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5.もふもふ

 一通りお仕事の内容をローズちゃんから教えてもらった。

 あとは、実戦で腕を磨くだけ。


「それじゃ、ユリちゃん。接客をして貰ってもいいかにゃ?」

「私はローズちゃんの毛並みをもふもふしてたいなぁ」

 そう言って、彼女の尻尾を手で撫でてやる。


 ふわふわしてて気持ちいい。

「みゃう!!」

 ローズちゃんの体がビクッと動く。


 もしかして……。

 わさわさわさわさ――――。

 ローズちゃんの尻尾を精一杯愛でてみた。

「みゃう!! うぅ! うみゃぁ! ちょっ、ユリちゃん。そ、そこだけは触らないでなのにゃ」

 身体をくねくね捩じらせるローズちゃん。


 身体が細いだけあって、結構官能的で甘美的な感じになっている。

 右手で漏れる声を押さえるローズちゃん。

 やめてとか言われると、一層やりたくなるのが人の性だよね。


 彼女の尻尾を優しく愛でてやる。

「も、もうっ!! やめてっていってるのにゃ」

 ローズちゃんの手が私の手に触れる。


 放そうと抵抗を心掛けている。

 何とか私の魔の手から彼女は解放される。


 顔を赤く染め、はぁはぁと熱い息を漏らす。

「も、もう。いきなり何をするのにゃ」

「だって、そこにふわふわなしっぽがあったからついね……」


「そ、そんなことで触らないで欲しいのにゃ。そこは弱いのにゃから」

「へえ、弱いんだ」

 にたり、と顔を歪める。

 そんなことを言われたら、余計に責めたくなる。

 人間の性というものだ(本日2回目)。


「ちょ、ちょっと。なににゃ? その手は。何で両手を突き出して指を蛇みたいにゆらゆら動かしてるの?」

「えいっ!!」

 彼女の体をモフろうと、飛びついた。


 と思ったら、飛びついたところにローズちゃんはいなかった。

 右を見ると、彼女がいた。

「まてーー」

「もう、や、止めてなのにゃん!! お客さんが来たらどうするのにゃ!」

「大丈夫だよ。ちょっと、躓きましたって言えばいいんだよ」

「だめなのにゃ。もう!!」

「もっともっとローズちゃんの体をモフらせろぉぉぉぉぉ!!」


 カウンターを中心にぐるぐるぐる。

 私たちはハムスターみたいに回る回る。


 と、カランカランと扉の鈴が鳴った。

「ほら、接客接客。サラ、ユリちゃんのお手伝いをしてあげるのにゃ」

「ワカッタ。コムスメイクゾ」

「了解。任せてローズちゃん!!」



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