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投稿が二ヶ月止まりましたがかろうじて生きてます

 リリアの誕生日会でなんか学生コントやらされている。


「安心したまえ、何度か学生をやったこともあるからね」


「むしろどうしてあるんですか?」


「学園の秩序を守るため、神々と魔王は若返って入学したり、分身を作って送り込んだりしているのさ」


 なるほど、パイモンやマコみたいに世襲制なのかと思ったが、そういうやり方もあるのか。改めて自由だな神。


「君は私を爽やかでイケメンなパパ神くらいに思っているだろう」


「自己評価しゅごい」


 テンションおかしいし、実際イケメンだし、この神との距離感がわからない。


「ラー、準備できました」


「よく似合っているよ卑弥呼。さあ始めようか!」


 卑弥呼さんと一緒に謎の光を発するラーさん。神々しさとかあるけど、やることコントだぞいいのか。


「すごく面白い劇だったね」


 教室が劇場へと変わっていた。多分神の力とかそういうのだ。


『終わったー!? 誘う設定なのに見終わってるううう!!』


「ええ、とっても楽しかったです。楽しい時間は一瞬で過ぎてしまいますね」


「ああ、だからこの時間をもっと味わいたい」


 ラーさんと卑弥呼さんの手が重なる。見つめ合う二人。


「これからもずっと、何度でも演劇を観に来よう、卑弥呼」


「はい、ずっと一緒です」


『まさかの二回目予約だああぁぁ!! 完全に設定無視したかと思えば二回目に誘ったああああ!! いいのこれ?』


 司会者が困惑している。一発目から変化球はだめだろ。俺たちどうすりゃいいんだよ。


「これは厳しいのじゃ。わしらもある程度は設定無視しつつ落とさねばならぬ」


「しんどい」


 そしてなんだか体にダメージ入った気がする。なにこれ。


『相手の心に衝撃を与えるほどダメージになる世界だぜ! 少しは効いたか?』


「またクソギミックだよ」


 正直追い込まれている。相手が世界改変とかしてくるのずるくね。


「敵は驚いている、畳み掛けるよ卑弥呼」


「ここで決めましょう」


 扉の外へと赤絨毯が敷かれ、二人はゆっくりと歩き出す。扉を開けるとさらに豪華な室内が広がっていた。


「おや、外が劇場になっているね。少し見ていこうか」


『いや無理あんだろ!?』


「この劇は見たことあるのでちょっと」


『断ったああぁぁ!?』


「そうか……わかったよ、もし次があるなら、その時は一緒に行けたらいいな。卑弥呼、どうか幸せにね」


「その時の私は彼が少し大袈裟に話しているのだと思いました。きっと寂しそうな顔もオーバーなだけであると」


 なんかナレーション入ってきた。卑弥呼さんいつ収録したんですかこれ。


「えっ!? ラーの旅行先が紛争地帯になった!?」


『展開急すぎんだろ!!』


「シチューをごはんにかける派とかけない派の争いにより、ラーは行方不明になってしまいました」


『理由クソしょうもねえ!?』


「きっとラーは嫌な予感がしていたのでしょう。どうか無事に、かける派とかいう意味のわからない連中をぶっ潰して無事に帰ってきて」


『思想が強いな!?」


 めんどくさくなってきたので、俺たちはその辺に座る。はよ終われや。


「行方不明になったラーの遺品から、次の劇場のチケットが出てきたらしい。私は……どうしてあのとき一緒に行かなかったのだろうと激しく後悔した」


 ご丁寧に場所も卑弥呼さんの自宅っぽく変わっている。無駄にすごい力を使うな。


「私はいつの間にか、チケットを持って劇場の前に立っていた。チケットに書いてある日にちは今日だ。ラーがいるわけもないのに、私はどうしてここにきているのだろう?」


『オレらいつまでこれ見させられるの?』


「もうちょっと……コーラとポップコーンのLを買い、劇場を歩く。ラーとよく来た思い出が走馬灯のように流れていった」


 場所は誰もいない劇場内へと変わる。もう少しで終わるらしいので我慢しよう。


「来てくれたんだね、卑弥呼」


「ラー! どうして……あなたは行方不明になったはずじゃ!!」


 軍服を着て怪我をしたラーさんが立っていた。いや紛争地域になっただけで、あなた軍人じゃないですよね。


「約束したじゃないか。次は必ず一緒に行こうねって」


「ごめんなさい。私……ずっと後悔してた!」


「私もさ」


 泣きながら抱き合う二人。流れるいい雰囲気のBGM。感動を誘ってくるのが腹立つ。


「じゃあシチューをごはんにかける派は? やつらは一人残らず殲滅できたの?」


『まだ気になってんのか!?』


「ああ、国半分を犠牲にした自爆でね」


『国かわいそう』


「最後の仕上げといこう」


 二人してグラサンかけながら劇場を背に歩き出した。ラーさんがスイッチを押すと劇場が大爆発した。


『おおぉぉ? なんでだ!? 爆破の意味ある? これどういうこと!?』


「ふははははは! なんとなくかっこいいだろう! そしてこれで君達が誘うはずの劇場は破壊されたぞ!!」


「誘ったところで劇場はない。完璧ですよ。さすがはラー」


『きったねえ!? 神のやることじゃねえだろ!?』


 あまりにも無法すぎませんか?

 ルールも何もありゃしない。これほど自由だとは思っていなかった。


「ご先祖様はなぜにそこまでフリーダムにボケられるんじゃ……天然系のほほんお姉さんじゃとばかり……」


「ずっとヒメノちゃんのお友達ですもの」


「なんて説得力だ」


 あいつと何万年も、下手すりゃ億単位で一緒とか精神ぶっ壊れそうなもんだが、俺以外にはまともな対応……いや違うな。それじゃ神からあんな評判にはならんだろう。


『えーどうすっかなこれ。劇場は魔力で直すとして……君ら続けられる? ちょっと同情しちゃってんだけど』


「いっそフリースタイルにしてくれないか? もう同じシチュで何やろうが茶番以下だろ。相手の精神と肉体にダメージ与えたらいいってことでルール変えてくれ」


『面白そうじゃねえか! 好き勝手したペナルティだ、ラーと卑弥呼は甘んじて受け入れるんだな!!』


「はしゃぎすぎてしまったか。仕方がないね」


「とっても楽しかったわ。今度は二人の愛も見せてくださいな」


 よし、とりあえず活路は作った。勝率ゼロよりはましだろう。こっからどうするかだ。


「ハードルが上がったのか下がったのか不明じゃのう。どうするつもりじゃ? 生半可な攻撃では通らぬし、鎧も使いたくないんじゃろ?」


「そりゃもちろん。正直しんどいが、手段はある。お前の協力が必須だ」


「にゅっふっふ、どうせろくでもないんじゃろ。楽しみじゃな」


 もうほとんど正解にたどり着いているのだろう。手間かからなくていい。俺も腹を括るか。


「相手の精神にダメージがいけば勝てるんだぜ。もうラブの波動って言っときゃいいレベルまで自由だ。つまり俺達は相手よりぶっ飛ぶ展開にすりゃあいい」


 あまり大勢の前でやりたいことじゃないんだけど。俺達は勝たなければいけないんだ。

 リリアのお誕生日会だし、プレゼント用意していない。秘宝を渡せないと色々やばい。


「なるほどのう。現代っ子のフリーダムさ見せてやるとしよう。久々にあれをやるのじゃ! よいな!!」


「いいだろう、俺たち相手に先にルール違反するとどうなるか教えてやるぜ!」


 そしてリリアが扇子を開き、全身が発光し始める。俺も近づいてその恩恵を受けよう。

 恥を捨てろ。この一時だけ勝つために。


「曖昧魔法奥義『十二月から二ヶ月も音沙汰なしで本当にすみませんでした!!』」


 一応言っておくが、今は二年目の四月だ。

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