プロローグ
初投稿です。生ぬるい目で見守ってあげてください。
あれは暑い夏の日だった
「ねえ、皆藤さん今週末暇?海とか好き?俺たちと遊びに行こうよ」
海外事業部の電灯が切れたというので軍手を着け脚立に上り
せっせと交換をしていた時に、何の気まぐれか
会社のキラキラリア充集団のリーダー(笑)と思しき人に
今週末海へ誘われてしまっていた
花(笑)の海外事業部及び秘書課の皆さまが中心の
キラキラ集団様に対し、私は単なる庶務課の下っ端
部署の電灯が切れたとかコピー機が詰まったとかで
呼ばれるくらいしか面識がなったお方達だったのに謎だ
→はい
イエス!マム!
喜んでー!
断られるなんて微塵も思っていない迫力で聞いてくる
キラキラしいお方からのお返事なんて選択肢はこの3択のみだった
そもそも長いものには巻かれろ精神でやってきた私にとって
キラキラ集団様達からのお誘いに断れる勇気なんて、持ち合わせていなかった
別にキラキラ集団様に入団させてもらおうとか思ってはいない 断じて
現代社会にも身分制度はある
あちらはエリートキラキラ様
私はその他大勢 いわゆるモブだ
ただ、誘われたからにはキラキラ集団様達に恥はかかせられない
白鳥集団に混ざっててもちょっと違和感あるなくらいの
アヒル程度にはなっておかねばという強迫観念
かくして私の短期集中ライ〇ップも上回るダイエット生活の始まりだった
そうして始まったダイエット生活中の私は業務終了後、ジムに行き
たっぷりと汗を流してから、フラフラと駅に向かっていた
手にはつい先ほど水分補給のためコンビニで買った
ダイエット烏龍茶のペットボトルと何故か高カロリーな菓子パンを持っていた
無意識って恐ろしい
慌てて目につかないようカバンにしまおうと立ち止まる
その時足元にやせっぽちな黒猫が目に入った
「にゃぁ…」
か細い声でおねだりされた
どうせ私が持ってても食べないものだ
塩分とか気になるけどあげても大丈夫かな?
そう思案しているときに、上のほうから大音量の金属音と叫び声が聞こえた
「うわぁ…危ない!!」
何事?と反応した時には私は地面に倒れてた
目の前は真っ赤だ
私の血?
痛みはない ただ熱い
周りの音も聞こえない
なんかもうダメだなぁという予感
そうだ、あの黒猫は大丈夫だったかなぁ?
パンあげれば良かったね
パンと言えば実家の柴犬のチロちゃん元気かな?
チロちゃんの背中、色合いが焼きたての食パンみたいで
今思えば、美味しそうだったんだよね
それにしても…お腹空いたなぁ…
これが
ビル解体工事中の鉄筋落下事故に巻き込まれた
この世界での私の最後の記憶だった




