表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法大国の主力学校  作者: 白谷 陸
9/11

試験終了、入学

空が元の姿に戻ると、赤い髪の男が話しかけてきた。

「本当に強いね、君。期待して待ってるよ」


 そういって、肩に手を置いた後、去っていった。

 すぐさまボロボロになった請負人が運ばれて行き、空も観客席に戻ると、試験は何事も無かったかのように続行された。

 

 結局空以外に請負人を倒した者はいなかった。陽介でさえ、Aランクに圧倒された。

 もちろん空は合格。特待生にもなれた。




 そして、入学式も終わり、登校初日。

 学校に着くと、学科の張り出しがされていた。珍しい事に、この学校では学科は試験の後に、近接戦闘学科、魔法学科、潜入学科、総合学科の内のどれかに分けられる。

 だいたい実戦の時にもこの4つに分かれるそうだ。

 近接戦闘でシンプルに戦い、魔法で遠距離からトリッキーに戦い、相手の懐に忍び込んで得た情報を仲間に報告しつつ戦い、そしてそれらを総合的に使いつつ戦う。

 そうやって、うまくバランスを取っているのだ。

 もし誰かがやられたりいなくなったりして人が足りない時には、総合的にできる人が補うしかない。

 必然、総合的にできる人がどれだけ強いかでそのチームの強さはがらりと変わってくる。

 だから、総合学科にはバランスのいい強豪達が集められる。


 もちろん空もそこに入れられた。


 陽介は近戦(近接戦闘学科の略称)だったし、柚希は潜入学科だった。つまり空は今1人である。早く友達を作らなくては。

 だが、こういう事に限っては焦っても逆効果だ。学校に入ってから、あえてゆっくり教室に向かっていく。 廊下を歩いていると、もうすでに友達作りに励んでいる人もいて、なかなかいい雰囲気になっていた。


 これは・・・いける! 自分から声を掛けなくても、相手の方から声を掛けてくるだろう。

 

 だが、そうもうまく物事は進まなかった。いくら待っても誰も声を掛けてこない。おそらく、圧倒的に強かった空に対して恐怖を抱いているのだろう。こうなると思ったからセカンドフォームは使いたく無かった。


 

 誰にも声を掛けられないまま、朝休みが終わった。

 

 朝休みが終わった後、自己紹介の時間が来た。皆に自分をアピールするいい機会だ。皆はりきっている。空の名簿番号は4番なので、すぐに順番が回ってきた。

 

 ここで失敗すれば、数少ない機会を逃してしまう事になる。絶対に失敗する訳にはいかない。できるだけ落ち着いて、はきはきと話始める。

 

「名簿番号4番、落合 空です。両親も請負人をやっています。魔法は苦手ではないのですが、技をあまり知らないので、知っている人がいたら教えて貰いたいです。気軽に話しかけて下さい。よろしくお願いします」


 よし、自然な形でアピールできた。まあ上出来だろう。そう振り返っていると、生徒の手が上がった。


「あの、セカンドフォーム見せてもらって良いですか?」


 ・・・空に爆弾を落とすために。


 まずい、どうする落合 空! 無理ですって断るわけにもいかないし、かといってあの形態になったら笑い事じゃ済まないぞ!

 いや、もしかしたら。これは自虐ネタにしてしまえるチャンスかも知れない。やれ、やるんだ落合 空!

 空の頭をその様な思考がぐるぐると回り、結論が出された。


「【セカンドフォーム】」


 そう空が呟いた瞬間、学校全体が不気味な雰囲気に包まれる。

 総合学科の生徒だけでなく、全学科の生徒が空達の教室に集まってきた。

 

 皆、ドン引きしている。


 その空気の中、聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「うわ空怖っ! イケメンなのに、皆ドン引きじゃんw」

「うるせぇ! 俺だってこんな事やりたくも無いのに我慢してやってんだぞ!」


 空は元の姿に戻り、泣きそうになりながら反論した。


「くっそう、お前は良いよな、陽介! 優秀な生徒で済まされて。こっちは怖がってお前以外誰も寄って来ねえよ!」

「いや、俺も寄ってねえんだが。今も3mは離れてるぜ?」

「お前もか!」


 2人でアホな言い争いをしていると、横から女子が空に話しかけて来た。


「そこのあなた、そんなに友達が欲しいのなら、条件付きで私がなってあげましょう。簡単な事です。模擬戦で、私に勝利して下さい。ただし、セカンドフォームとやらにならず、手も使わずにです。日時は、明後日の放課後。場所は、闘技場。待っていますよ」


 何か、模擬戦申し込まれた? 大変そうだな・・・


 だが、よし! これで友達を作れるなら、安いものだ。絶対に負けない。


 思いがけないチャンスの到来に、闘志を燃やす空だった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ