柑橘系の君
私はレモンだ。黄色くて酸っぱいレモンだ。
酸っぱくて、種類によっては甘みもあって、苦味も…
まさに、私が経験できなかった、青春と言うのもレモンみたいなものなのだろう。
もう、何年前の話だろうか。
…
私は、人から嫌われていた。当たり前のように、性格からだ。
容姿端麗というのだろうか。私はその部類に入っていたようだけれど、
性格がどうしようもなかった。
私自身も気づいている。こんな性格では駄目だと。
でも、性格というのは幼い頃からの癖の塊のようなもの。簡単には変えられない。
私は、ゲーム以外の何事にも興味がわかなかった。
恋愛も、学校行事も、喧嘩も。
ただのゲームみたいなものに過ぎないと感じていた。
選択肢を間違えれば好感度が落ち、当たっていれば上がる。
一年の中に決まったイベントがあって、それを攻略するため皆一生懸命やっている。
そんな世の中に飽きてきてしまった。
特別驚いたことも起きない。つまらない。
そんなとき、いつだっただろうか。確か、体育祭のとき、
ある事をクラスメートから言われた。
「もうさ、いっそ死んじゃえば?」
飽き飽きした表情でクラスメートは言った。
そうか。君も飽きてきてしまったんだね。そう思った私はクラスメートに言った。
「私も、飽きてきているんだ。一緒だね。」
そう言ったら、一緒にしないで。と言われた。
不思議だと思った。こういうときは、こう言うのが一番良い選択だったはず。
他に言うのだったら、
「なんでそういうこと言うの?」
だったか?いや、そういうのは求めていないのがクラスメートの表情から見て取れる。
このクラスメートはクラスの中でも、一軍のメンバーのトップだった気がする。
反論したら、身を滅ぼすのがわかる。
しかも、それにまた反論され、口喧嘩になり、大事になるのが目に見える。
私はそういうのが嫌いだった。
だからそっと、その場を立ち去った。