緊急会議
柚希が倒され、医務室に運ばれた少し後の審査委員室では、審査委員である請負人たちの話し合いが行われていた。
まずは、議長が議題を持ち出す。
「今年はロクな奴がいないと思っていましたが、如月柚希さん、あの人なら特待生にしても良いくらい強かったですね。Aランク相手に13歳があのレベルの戦いを繰り広げるとは思いませんでした」
どうやら、柚希を特待生にするかどうかの話し合いのようだ。特待生になると、現国王に会える上に運が良ければ稽古までつけてもらえると言うのだから、毎年しっかりと選考している。
「確かに如月は強かった。だが、一人桁違いに強い奴がいたのに気が付いたか?」
「ええ。学校に受付で入って来た時点で。あれはまずいですね。もし私達が戦ったら、間違いなく死ぬでしょう」
Aランクにもなると、強いか弱いか見るだけで分かる。そして、自分達の手に終えないと判断した人物は・・・
「落合 空君だね」
「他にも如月君を凌駕する程強い受験者はいました。咲村陽介君などです。ですが、落合君は格が違います。あそこまで強いなら、Sランクを呼ぶしかありませんね」
Sランクは、100人しかいない精鋭中の精鋭だ。Aランクと比べると、ハッキリ言って天と地ぐらい違う。
「至急、空いているSランク請負人を連れてきてください。落合君の試験はもうすぐですよ」
議長がそう命令を下すと、審査委員達は準備に取りかかった。