表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

8.夜の思い出

 リーちゃんと濃い夜を過ごしてから数週間後、入学式があり、授業も始まった。


 講義式の授業で、私達1年生と2年生はみんな必修の授業を受ける。

(一応、1組から5組までクラスは分かれている)


 1限目は、黒魔術概論Ⅱ。

 担当は極東生まれのその高い細身の先生だ。

 髪と顔だけ見るとロックとかしてそうな人だ。


「ユリちゃん。こっちこっち」

 扇形の教室の一番奥の方にリーちゃんとローズちゃんがいた。


「何でそんなに奥なのよ」

「だって、この授業ローランス先生なんだよ。あの人、ずっと話してばっかりで詰まらないんだもん」

「だ、だからって何でそんなものを学校に持ってきているのよ……」

 リーちゃんは漫画を持ってきていた。


「そ、それ何の漫画なの? リーちゃん」

「あ、これ? これは『吸血鬼といっしょ』っていう恋愛漫画だよ。今大人気なんだよ。なに? ユリちゃん知らないの?」

「知らないよ」

 そもそも、寮にマンガを置いていたら駄目だよ。

 寮監に見つかったら怒られちゃうじゃん。


 ***************************************

 ***************************************


 授業が始まった。


 本当にマンガ読んでいるし。

 授業を聴きながら、隣に座っているリーちゃんを横目で見る。


 な、な、な~~~~~!?

 な、何これ!?


 なんか、女の子と吸血鬼っぽい男の子がすごいことしているんだけど。

 唇と唇を合わしている。



 はわわわわわ。

 頬が熱くなる。


 脳裏にいつかリーちゃんと過ごした夜のことを思い出す。

 彼女の可愛らしい端正な顔。

 柔らかい乳白色の肌。


 彼女と重ねた唇の味。

 あれ、甘かったなぁ。


 それを思い出すと、授業に集中できなくなって来た。

 もう。


 ここ最近ずっとそうだ。

 あの夜のことが忘れられない。


 眼を瞑るとあの時の淡い思い出が映る。

 どうしてもあの記憶が消えてくれない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ