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6. お泊まり

「おつかれー」

「つ、疲れたよ〜」

 夜の8時。


 初日目から4時間労働は、普段運動していない私にはかなり堪えた。

 4時間ずっと立っていたせいか、若干、頭がぼんやりする。


 最後の客が帰ると、椅子に腰を降ろす。

「ふ〜。つ、疲れたよ。もう、夜の8時だね。寮は確か、9時だったから、時間までには間に合うと思うけど」

「そうにゃんね。でも、今日は泊まっても良いにゃんよ」

「え!? ほ、ほんとに!?」


 というわけで、私とリーちゃんはローズちゃんの家に泊まらして貰うことにした。


 喫茶店の奥にある階段を登ると、廊下があって、いくつかの部屋に別れていた。

 ちなみに、まっすぐ奥に進んでいくと、リビングと台所に繋がっているらしい。


 階段を上がった2階の右から3番目の扉のところにローズちゃんの部屋はあった。

「か、可愛い……」


 ローズちゃんの部屋は、いかにも女の子の部屋!!

 と言った感じのピンクと白を基調としていて、フリル満載の部屋だった。


 内装は確かに女の子らしいが、机の上はぐちゃぐちゃでとても『女の子』とは思えなかった。


 フェルトで作られた小物が沢山机の上に散らばっていた。

「これ、何……?」

「これは、フェルトなのにゃん!」

「いや、それは見れば分かるんだけど………」


 これ、どっからどう見てもお人形さんだよね。

 しかも、可愛い!!

「これ全部ローズちゃんが作ったの?」

「あ、う、うん。どうかな?』

 上目遣いで見てくる。


 濡鴉色の大きな瞳が覗く。

 ドクン、と心臓の鼓動が大きく鳴る。

 もう、なんでこんなにローズちゃんは可愛いんだろう。

「可愛いと思うよ。ね、リーちゃん」

「うん! とっっっても可愛い!!」

 私は首を縦に振って激しく同意する。


「でも、意外。ローズちゃんのがこんな趣味を持っていたなんて」

「む。それはどういうことなのにゃん!」

 頬を赤く染めて、大きく膨らます。


「い、いや、こんな器用なことがローズちゃんに出来たんだなって……」

「それ、みゃーの事を不器用だって言いたいのにゃ?」

 クリクリした瞳から異様な圧力を感じる。

 若干怖い。


「い、いや。別にそんなことないけれど……。それよりさ、どうやってやるのか教えてよ」

 彼女はふくれっ面の表情のままそっぽを向いて、

「べ、別に良いけどにゃ」

 モジモジしながらも本人の了解を得ることができた。


 そこから、ローズちゃんにフェルトのことについて教えて貰った。

 正確に言うと、「フェルトで人形を作る方法を教えて貰った」だ。


 そして、私達は気付いた。

 ローズちゃんがとても器用だったということに。


「む、無理……」

 私とリーちゃんは30分で挫折。


 そのあとは、恋バナとか(3人とも好きな人はいなかった)、女の子の話をしたり、トランプをして盛り上がった。


 人の家に泊まると、普段見ないその人の顔が見れる。

 それが、『お泊まり』の1つの魅力なのだろうと私は思った。

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