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お世話になります。

「アル、まずは落ち着いて座ってください。あぁ、人払いをしてありますので、お茶は出ませんが」


銀髪三つ編みさんは金髪サラサラさんに向かって座るよう指示した。

そういえば、人払いしてたのかぁ、通りで大きそうなお家なのに銀髪三つ編みさんしか居なかったのか。

そして銀髪三つ編みさんは、クロムというお名前なのね。

ふむふむ、で、金髪サラサラさんはアルか…。

キラキラ集団はここでもイケメンそうな名前なのね。

銀髪三つ編みさん改め、クロムさんに撫でられながらぼんやりとそんなことを考えてた。

これを現実逃避と言うのかな?


「茶などいらん!それより姫君を早く見せろ!」


イライラしながらアルさんがじっとクロムさんの腕の中の私を見つめている。

そんなに見つめられると怖いよ。

また耳がペタンとなるよ。


「確かに始祖…。完全なるお姿だ…。クロムどこで姫君を?」


耳がペタンとなっている私をまた励ますように撫で続けてくれるクロムさん。

本当に優しい。

嬉しい。

尻尾がぱたぱたしちゃう。

…柴犬になってから嬉しいとか悲しいの感情の沸点がだいぶ下がっている気がする。


「だから、そんなに怯えさせないでください。後ほど報告書は提出しますが、彼女は裏の森の入り口で発見しました。森の精霊たちが騒ぐので、見に行ったら、彼女一人で倒れていたのですよ。」


ほうほう、私森の中にいたのね?

って精霊?どこのファンタジー?

クロムさんの腕の中で撫でられながら驚愕する私。ファンタジー過ぎてびっくりだよ。


「そんなバカな…。」


マジでバカなお話ですよね。わかります。

私もまだ夢だと思っておりますから。


「本当です。精霊が周りを守っておりましたが、一人きりで倒れておりました。おそらくですが、どこかの闇組織もしくは貴族に捕まっていたのを逃げてきたのではないでしょうか…。まだしゃべることも、変化することもできないようですし。」


しゃべる?変化??なにそれ?こっちの柴犬そんなことできるの?

柴犬すげーって私そんなことできる自信無いよ。


「ふむ…その可能性が一番高いか…。」


え。高いんだ?

私そんなんじゃないよ?ちょっと夢の世界からの通りすがりのただの柴犬だよ?

夢からさめたら、しがない社会の歯車だよ。


「ともかく今部下に調べさせているので、その間私の方で保護させていただきますよ。」


すみません、夢から覚めるまでお世話になります。クロムさん。


「ふむ、それが一番良いのだろうな。本来なら王宮で保護したいところだが、私だと怯えてしまっているからな…残念だ。」


王宮…アルは本物王子さまですか?

サラサラ金髪で碧眼、俺様性格。

期待を裏切らない王道ですね。さすがです。

ということは、クロムは宰相様とかですかね?

銀髪クール美人な宰相。セオリーです。


というか、撫でられて続けて眠くなってきました。

さすが子犬、欲求に忠実ですよ。



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