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異世界転生行いますか?
あれから何日も月日が流れた
クロムさんは相変わらず柴犬の私を甘やかしてくれて
満月の日には人間の姿の私に愛を囁いてくれる
夜には成瀬さんが毎日待っててくれて
他愛のない話をしてくれながらも
時々甘く優しい言葉を紡いでくれる
何故こんなことに
もうこの言葉に尽きる
流されやすい私はどっちつかずだ
どちらの手も心地よくて暖かくて
どちらの手も離したくないと思うのは
ずるい考えだろうか
でもそれじゃダメなんだよね
今日は満月の夜
何回目かはもう忘れた
それだけこちらの世界に長く居ることになっているんだろう
そろそろ私の本体も癒されているはずだ
魂だけでも自分の本体の状態は何となくわかった
多分今日は神様がやってくる
そして私に決断を迫るだろう
こちらの世界に残りますか
YES
NO
さぁ決断の日だ




