表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/36

お散歩は大事です

「お食事がすみましたら軽くお散歩でもしますか?といっても屋敷の敷地内だけですが。」


食事中に急にしょんぼりしだした私に気を遣ってくれたのかクロムさんがお散歩を提案してくれた。


え?お散歩??


心は人間だが体は柴犬、お散歩の言葉にしっぽとお耳がピンと反応する。

正直な体めっ!


あまりにもわかりやすい反応にクロムさんは苦笑し、宝物を扱うかのように

そっと抱き上げて館の外に出してくれた。

あれ?散歩って私が歩くんじゃないの?


正面玄関を抜けて東の方のバラ園らしきところまでゆったりと歩く。

クロムさんが…。

その間私はクロムさんの腕の中。


あのーこれって私の散歩じゃなくないですかね?

甘やかすと我儘ボディになっちゃいますよ。


でもまぁいいや、外の空気は気持ちいいし、クロムさんの腕の中はあったかくて楽ちんだし。

相変わらずのNOと言えない、長いものには進んで巻かれちゃう心は日本人な私は

されるがまま、ゆっくりと日差しと景色を味わうことで満足してた。


「ここが我が屋敷の自慢のバラ園なんですよ。見事でしょう?お嬢さんの方が

はるかに綺麗で可憐ですけどね。」


様々な種類のバラが咲き誇り、アーチがつくられ、その向こうには

バラの垣根で迷路になっているようだ。

これぞお貴族様って感じの庭園!

専属庭師が丹精込めて作り上げたであろう作品と比べないでいただきたいですよ。

自分はしがない柴犬ですし。

そんな見事な芸術作品の前で、ただの柴犬な私を褒めちぎるクロムさん。


ごめん、ちょっと意味わかんない。

柴犬とバラを比べる意味もわからなければ、柴犬が勝つとかもっと意味わかんないよ。


でもクロムさんがご機嫌なのだけはわかった。

その証拠にクロムさんの周りがキラキラしている。

さすがキラキラ属性、実際に光っているように見えるよ!


ってあれ?キラキラが移動してきた。

私の前に


わたしもついにキラキラ人の仲間入り?

いや、今人じゃなくて犬だけど、柴犬だけど


と思ったらキラキラしているものから声が聞こえてきた。


『ねぇねぇ 君 この前森で倒れてた子でしょう?元気になったのー?』

『僕たちが見つけたんだよー元気になって良かったねー』

『元気になったなら 遊ぼうよー』


移動しているキラキラしたところから聞こえる声の主を見つけようとじっと見つめてたら

羽の生えたちっっちゃい子供みたいな子たちが見えた!!


おぉこれってマジでファンタジー!

精霊さんってやつですか?


見つけてくれてありがとう。

そのせつはお世話になりました。

この通り元気です。

遊びたいけど今はクロムさんに抱っこされているのでまた誘ってくださいねー


って一生懸命おしゃべりしようと頑張ってみたけど


「わふっ」


としか声にならなかった。

…通じたかな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ