キラキラ集団リーダー 成瀬視点2
皆藤が事故に会った日の夜
夢を見た
事故の連絡を受けた時
すぐさま病院に駆け付けたが
親族でも無ければ、恋人でもない
ただの会社の知り合いでしかない俺は
当たり前だが、皆藤に会うことが出来なかった
一目だけでも会いたくて粘ってみたが
周りを困らせるだけだった
心配して傍にすら居る出来ない立場の自分に苛立ち、
誰もいない自宅へと帰り酒をあおり
身勝手な喪失感に駆られ落ち込み
いつの間にか寝てしまっていたようだ
願望が見せた夢なのか
目の前には皆藤が居た
たくさんのコードで様々な医療機器に繋がれ
無機質なベッドに横たわっている姿は
とても痛々しかった
すぐさま傍に駆け付けたかったが
見えない壁が俺と皆藤を阻んでいて
どうしても近づくことが出来ない
皆藤
起きてくれ
いつまで寝ているんだ?
今度の休み一緒にみんなで海に行くんだろ
俺お前の水着姿楽しみにしているんだ
皆藤
お願いだから
起きてくれよ
目開けてくれよ
俺を見ろよ…
見えない壁を叩きながら
叫んだ
涙で皆藤の姿がぼやけてきた頃だろうか
皆藤のベットの横に淡く光っている白い人物が現れた
そっと皆藤の体に手をかざした途端
皆藤の体が同じように淡く光りだした
連れて行かれる
咄嗟にそう思い更に叫ぶ
やめてくれ
彼女を連れて行くな
すると叫んでいる俺に気が付いたのか
こちらに近づいてきた
ちょうど見えない壁を隔てたところで立ち止まる
白い人の顔は淡く光っているせいかよく見えない
それでも何故か笑っているように思えた
「今晩は 突然ですが ゲームをしませんか?」
そう俺に告げた
淡く光っている白い人は神様だと言った
別の世界を管理しているとも言っていた
皆藤とは事故の日たまたま傍にいたとのこと
彼女の体はとても傷ついていて助けるために
魂だけ自称神様の管理している世界へと送ったそうだ
体が回復次第、魂を戻せば元の状態に戻れると…
ここまでは多少胡散臭いけど、皆藤が助かるならと感謝した
だがここからが問題だった
自称神様はこれはゲームだと言った
皆藤を助けたのも面白そうだからだと
皆藤を送った世界の住人はとても皆藤を気に入っているらしい
大切にしてくれているのはありがたい
こちらで生死をさまよっているより遥かにましだ
だが、そのままそちらの世界に皆藤を渡すつもりなど俺にはない
夜短い時間だが皆藤に会えるよう夢の中で世界を繋げてくれるという
お互いの世界に彼女を欲しがっている男たちがいる
選ぶのは彼女
今、彼女は家族に会いたいという理由でこちらの世界に帰りたがっています
でもそれでは面白くないでしょう?
彼女に会いたいならこちらの世界に留めてみなさい
あなたの力で
そう これは ゲームなのだから
自称神様はそう言って消えた
これは俺の願望が見せた夢だと思う
だけど俺の手の中には見た覚えも無い
赤いリボンが握られていた
今夜皆藤に会える
そう確信した
ゲームだとかふざけるなと思う
だけど、それに勝てば皆藤を取り戻せるというなら
受けてたってやろう




