可愛いは正義なんです
そして柴犬としての生活がまた始まる
以前よりも甘やかされ具合が増して辛い
幸せ過ぎて辛い
そして太りそう…
そう、移動は全部クロムさんの腕の中で納まっているだけという
どこの王族だよっていう
運動らしきものは人間の姿の時ベッドの上だけとか
どこの18禁ゲームだよっていう
赤面ものですわ
このままでは精霊さんのお腹ジャンプ遊びで
喜ばれてしまうだけだ
きっと、『わーお腹前よりぽよぽよで楽しいー』とか
言われてしまう
うわっリアルに想像できて怖い
よし、ボール投げでもして貰おう!
ってことでボールを咥えて、クロムさんをテシテシ叩いて投げてもらうように
お願いした
これをなるべく遠くまで投げてください
それを私が走って取ってきますので!
ボールをテシテシ叩いて中庭を奥を前足で指す
で、ダッシュする素振りを見せて説明する
わかってもらえたかな?
首をコテンと傾けてクロムさんを覗き込む
クロムさんはにっこりと笑ってボールをつかみ
中庭へ投げてくれた
やった!わかってくれた!!
早速取りに行ってきますねー
とダッシュしようとしたら後ろからガシッと捕まれ
そのままクロムさんの腕の中へ閉じ込められた
え?なんで??
抱っこされたらボールとりに行けないですよー
ジタバタしてたら目の前にボールが現れた
え?
「リン様 ボールを使って使用人たちの訓練ですか?さすがですね」
使用人たるものあらゆる不測な動きにも俊敏に対応する
大事なことですね
そう言ってまた、にっこり
違います…
私が取りに行きたいのー
使用人さんたちのびっくり俊敏には遠く及ばないけど
柴犬だってやれば出来る子なの
ってか動かないと太っちゃうのー
自分のお腹をパシパシ叩きながら訴えて走ろうとする
するとフムとクロムさんが頷き私を下してくれた
「リン様はもしかしてふくよかなお体になられることを心配されてますか?」
あ、わかってくれた!
勢いよく頷く
わかってくれたなら早く投げて投げてー
「クスッ何故そのようなことを心配なされるのでしょう こんなにとてもお可愛らしいのに」
再び抱き上げられて、耳元で甘く囁かれる
そしてお腹のあたりを撫でられた…
あぅそこは一番気にしているところ…
「それに…満月の夜の運動では満足出来ませんか?次回からはもっと激しくしましょうか…」
さらに低く艶を帯びた声でとんでもないことを囁かれた
その言葉の破壊力はとんでもないもので…
柴犬にはその言葉刺激が強すぎます!!
ボールを投げて貰ってないのに腕から飛び降り全力で走り去って行き
ほてりがおさまるまで、中庭を走りまわることになった
「お可愛らしすぎにも困ったものですね」
あの時、迷いながらもこちら側の世界に留まることを決意してくれた愛しい人(犬)
あまりにも可愛らしすぎて、ついついかまい過ぎてしまう自分に苦笑し
それでも手放すなんてことは出来ないだろうと再確認するクロム
あまりにも微笑ましいその風景を空の上から覗き見ながら神様は呟く
「可愛いは正義だからね!私いい仕事した!!」




