後から確信犯だと知りました
「姫?もう少し菓子を食さぬか?食べさせてやるぞ」
「そんなに甘いものばかりでは、飽きてしまいますよね、さぁお茶をどうぞ」
今の私の現状を説明しよう
今私は立派なソファーの上にふかふかクッションを幾重にも重ねられた上に座り、
右側に金の王子さま、左に銀の美人さんに囲まれて、これでもかと甘やかされてます…
両手に花だよ☆やったね☆
ってこれどこの乙女ゲーム…?
ヒロイン柴犬て誰得?
本当にマジで無理ー
私のキャパは既にオーバーしておりますです、はい
今私に出来ることと言ったら、高そうなクッションに爪を引っ掻けないないようにすることと、
食べさせてくれるクッキーをこぼして、汚さないようにする事位デスヨ
一生懸命こぼさないように、そっとつまんで口元に運んでくれるクッキーを
ハムハムしようとして、うっかり王子さまの指ごとパクリとしてしまいました
あぅ 不可抗力とはいえごめんなさいー
お口思い切り開けたのがいけなかったか…
指痛い?大丈夫??
思いきりじゃなかったから血出てないと思うけど…
あわてて、ごめんなさいと指をぺろぺろ舐めてしまったら
王子さまとクロムさんにガン見されてた…
え…これってもしかして王族に傷をつけるとは何事かーっていう流れ?
不敬罪とかなっちゃう系?
わーーん
ごめんなさい!ごめんなさい!!
更に高速でぺろぺろして謝り倒す
その間、うっとりと王子が私を見ていたことには気付いていなかった
するとクロムさんが私を抱きかかえて
王子の指から引き離された
「そんなもの舐めてはいけませんよ 病気になってしまいます ペッしなさいペッて」
「おい、仮にも主君に向かってそんなものとは何だ…ばい菌か?」
「似たようなものですよ はい、お口直しにお茶をどうぞ」
クロムさんの辛辣な物言いに不満げな王子さまを見事にスルーにて私に
カップを近づけお茶を飲ませてくれた
…いいのでしょうか?上司ですよね?彼、王子さまですよね?
恐る恐るカップに口を近づけて飲もうをする
でも犬なんです
カップだと、うまく飲めない
カップを傾けて貰って、舌を伸ばす
うー浅いお皿に入れて下に置いていただければ一人で飲めるのですが
でもせっかく好意で飲ませてくれるんだもん
文句は言えない
頑張ってちょっとずつ、舌を伸ばして飲もうとしたら
クロムさんが支えてくれていたカップが揺れて
お茶がクロムさんの指にかかってしまった…
あぁぁあ!!
また粗相したぁぁ
ごめんなさい!ごめんなさい!!
お茶がかかってしまった指を一生懸命舐めた
やけどしてない?
柴犬用に入れて貰ったお茶だから、熱くないはずだけど
ごめんなさい
ダメな柴犬でごめんなさいーー
王子さまに引き続き、クロムさんにも粗相をして
パニックになり一心不乱に舐めている柴犬を
先ほどの王子さまと同様にうっとりとクロムさんが見ていて
それを王子が不服そうに睨みつけているなんて
知る由もなかった
「…ずるいぞ クロム 少しは譲れ」
「はて?なんのことでしょう?」




