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魔法大国の主力学校  作者: 白谷 陸
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約束

空の家に着いた二人は、早速加工を始めた。加工と言ってもとても簡単な物である。

石を磨き、母のかけた魔法でくっつくようになった紐でそれを結ぶだけ。

すぐに、宝石のネックレスができあがった。


「ネックレスも作り終えたし、今日は一回家に帰った方が良いんじゃない? ご両親も心配してると思う」

「親は今日も依頼が来てるから大丈夫。すぐ帰るけど、一つ提案させてくれよ」

「いいけど」

「じゃあ遠慮なく。将来は空も請負人になるつもりだろ? 請負人になったら、俺らでチーム作らない?」

 

 全請負人は王都のデータバンクに登録されているが、その中でもチームを作ることができる。

 チーム対抗の模擬戦もあり、上位のチームが沢山の依頼を勝ち取れるという仕組みだ。


「俺は今は弱いけど、人の何倍も鍛えて、いつか空よりも強くなってみせる。だから将来、俺が強くなっていたら、俺と組んでくれないか?」

 答えはすぐに決まった。

「良いよ。どっちがより強くなれるか、勝負だな」

「じゃあこのネックレスは、約束を忘れないために、常に身に付けてようぜ」

「了解。なくすなよ」

「空こそな」


 それだけ話すと、陽介は空の家を出ていった。 


 陽介が帰った後、獣の血が着いた服を着替える。動きやすく、気に入っていたのだが、森に行ったことが知られてはただでは済まない。しぶしぶ空はその服を庭の地中深くに埋めた。

 そして、食べていなかったおにぎりを食べると、何だか眠くなってきたので、すぐにベッドに入る。今日はたくさん動いたので、空はすぐに眠れた。


 次の日。朝いつも通り登校し、午前中授業を受け、午後に家に帰ってくると、空の両親が居た。空は、昨日の事を森に行ったこと以外は全て話そうと思った。


「ただいま」

「お帰り」


 そんないつもの挨拶の声からの機嫌が良いことを読み取った空は、すぐに両親の居るリビングに向かい、身体能力が格段に上がったとだけ話した。

 すると、父、一也が質問をしてきた。

「何ができるようになったの? 例えば、岩を砕けるとか、分かりやすいやつでお願い」

 昨日小さな山を砕いた空である。岩を砕くくらい、なんてことのない作業だ。道端に落ちていた岩を庭まで持ってきて、軽々と砕いて見せる。

 それを見た母が、興奮気味に言ってきた。

「この歳でそれだけ力があれば、中心街の学校、行けるわよ、絶対!小学校卒業したら、受けてみない?」

 将来のためになるだろう。断る理由が無い。

「父さん、受けてみて良い?」

「ああ、もちろん。そうと決まれば今日から特訓だな!父さんが手伝ってやる」


 それから、特訓は毎日続いていった。




 そして5年後、現在。


「空、起きなさい。受験に遅れちゃうわよ」

「今起きたとこー」


 小学校を卒業した空は、中心街の請負人育成学校の受験日を向かえていた。

 最高の目覚めだ。今日は自分の力を十二分に発揮できるだろう。

 ・・・なんて感じだったら良かったのに。空はそう思った。昨日は緊張してあまり眠れなかったし、寝違えたのか背中と肩が痛い。更に、受験ではペーパーテストなど無く、本物の請負人との戦闘で全てが決まる。その請負人というのが、揃いも揃ってAランクだというのだ。空は心中穏やかではなかった。

 だがその反面、自分の力がAランクにどれだけ通じるのか、楽しみでもあった。

 獣を倒した後に特訓もしたし、空にはそう簡単にはやられない自信があった。今では両親も余裕で倒せるくらいの力はある。

 空の体はまだ痛いままだが、行こうと決心し、部屋を出た。

 少し予定より遅れてしまっている。空はバナナを無理矢理口の中に突っ込み、動きやすい薄手のパーカーに着替え、慌ただしく支度を済ませる。

 支度も終わり、靴を履いていると、両親が見送りに来た。


「頑張って来いよ」

「私達も少し後に見に行くからね。期待してるわよ」

「了解。最善を尽くすよ」


 そういって、空は家を後にした。




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