分岐 成瀬ルートへようこそ
思った通り、満月の元、神様がやってきて
私に問う
すぐさま私には決断は出来なかった
この世界は私を甘やかしてくれる
気が付くとその優しさにどっぷりと浸ってしまい、怖くなるくらいだ
このまま、その甘さと優しさに溺れてしまいたい
何度もそう思った
だけど…
「現実の世界で待っているから だから絶対帰ってきて
帰ってきてくれるまで ここで待ってる」
夢で聞いた一言が私を引き留める
現実の世界…
ここは?現実じゃないの?
偽り?
ううん 確かに存在している世界だ
でも…
私にとっての現実の世界はあちらだ
甘やかしてくれる優しい世界ではない
毎日、満員電車に揺られてぐったり疲れて
怒られたり、悲しくなったり、イラつくこともある
それでも…
「待ってる」
現実の世界は私には全然優しくないけど
それでも私を待っててくれる人がいる
ちっぽけな、周囲にすぐ紛れ込んで
見えなくなってしまう私を
待ってるって言ってくれる人がいる
それだけで十分だ
私には帰らなくちゃいけない場所があるんだ
あの世界で私はこれまで生きてきたのだから
「クロムさんに心からのお礼とお詫びを」
こんな私を保護してくれてありがとうございます
幸せでした
楽しく過ごせたのも全部クロムさんのおかげです
優しい手、大好きでした
何も恩返しも出来ず、ごめんなさい
クロムさんの幸せ
遠い世界からだけど祈らせてください
本当にありがとうございました
直接会って話そうと思い
少し時間をもらおうと思ったが
神様はちょっと首を傾げ
今クロムさんのところに行ったら
「拉致・監禁」されるとちょっとわけのわからないことを
言われた
そんな事、あの優しいクロムさんがするわけないのにね?
なので、短いけど精一杯の気持ちを込めて
手紙を書いた
柴犬じゃなくてよかった…
ペンが持てるって素晴らしい…
クロムさん…逃げるようにいなくなってごめんなさい
でも、私は、帰りたい
※※※
こちらの世界に残りますか
YES
→NO




