六話 奪還
なんか文が粗くなってる気が
「重大な事に気が付いてしまった」
あの後、何度か群衆の中にイケメンを見つけては殺意を送って、吐く音を聞いて嘔吐を繰り返して漸く冷静になった。アインは学習できる精霊だ。
今は繁華街のベンチに二人で肩を寄せて座っている。アインは美少女にしか見えない為、周囲から爆弾は飛んでこなかった。
「えっと、何?」
「今って、あれから三百年経過してるよな?」
「うん」
アインは小さく発動させた『亜空経路』に手を突っ込むと、二枚の金属製のカードを掴んで引き寄せる。
「ギルドカード?」
ギルドには幾つか種類があり、その構成員にはカードが渡される。アインが取り出したのは黄色と赤色のカードで、黄色は商人ギルド。赤色は冒険者ギルドをそれぞれ象徴している。
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アイン
Aランク魔導具製作者
Aランク鍛冶職人
Dランク調合師
称号
・魔剣鍛冶師
・聖剣鍛冶師
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名前 : アイン
ランク : EXランク冒険者
性別 : 男
レベル : 0
筋力 : SS
耐久 : S
魔力 : EX
敏捷 : SSS
気功 : EX
称号
・ゴブリンキラー
・無限倉庫保持者
・熟練の運搬業者
・ブラック・インセクト絶滅の当事者
・神を超えた超絶美少女剣士
・戦略級冒険者
・戦略級魔導士
・股間クラッシャー
・迷宮踏破者
・ソロ冒険者
・血塗れの戦姫
装備
頭 : なし
耳 : アティエル・イヤリング【EX】
首 : ケメティエル・ネックレス【EX】
腕 : 抑制刻印【EX】
手 : ベリアル・リング【EX】
胴 : 水色のパーカー【H】
腰 : 革のベルト【I】
背 : なし
脚 : ジーンズ【H】
武器 : なし
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「三百年前のだけど、使えると思うか?」
「無理かな。もし使えても絶対騒ぎになるよね」
「そう。つまり今の俺たちには………金が稼げない」
「へ?でもお金ならいっぱいあるよ?」
アウル『亜空経路』から、三百年前の世界共通の金貨を摘まみ出す。
「それは使えない。周りを見てみろ」
アウルはそれに従ってキョロキョロすると、見たこともない通貨で売買している光景が視界に映る。
「な?」
「うーん……だったら———」
「そこのお嬢さんたち、少しいいかな?」
「———はい?」
ベンチの前には、白銀の軽鎧と、装飾過多な長剣を装備する青年が立っていた。
どうやら、風でフードが取れて素顔を晒していたようだ。
「もしよかったら、僕と三人でお茶でもしない?」
地位で釣ろうとしているのか、籠手には金属製のカード。AAランク冒険者と刻まれた、アインのものとは若干形状が異なるギルドカードがはまっていた。
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名前 : タケシ・フジムラ
ランク : AA級冒険者
性別 : 男
レベル : 148
筋力 : AA
耐久 : BBB
魔力 : S
敏捷 : A
気功 : C
称号
・勇者
・迷宮踏破者
・ゴブリンイーター
・嘔吐王
装備
頭 : なし
耳 : ミスリルの耳飾り【S】
首 : アダマンタイトの首飾り【SS】
腕 : ミスリルの籠手【S】
手 : ミスリルの指輪【S】
胴 : ミスリルの軽鎧【S】・シャツ【H】
腰 : 竜皮のベルト【AAA】
背 : 竜皮のマント【AAA】
脚 : ミスリルの脚鎧【S】・ハーフパンツ【H】
武器 : 神剣・無限炉心
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アインは、今度は殺意だけでなく殺気まで飛ばそうかと検討していた。
アインの脳内では、既に目の前の男から剣を回収し、痛い目を見させる算段が出来ていた。
まず、気絶しない程度に殺気をぶつける。
「ね、どうかな。この近くにいい店がおげえぇぇぇぇぇ!」
勇者は突然後ろを向いてしゃがむと、orzの体制となってリバースし始める。因みに風魔法で音対策をしっかりしていた。
「なっ、大丈夫ですか!」
白々しく声を掛けてから近寄って手を添える。雷魔法で脳を弄って気絶させてから腕を引っ張って路地裏に運ぶ。光魔法での『透明化』を行使しておくのも忘れない。
ミスリルとアダマンタイトの装備を全て剝ぎ、それらを火魔法、『新星』で溶解させ、重力魔法と水魔法で剣と鞘のレプリカを造って適当に放り、本物の方は回収する。
ついでに財布から通貨を何枚か抜き取っておく。
そこまでやった時点で、足音が聞こえてきたので止める。
アインが勇者を引っ張っていくのを見ていたのだろうか、数名の憲兵団がこちらへ足を進めていた。
雷魔法で憲兵団を気絶させようか迷っているアウルの手を掴むと、アインは民家の壁を蹴って脱出する。
回収した剣は、アインに腕輪となって装着させられていた。