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魔法大国の主力学校  作者: 白谷 陸
8/11

第二形態

柚希の試合が終わってから数十分後、空の試合の番が来た。

位置について、相手を待つ。すぐに、相手が出てきた。


「よろしく、落合君」


 そう言った相手の雰囲気は、さっきまで上から見ていた請負人の物とは違っていた。空気がドロッと重苦しくなったような感じがする。本気を出さなければ勝てない。もしくは、空の本気を持ってしても勝てないかもしれなかった。

 

 そして、試合開始。空の力を知っている誰もが緊張した面持ちで戦いを見つめた。

 暫しの間睨み合った後、先に動いたのは空だった。他の受験者とは比べ物にならない速さで相手の後ろに回り、強めの蹴りを放つ。あまりの威力に闘技場全体がバキバキと嫌な音をたてた。

 

 手応えあり。確実に当たった。そう思った空だったが、その蹴りが当たったのは相手ではなく、何も無い空間から出てきた手だった。

 途端に、観客席がざわめきだす。


「おいおい、あれって呪いだよな!?」

「あいつ、絶対Aランクじゃねえだろ!」

「そんなに落合ってやつ強いのかよ・・・」


 すると、蹴りを受け止めた手が空の脚を掴んだ。細く見えるがとても力が強く、いくら引き離そうとしても全く動かない。

 それだけでは無かった。その手が出てきた空間の裂け目に空を引き込んで来る。


「忠告しておくけれど、一度その空間の裂け目に入ったら、僕でも出すことは出来ないよ。死ぬまで空間を漂う事になる。本気を出すなら今の内にね」

 

 こうなったら、やるしかない。極力使いたくはなかったが、こんな所で消えるよりはまだマシだ。


「【セカンドフォーム】」

 

 そう空が呟くと、黒かった空の髪は白く染まり、目は赤く色付いた。

 変わったのは外見だけではない。力も段違いだ。脚を掴んでいた手を無理矢理引き離す。


「ほう! 呪いを自力で解除するとは! なかなかの力を持って」

「うるせぇ」


 鳩尾に殴りを叩き込み、強制的に話を止めさせる。いつもの空ならこんな事はしなかっただろう。

 意識は普通なのだが、この姿になると性格が悪くなってしまう。

 

「素晴らしい! 呪いの発動より先に攻撃を当てるとは! それでは私も本気を出させてもらうよ」


 空の攻撃を避けながら相手がそう言うと、周りの空間が裂け始め、無数の手が出てきた。


「ここまで強い呪いを使うのは久しぶりだ。さあ、楽しもう! じぃっくり時間をかけて、呪い殺して差し上げるよ! ふ、フフフフ、アハハハハハハハ!」


 そして、無数の手が空目掛けて襲い掛かってくる。


「気色悪い。触りたくもない」


 空は両手にエネルギーを集め、襲い掛かって来た手に放つ。

 魔法なんて大層な物ではない。ただ莫大な量のエネルギーを圧縮した後、一気にそれを前に解放しただけだ。

 それだけで、相手を倒すには十分だった。手は消し飛び、それは相手に直撃する。生死をさまよう事になるだろうが、医務室にはとても優秀な回復魔法の使い手がいるらしいので、おそらく大丈夫だろう。

 

 問題はそこからだった。空はエネルギーを放ち過ぎたらしい。それは相手に当たるだけでは物足らず、観客席の受験者達に向かって一直線に進んで行く。


 まずい。あの一撃でエネルギーを使い過ぎて、今の空には自分で放ったエネルギーを消す力は残っていない。

 空がどうしようかと焦っていると、同レベルのエネルギーが逆方向から放たれ、相殺した。


「いやー、今年の新入生はバケモノだねー。あと一歩遅ければ皆死んでいた所だったよー」


 空のエネルギーを相殺させたのは、赤く煌めく髪を持った男だった。




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