くけど一緒にどうー?」


悠莉は既に友達と呼べる存在を作っていたらしい。

周りに居る友達は悠莉の社交性を語るには十分な結果とも言えるだろう。


「行きたいー!」


楓が悠莉達のグループへ進むが私の足はその場に根を張ったままだった。


「あれ?相奈は来ないの?」


「うん、今日はこのまま帰ろうかな」


「まぁ、今朝のこともあるし仕方ないか...」


「うん」


「相奈!また明日ねー!」


「ばいばい楓ちゃん」


こういう時、私はいつも友達をすぐに作れる悠莉を心から羨ましく思う。

元々コミュニケーションが苦手な私は悠莉に憧れ、

全くの正反対な性格の自分にコンプレックスを抱いたりもしている。

夕暮れに染る校内で私は一人で歩き出す。

心も沈みそれと伴い視線もどんどんと地面に向けて下がり始め

気がつけば私は自分の足元を見ながら歩いていた。

そんな前方不注意のせいで私は頭から歩行者に突っ込んでしまう。


「な、七星先生…!」


七星先生の手からプリントが零れ落ち地面に舞う様に散らばった。


「ごめんなさい!今拾います...!」


コンクリートで出来た地面に広がる白い紙を拾おうと手を伸ばすと七星先生はその手を優しく握り

私の顔を見つめた。

吸い込まれそうになるネイビーブルーの瞳はまっすぐと私の目を見て

それに少しばかりの前向きな恥ずかしさを覚えた私はつい目を逸らしてしまう。


「ごめんなさい、プリントに集中してて前を見ていなかったわ、怪我してない?」


「は、はい...!」


つい声が大きく出てしまう。 

七星先生が落ちたプリントを一人で手際よく回収し、そのまま私の横を通り過ぎていく。

この短い一瞬であっても私の心臓はその高鳴りを隠せずにいた。


「ただいまー」


誰もいない家に着いた私は部屋にカバンと制服をかけて早々に部屋着に着替える。

夕日が入り込むリビングで外の景色を眺めなが廊下で見つめ合ったあの瞬間を淡い記憶として思い返す。

しかし、すぐに私の脳内に記載されたやるべきことリストが脳裏をよぎる。

足音が反響して虚しさを一層感じさせるリビングを出て私は自分の部屋の端に積まれた段ボールから

本を取り出し本棚の中に巻数順に並べていく。

段ボールを一つ消化した私は休憩がてら本棚から本を取り出し床に座る。

やけに暗い室内に違和感を感じて時計の短針はいつの間にか夜の8時を指していた。

結局段ボールを一つしか片付けられないままリビングへ向かった私を待っていたかの様に

勢いよく玄関の扉が開く。


「たっだいまー!」


元気な声が部屋中に鳴り響く。

そして、靴を脱いで制服のままこちらに駆け足でやってきた悠莉がその勢いを一切緩めることなく

抱きついてきた。


「ちょっと悠莉、危ないよ」


「いいじゃん、おかえりのハグくらい」


この家は私と悠莉の2人で暮らす所謂シェアハウスだ。


「ほぁー、疲れた」


悠莉は着替えもせずにソファに飛び込みスマートフォンを弄り始める。


「カラオケ楽しかった?」


「んー?楽しかったよー、そのあとボウリングして食べ歩きしながら帰ってきたー」


悠莉はそう言うとハッと何かを思い出したかの様にリビングを飛び出す。

足音と共に戻ってきた悠莉の手には大きな白い袋、悠莉は中に手を入れて大きなクマの人形を取り出した。


「はい、相奈にプレゼントー」


「いいの?」


「うん、私にしては珍しく1発でとれたんだよ」


「ありがとう」


「良いってことよー」


悠莉は私に人形を渡すとビニール袋を小さく折りたたんで引き出しにしまいソファーに再びダイブする。


「それじゃあ今ご飯作るね」


私がエプロンを身に付けてキッチンに立つと悠莉がスマートフォンをソファに投げ出し私の元へと駆け寄ってきた。


「私も手伝うー」


「えっ、良いよ、今日の当番私だし…」


「だめだめ、相奈今日倒れてるんだから、一緒に作ろ?」


「...うん」


倒れている患者を休ませるのではなくあくまで手伝うスタンスの悠莉の気遣いに嬉しくなり

顔から笑みが零れてしまう。

二人で料理を分担出来れば効率は上がるが悠莉の不器用っぷりは料理にも顕著に現れている。

故に効率で言うなら1人の方が早い訳だけど、

それでも私は稀に訪れるこの二人の時間が楽しく、拒絶する気など一切起きない。


「いただきまーす!」


「それにしても、本当に高いよねこの部屋」


テーブルに座りながら外の景色を眺めてみる。

人工的な光が点々と姿を現し、まるで私達を楽しませる為にあるのではないかと錯覚させるような

エンターテイメント性を感じさせる。


「眺めいいよね、ワインとか飲みながら見たらもっと雰囲気でそうじゃない?」


「ワイン飲める歳になったら考えよう?」


「ねえ相奈、ワインっておいしいのかな」


「私に聞かれても分からないよ...ぶどうジュースと一緒なのかな?」


「さすがにそれは無いと思う」


食事をしながら話題は金銭面へと移り変わる。


「ねえ悠莉、本当にお金大丈夫なの?」


「あー、全然気にしないで!お金なんて有り余ってるから」


昔から悠莉と仲の良かった私は自然と悠莉の両親とも仲良くなっていった。

そんなことが幸いしてか、実家から遠くに位置する浪崎学園(なみさきがくえん)

入学が決定した私達に悠莉のお父さんとお母さんはこの高層マンションの一室をプレゼントしてくれた。

悠莉の家は控えめに言っても超が付くほどのお金持ちだ。

この部屋一つ程度の出費なら痛くもないのだろうが、

やはりこちらからの出費が一切ない分罪悪感も大きくなっていた。


「やっぱり相奈の作るハンバーグは美味しいよ」


しかし、それは悠莉にとっては重荷となっていた部分もあった。


「悠莉!服にソースこぼれてるよ!」


「んー!!!!ティッシュ!!ティッシュ!!」


お金持ちという家柄上、友達関係にもそういった汚い関係が生まれてくるのもまた事実だ。

実際、悠莉の中学の友達は金目当ての付き合いが多かった。

悠莉が初めて付き合った彼氏も体と金が目当てだった為、

陰で他の女性とも付き合いながら悠莉を財布として扱い得た物を浮気相手にプレゼントしていた。

その後、浮気相手に散々暴言を吐かれた上で彼氏と別れさせられた悠莉は

それ以降、男性との絡みを持ちたがろうとはしなかった。


「あーあ、制服が…」


「私がシミ落としとくよ」


「さすが相奈!私のお母さん!」


悠莉は服を脱いで洗面台の横に置かれた籠に服を入れ上半身半裸のままリビングに姿を現す。


「ねぇ悠莉、上着ないと風邪引いちゃうよ?」


「まぁ、馬鹿は風邪ひかないから大丈夫!」


「そ、そうだね…」


「いやソコはバカじゃないでしょとかフォロー入れてよ」


「でも悠莉バカじゃん…」


「一応これでもテスト30点以上はキープしてますー」


悠莉のテスト結果は毎回全科目30点以上35点未満という泥舟のような平均点数を叩き出している。

本人曰くこれはクラスの平均点を下げることによって、みんなのテストに対する気持ちのハードルも下げているらしい。


「ほら、早く食べちゃお?」


「だね」


私達は夕飯を食べ終えて食器を片す。


「今日は相奈からお風呂入っていいよー」


「うん、悠莉は歯磨いちゃいなよ」


「はーい」


ソファに寝転がりながらスマートフォンを弄る悠莉に指示を出しバスルームへと移動する。

暖かい雫に髪を濡らし水滴が体を添ってゆっくりと滴り落ちる。

頭を洗い、水が目に入らないように瞼を閉じると七星先生の姿が思い浮かぶ。


「七星先生、彼氏とか居るのかな…」


シャンプーを洗い流した私が小さくそう呟いた瞬間、

耳元で囁くように吐息混じりの悠莉の声が聞こえた。


「気になるんだ」


「えっ!??」


気配を絶ちながら忍び寄り、

背後から突然姿を現した声の主に驚き振り返ろうとした時、

私の足は地面をツルリと滑り私は悠莉の胸に飛び込む形で倒れてしまった。


「もー、気を付けなよ相奈」


「驚かさないでよぉ…」


「あー泣かないの!」


先に身体を洗い終えた私が浴槽に入ると悠莉も身体を洗い終えて湯船にその身を沈める。

私の背後から足と腕を伸ばしの腹部に腕を絡ませて悠莉は楽しそうに話しかける。


「懐かしいよね、小学校の頃はよくこうやって2人で入ってた」


「うん、悠莉よく逆上せてたよね」


「だって相奈風呂から上がるのめっちゃ遅いんだもん」


「そうかなぁ」


「そうだよ」


悠莉は私をぎゅっと抱きしめ頬を首筋に寄せる。


「相奈の首筋冷たい」


「悠莉の顔が熱いだけだよ」


「んふふー」


悠莉のすべすべの肌が撫でるように私の首筋を上下する。

悠莉はその肌触りを満喫し終えると、私の肩に顔を乗せて会話は七星先生の話題となった。


「ねぇ相奈、七星先生の事気になるの?」


「気になるっていうか…その…」


「でも先生の彼氏の心配してたじゃん」


「そ、それは単純に気になっただけで…」


「ずっと相奈と一緒に居るんだからすぐ分かるよ、一目惚れでしょ」


「…うん」


「もー!可愛いやつだなー」


私が照れくさそうに頷くと悠莉は私の体を強く抱きしめて嬉しそうに微笑んだ。


「…でもおかしいよね、女の人に一目惚れなんて」


私の後ろ向きな意見に悠莉は首を横に振ってから私の頭を優しく撫でた。


「おかしくないよ、私達は誰だって好きになっていいし誰とだって恋できる、

そこに男女は関係ないでしょ」


「…悠莉」


「なに?」


「なんか悠莉が言うと変だよ」


「なにそれー!」


「でも、ありがとう」


「うん、頑張って」


風呂をあがり歯を磨いた後に2人で同じ部屋に入り布団を敷くと悠莉は直ぐに布団に潜り込み

私は電源ボタンの前で悠莉が顔を出すのを待っていた。


「電気消すよー」


「あーい」


私が電気を消すと静かな空間へと早変わりする。

静かに布団に入ると既に横には寝息を立てて目を瞑る悠莉の姿があった。

私も極力起こさないように目を閉じて体の力を抜くが、頭の中では七星先生の事ばかりが浮かび一向に

意識が途切れることは無く、私は強く大きなクマの人形を抱きしめた。

この物語は生徒と先生っていうよくある設定の物語なのですが、

よくあるからこそ個性を発揮できるんじゃないかなと思います。

発揮できるかどうかはこの先次第なんですが一つ、断言できることがあるんです。

それは圧倒的に個性を表現する為に必要な語彙力が欠けていると言う事です。

難しい言葉を使わなければ読む方も読みやすいと考えれば言い訳できそうですが

単純に言葉を知らない知識不足です。

強いて言えば戦うときの効果音がドゥクシッってレベルで酷いです。

その理由は明確で単純に小説等の文字を使った娯楽に触れていないのが原因ですね、

眠くなってしまうんです。

それでも妄想などをシバシバする為、頭の中の物語は私の作業量を超える勢いで出来上がって行くんですね。

しかし、人間(主に私)という物は残酷な物でやる気が起きないと何も沸いてこないんですよね。

仕事にしても趣味にしても生活にしても、やる気ってかなり大切ですよね。

そして精神状態もだんだんダークサイドに堕ちていく...

さて、そんなネガティブな後書きも内容がだんだん薄くなっていきそうなので終わらせていただきます。


^p^ノシ

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