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4. お着替え

「それじゃ、そうねぇ。2人、2人で分かれてもらおうかしらねぇ。それじゃ、三人はカフェの方に行って。こっちが忙しくなることは滅多に無いから」

「分かったわ。おねぇちゃん」


 というわけで、私達三人はカウンターを通ってカフェの方へ向かった。


 木彫りの曲線美が美しい椅子に机。

 天井からぶら下がっているランプが、淡い琥珀色の明かりで店内を照らす。

 机と机の間と、奥の少し開けた空間に本棚が整然と立ち並ぶ。


 お店の中にある椅子が全部(もた)れ椅子なのは、店長の気遣いだろうか。

 ロダンな雰囲気の中に内装されている本棚の中に、様々な色彩の本が収められている。

 淡い光に照らされた店内は、妖精のいる森のように幻想的だった。


「うひゃあ!! 何この部屋! 綺麗!」

 このゾクゾク感たまんない!


「そうにゃんそうにゃん! このカフェはミャーで3代目だからにゃ。田舎からマルケドニアに引っ越してきた祖父がこのお店を建てたのにゃ。なんでも、コーヒーを入れることしか能が無かったからとかなんとか」

「それが、今まで続いているわけね」

「そうなのにゃん」


「ほら、こっちなのにゃ」とカウンターまで手招きをされた。

 一通り説明を受けた後、奥の部屋にある衣服室に案内されて、ロッカーの中から彼女と同じ服を着せられた。


 ――一言で言えばメイド服。

 ――でも、水色やピンク色など様々な色のがあってどれも可愛らしかった。


 ちなみに、私はピンク色だった。

 ローズちゃんと同じ色。


 ちょっと嬉しい。


「ミテミテ、ニンゲンダヨ」

「ホントウダ。ニンゲンダ」

 彼女の後ろから声が聞えた。


 小さな、鈴のような声。

 彼女の背中から、背中に羽を生やした妖精さんがひょっこり顔を出していた。

 ローズちゃんの背中を指さして、

「それ、妖精?」


「あ、ああ。これにゃんね。そうそう。妖精なのにゃ。可愛いにゃよね。ほら、怖がらなくてもいいから

 出てきていいにゃんよ」

 彼女はかなり妖精から信頼されているらしい。

 妖精たちは姿を現した。


 全部で三体。

 赤色のやつ、緑色のやつ、青色のやつ。


 ぼんやりとしているけれども、人の形をしているという事だけは分かる。

 彼らからは微かに魔力を感じる。

「時々、みゃー達のお仕事のアルバイトをさせてもらっているのにゃ」


「ソウソウ」

「ボクタチ、ヤクニタッテル」

「タノシイタノシイ」


「物を温めてもらったり、冷やしてもらったり、修理してもらったりにゃ」

「ソノブン、ボクタチマリョクモラッテル」

「モラッテルモラッテル」


 妖精と人間の共存か。

 珍しいなと思う。


 まあ、利害は一致しているから良いのかと思うけど。

「へえ。いたずらとかしないの?」


「ソンナコトシタラ、マリョクモラエナイ」

「ボクタチ、マリョクナイトイキラレナイ」

「なるほどね。良くできているわね」


 褒めると、ローズちゃんはニマニマ笑って、

「でしょでしょ。このお店はお客さんは少ないけど、色んな種族のお客さんが来るからにゃ。それじゃ、一通り仕事の内容を説明するにゃんね」

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