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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
二年生編

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渋々マリアとバトルしてみた

 なんかバトルしなきゃいけなくなった。最近バトル多いなあ。もっと平和なクエはないのかね。


「リリアの強さを甘く見るなよ」


「おぬしも戦わんかい」


「2対1じゃないよな? 逃げるぞ?」


「やらないわよ……それじゃあ私の相手をしてもらおうかしら。いくわよ」


 マリアが相手らしい。背中にギターを背負っているし、手には何か光る物を持っているな。あれは……ピック? ギターとか弾くやつだよな?


「くらいなさい!」


 風が揺れる。嫌な予感がして上空へ飛ぶ。下を見ても特に異変はない。だが間違いなく厄介な何かをした。


「へえ、勘がいいのね」


 言いながら後ろ手でピックを揺らしたのを見逃さない。ギターを介さなくても、今の技は使えるということか。


「サンダースプラッシュ!」


 雷の霧を撒いて大きく移動。元いた場所を何かが突っ切っていったのがわかる。撒いた霧が消し飛ばされたからだ。


「振動……いやピックだし音波か?」


「ここまでわかりやすければ気づくでしょうね。けれど、逃げられるかは別の話よ」


 空間が揺れるのを見ていては後手だ。とにかく動き回りながらヒントを探す。もちろん空中から攻撃魔法をぶつけ続ける。


「無駄よ。力に頼っても私には届かないわ」


 音の膜みたいなもので受け流される。攻撃を無理なく誘導しているのだろう。かなり高レベルな技術だ。どうして俺の相手はめんどうなやつなのさ。


「ライトニングフラッシュ!」


 広範囲の面攻撃ならどうなるか実験。音と風の壁でかき消された。威力もそれなりらしいな。そして一気にマリアが俺まで飛んでくる。機動力もあるタイプか。


「そろそろ本気を出しなさい。様子見ばかりじゃつまらないわ」


 マリアのギターが鎌に変形。俺はカトラスを抜いてそのまま斬りつける。


「雷光一閃!」


「やるじゃない」


 二人の武器が激突。電撃を纏った刃が空気を切り裂くが、マリアは鎌から出る音波と衝撃波で相殺した。


「ふん、派手な技ね。けれど、私を捕まえるには足りないわ」


 何か独特な嫌な感じが武器から伝わる。距離を取ってサンダースマッシャー乱れ撃ちに切り替えるが、俺の腕にわずかな振動が残って狙いが定まっていない。


「デバフありか。厄介なやつ。ライトニングビジョン!」


 雷の分身を雑に四体出して突っ込ませる。一号を正面から、二号を上空から飛び込ませた。三号と四号は左右から攻める。


「無駄よ!」


 軽く体を横にそらして一号を避けつつ、くるりと横に回転。鎌の横薙ぎで処理しながら、二号の攻撃をバックステップで回避し、三号の前に音波の壁を出す。挟み撃ちを崩された残りの分身は、振動と音波の鎌が飛び回るせいで切り刻まれた。


「力は使い手次第で変わるのよ」


「ごもっとも。じゃあ手の内を全部見せてくれ」


 各種攻撃魔法を撃ち続ける。マリアは手を休めることなく、ひたすら戦場に音波の波と玉をばらまき続けている。俺の魔法も相殺されていく。これはうざい。徐々に自分の移動できる場所が限られていくのが理解できた。


「分身おかわりだ。雷球招来!」


 さらに五体出して、フィールドに雷の球を出す。分身はそれを中継地点として雷速移動で撹乱しつつマリアを狙う。


「ふうん、中継まで同じ発想とはね。リリアが戦わせた理由がわかってきたわ」


 マリアがギターをかき鳴らすと、振動が指向性を得て高速で飛び回る。しかも弾き続けている限り、攻撃も防御も設置も全工程が流れるように進む。何がどう展開されているのか読めない。知らんうちに溶岩地帯へ誘導されている。


「あいつの武器は音波と振動ね……つまり」


 横の流れるマグマが爆発した。


「やっぱこうなるよなあ!」


 予想していたので素早く飛んで避けるが、連続爆発がうざい。マリアから距離が離れるのは厳しい。


「ほらほら火傷するわよ。ちゃんと逃げなさい」


「スーパーライジングハンド! ちゃぶ台返し!!」


 巨大な雷の両手を作り、マグマ地帯をがっさーっと掴んでひっくり返す。まとめてマリア方面へぶん投げるのだ。


「うっわ、豪快ね……これは逃げるしかないわ」


 ここまでの質量ならどうしようもないか。うまいことやつを氷山地帯に誘導できた。今度は俺が撹乱する番だぜ。


「くらいな!」


「甘いわよ……分身!? ならこっち!」


 氷に映った俺を見て、背後の分身に斬りかかるところまでは見事だ。だがその氷の裏にも分身がいる。


「くっ、これくらいの対処は」


「ライトニングジェット!」


「うあぁ!?」


 雷を充填したクナイを氷の間に置いておき、 任意のタイミングで発射する。分身と本体とクナイの連続攻撃だ。さすがに読めなかったらしく、ダメージが入る。


「まだまだこれからよ!!」


 おそらくクナイの場所を探っているのだろう。だが分身は腹を貫かれても問題ない。もたつけば分身の後ろからクナイが飛んでくる。死角になって見えない場所があるだけで不利なのだ。


「音波で探知してみるといい。逃げ場はないぞ」


「ハウリングノイズ!!」


 騒音がかき鳴らされて、氷にヒビが入る。雪が震えて……いやこれは雪山ごと震えているのか。


「ちっ、やり返しやがったな」


 雪崩が起き始めている。仕方ないので溶岩も雪もない場所へと移動した。そこはマリアが音の探知しやすい場所だ。広くて何も無い。


「そろそろ小細工が尽きてきたところじゃ……おっと、それは引っかからないわ」


 喋り始めたのでチャンスだと思い、マリアの足元に地面から雷のトゲを出してやるが避けられる。やっぱ気づかれるんだなあ。


「無駄よ。振動は私の支配下にあるの」


「そうかい。あまり好きじゃないが、力押しってやつをやってやるよ」


 リベリオントリガーを全開にして、ライジングナックルをとにかく連続でぶつけ続ける。そこそこの大きさの雷の拳の連打だ。どこまでどう耐えるか見せてもらう。


「搦め手の多さなら負けないわよ」


 炎と風と音波が揺れ、マリアの姿がぼんやりと揺れ始めた。そして蜃気楼のように分身が増え続ける。


「おいおい……」


「あなたのように質量のある分身じゃないわ。そこは褒めてあげる」


 全方位から声が聞こえる。なるほど、音そのものを運べるのか。ならやり方を変えよう。マリアの上空に到達。雷は消せても、こいつは消せるかどうか試してみな。


「インフィニティ・ヴォイド!!」


 虚無を雑に解き放つと、音波の壁を瞬時に溶かしながら進んでいく。


「なによこれ!?」


 これは予想外だったのか、回避行動に移る。その一瞬で背後に回り込んだ。


「雷光一閃!」


「ソニックロード!」


 お互いの技がぶつかり周囲が荒れる。奇襲失敗。なら退避だ。だが見えない空気と音波の道の中に囚われた。俺とマリアが一本道の中で対峙する。


「はじめからこれが狙いか? だがお前も避けられないぜ!」


「その魔法、制御に難があるわね? 接近戦は私のほうが上よ」


 本人の言う通り、接近戦技術が高い。魔法主体の俺は押されてしまう。インフィニティ・ヴォイドはそれなりに溜めと制御が必要で、乱戦向きじゃない。

 雷の腕を作り、カトラスと長巻の二刀流で応戦する。手数と威力で上回ってなんとかするしかない。


「そらそらそら!!」


 背中からライジングナックルを出して牽制もする。だが道が狭いせいで大雑把な動きができない。なんとか近距離で魔法をぶつけるしかない。


「プラズマ……」


「そこまでじゃ」


 俺達の間にでかい盾が突き刺さり、音波の壁が破壊される。リリアとリーリスがこちらに来ていた。


「それ以上は怪我をしてしまいますから、ここまでにしましょう」


「了解……疲れた」


 観客席に戻って座り、水を飲む。まだ肌寒いはずなのに体が熱い。運動は好きになれんな。


「お疲れ様。いい勉強になったわ」


「おう、そっちの音と振動の誘導は見事だった。よくそんなもん使えるな」


「最後の期末試験のおかげね。リリア陣営は大変だったんだから」


 マリアとリーリスが遠い目をしている。リリアがいて大変だったのか。


「戦争は楽勝だったんじゃないのか?」


「そっちはね。その分だけ成長が遅れるって言われて、リリアが特訓してくれたのよ。暇な時にだけね」


「はい、あれはなかなかの地獄でした。常に自分の得意ジャンルで少しだけ上を行かれ、乗り越えると成長を実感するという、不思議な気持ちになる特訓でした」


 合宿で似たようなことをやっていたな。そうかあれを何回もやるのか。しんどそう。俺は絶対無理だな。


「おつかれさまー! やるじゃないあなた!」


 ミルドリースさんが部下と一緒にやってくる。なんか笑顔だ。


「かなり戦闘慣れしてるわねー。見ていて楽しかったわ!」


「それはどうも」


 なんて返すのが正解かわからん。


「お礼にこっちの戦闘訓練も見せてあげるわ! フェアじゃないものね!」


 予想外の提案だ。どうせ今は疲れていて動きたくないし、せっかくだから見せてもらう。


「さあレッツトライ! かかってきなさい!」


 ミルドリースさんが戦場の中央にいる。両腕に炎と冷気をまとっているが、あれで戦うのだろうか。

 生徒の何人かが突っ込んでいく。それを落ち着いて最小限の動きでさばきつつ、遠くの敵に高威力の魔法を連射している。ただシンプルに接近戦に強く、大剣やハンマーにも打ち負けていない。体捌きは豪快だが、観客がどうすれば盛り上がるか計算しているようだ。


「なるほど面倒じゃな。ただ強い。魔法の種類も豊富で威力も高い。これはしんどいのう」


 最後まで見ていた結果、ギルド自体の練度はそこそこ。全員がぶっ飛んで強いわけじゃない。だがマスター本人がひたすら正統派に強い。魔法剣士というか格闘家というか、どうにも厄介だ。この依頼、意外と難しいんじゃないか。

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