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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
第三章 指輪とメイドさん

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ギルメン以外との日常

 座学の授業を終え、ちょっと余った時間でふらふらしていると前方にやた子発見。めんどくさそうなので回れ右。


「おおっとそうは問屋がなんとやらっすよアジュさん」


 いつの間にか目の前にやた子がいる。いつもの金髪赤目だ。こいつスピード自慢だっけか。


「ちっ、見つかっちゃあ仕方ねえか」


「何故にそんな避けられてるっすか?」


「そらヒメノの部下だし」


「うぐぅ」


「初っ端で戦闘することになったし」


「ぐはあっ!?」


「あとなんか凄いうざい」


「なぜっす!?」


 何故だろうね。うざいはうざいんだけど微妙な可愛げがあって適当にいじりたくなる。小動物的なうざさというか。


「まあいいっす。ちょっと暇だったから遊ぶっす」


「そうか、じゃあ『大事な用があるまで一旦別れるゲーム』ってどうだ?」


「遠回しに帰れって言われてるっす!?」


「いやほら、俺は回復魔法の練習とか剣の練習とか明日しないといけないし」


「じゃあ今日ヒマじゃないっすか!?」


 うむ、実にいい。テンポよくリアクション取ってくれる。これは癖になるわ。


「楽しいなこれ」


「楽しいのはアジュさんだけっす……」


「とりあえずどっか座るぞ」


「遊んでくれるっすか? やた子ちゃんの時代が来たっすね?」


「うっさい。うだうだ言ってるとここで解散だぞ」


「ダッシュで行くっす!!」


 そして座る場所を求めてさすらう俺とやた子。このまま風の吹くまま気の向くままに……するくらいなら部屋で寝たい。爆睡したい。


「あれ? アジュさん、じゃなかったお館様じゃないですかー」


「ヨツバ? なんか久しぶりな気がするな」


 紺色の髪で帽子の忍者ヨツバさん。イロハがいない時に出会う機会は少ない。


「そうですか? お館様はいっつもイロハ達といますからね」


「別にお館様って言わなくていいぞ。てか人がいる場所で言われると俺が危ない趣味の人みたいだろ」


「危ない趣味……ですか? よくわかりませんが」


 もしかしてお館様呼びって普通なのか? 剣と魔法があるんだし、俺の常識を持ち込むべきじゃない部分なんじゃないか?


「その呼び方って普通か? その辺の常識がないんだよ」


「少なくともうちの里ではそうですけど……変えたほうがいいですか?」


「いや、悪いな。好きに呼んでくれ。ヨツバなら変な呼び方はしないだろう」


「ふふっ、ありがとうございます。信頼には応えませんとね」


「信頼ね……してるかどうか怪しいもんだぜ?」


「ならお館様の分までしておきます」


「そいつは助かるよ」


 ああ、やっぱまともな奴と穏やかに会話するのはいいな。ヨツバと話すのを暇潰しに加えてもいいかもしれない。シルフィとは別の癒やし成分だ。


「アジュさーん。やた子のこと忘れてないっすか?」


「そちらの方は……?」


「ああ、初対面なのか。こいつはやた子。ヒメノってわかるか? アイツの部下だ」


「初めましてやた子っす! ヒメノ様の部下一号、やた子ちゃんをどうぞよろしくお願いするっす!!」


「ヨツバ・フウマです。よろしくお願いしますね。お二人は今何を?」


「デートっす!」


 俺と腕を組んでくるやた子。だが甘いな。ヨツバは俺の関係者だ。


「俺が女と、しかもギルメン意外とデートすると思うか?」


「いいえまったく」


「だろう? なんせ俺だぞ」


「ですよね」


 ほれ納得してくれた。一瞬足りとも驚いた顔をしなかったなヨツバ。


「うぅ~なんすかもう~。それで納得されるって問題があると思うっす!」


「うるさい黙れ。羽を毟って枯れ木にばら撒いて花を咲かせるぞ」


「意味がわからないけど怖いっす!?」


「とまあこんな感じでいじるといい感じのリアクションをしてくれる」


「た、楽しい人ですね……」


 ヨツバ渾身の作り笑いである。なんとなく板についているのは苦労してるからかな。


「やた子さん。あんまりデートとか言ってるとその、イロハやリリアに聞かれてどうなるか……」


「あー嫉妬大爆発っすかね。修羅場っちゃう感じっすね」


「しかもやた子だけが一方的に正座させられて説教だな」


「そこはアジュさんが責められるんじゃないっすか?」


「甘いやた子。あいつらは数少ない、ほんの少しだけど俺という人間を知っている側だ。間違いなくお前が勝手にやっていると理解する。まあ俺も多少は怒られるだろうけどな」


「いやな信頼関係っすね」


「いや最高だろ」


 むしろ余計なトラブルを増やさないベストな関係といえる。ラッキースケベでぶん殴られるとか納得いかん。殴られたり、説教されなきゃいけないなら女の裸なんか見たくない。クソつまらんことで無駄な時間使いたくないからな。


「これがお館様名物、内心がっつりマイナス思考です」


「なるほど~ダルさが雰囲気からにじみ出てるっすね」


「うっさいよ。そうだ、やた子だけじゃアレだからな。暇ならヨツバも来るか?」


「実際は何をしてるんですか?」


「とりあえず座ってお茶飲める場所を求めてさすらっている」


「果てのない旅路っす。いつ終わるとも知れない荒野を水を求めて走るっす」


「いや完全に学園内ですし、噴水も売店も木々もありますから」


 結構歩いていたのか、今は自然公園のような場所だ。芝生にビニールシート敷いて弁当食ったりするタイプのやつ。


「んじゃもうここでダラダラしよう。軽い飯と飲み物探さないとな」


「ではこちらへどうぞ」


 声のした方には、食い物とお茶を準備し終えたミナさん。白いテーブルと椅子どっから持ってきましたか。有能通り越して謎だ。


「ミナさん。なにしてるんですかこんなところで」


「本日の家事を終えまして、たまにはのんびりしろとシルフィ様に」


「そしたら俺達を見つけたと?」


「はい。ささ、どうぞこちらへ」


 何故全員分のお茶セットがあるのかもう聞くまい。気にしたら負けな気がする。


「おぉーメイドさんっす! 雇ったんすか?」


「シルフィの専属メイドのミナさんだ。最近うちに……まあ一時的にだけど住み込みで働いてくれている」


「お久しぶりですねミナさん」


「ヨツバ様。お久しぶりです」


「知り合いか?」


「それなりにね。シルフィかイロハ繋がりの人はそこそこ面識があるんです」


 頭領がイロハでその副官的なポジションのヨツバは色々と知り合いも多いようだ。

 適当にやた子も挨拶を済ます。全員の紹介も済んだところでティータイムだ。


「ふは~クッキーが美味しいっすね」


「なぜお前が一番食ってるんだ」


「育ち盛りっす! 胸だってそこそこあるっすよ」


「知らんな。お前の胸なんてどうでもいい」


「クッキーならまだまだありますから、ご心配なく」


「野生のやた子は餌付けすると癖になるぞ」


「野生じゃないっす! ちゃんと飼いならされて牙を抜かれた都会派っす!」


「それはいいことなの?」


 顔が緩みまくっているやた子は確かに牙を抜かれているな。これで強いから意味がわからん。


「前に食べた時より美味しいです」


「ありがとうございます。日々シルフィ様のお口に合うよう精進しております」


 ヨツバは前にも食ったことがあるようだ。クッキーはもちろんのこと美味いさ。段違いだ。これを何度も食えるのは正直うらやましい。


「メイドってみんなこんなことできるのか?」


「ミナさんはちょっと特殊だと思いますよ」


「メイドさん万歳っす! ヒメノ様も少しは家事やってくれれば……」


「ヒメノって料理できないのか?」


「できるっすよ。超できるっす。けどアジュさん追っかけるのに忙しかったりするっす。最近アジュさんとのらぶらぶ小説を書く時間が増えてるっすね」


「あれまだ書いてるのか。あいつもよくわからんな」


 前に何度か渡してきたな。書いてるだけならまだしも見せてくるから反応に困る。しかも台本みたいになってて読み合わせを要求されたので拒否しておいた。


「イロハは普通に家事も仕事もできますし」


「あいつ有能なのか」


「有能ですよー。むしろお館様と一緒のイロハはデレッデレでもう珍しいったら無いですよー」


「イロハ様は求愛行動が少々人とは異なるだけですから」


「少々のレベル超えてるけどな」


「それもアジュさんが受け止めてあげないとだめっす」


「んなこたわかってるんだよ」


 それでも最近は下着とか盗まなくなってきてるからマシだ。その分甘えてくるし、撫でろと言われることもあるけど別に嫌じゃない。暇があれば付き合ってやる。あいつらとの時間は大事にしたいしな。


「フウマの頭領なんだっけか?」


「なぜ疑問形なんですか……そうですよー。頑張って頭領になったんですよ」


「世襲制じゃねえの?」


「そうですけど、忍として厳しい修行の日々だったんです。フェンリルの力を抑えこむのだって大変だったんですから」


「イロハはやたら力が強いと聞いたな」


「ですね。だから人一倍頑張ってましたよ。里のみんなも知ってましたし」


 フウマの里ね。いつか行ってみたいとは思う。忍者の里とか超興味あるわ。


「一族に伝わってはいるものの、半ば夢物語であった力の完全継承を成し遂げましたからねえ。みんな自分のことのように……」


「ミナさんお菓子おかわりっす!」


「はい、こちらに」


「プリンがきたっすー!」


「はーいもうちょっと静かに食べようなー」


 せっかく真面目に話を聞いているのになんだまったく。口に食べかす付いてるぞ。子供かお前は。


「罰として一個貰うからな」


「あーやた子のプリンが!?」


「あ、私も貰っちゃいますね」


 言うより先に食っているヨツバ。流石忍者だ。素早いぜ。


「うわーんミナさん! やた子のプリンが!!」


「すみませんが今ので最後です」


「そ……そんな……」


 そんなこんなで騒がしくも平和な時間だった。家に帰るまではな。

 家に帰って飯の前に着替えるかというところでイロハと出くわした。


「それで? ちょっと離れている間にどうして他の女の匂いがするのかしら?」


「人類は男と女しかいないんだから当然さ」


 とりあえずキメ顔でそれっぽいこと言ってみる。


「イロハ、匂いが誰かわかるかのう?」


「ヨツバとミナさんと……もう一人いるわね。それとお菓子の匂いがするわ」


「お菓子? ミナのお菓子かな? むうーアジュだけずるい」


「お前らどっから沸いた」


 いつのまにやら全員集合。そりゃ廊下で突っ立ってれば目につくわな。


「さ、誰と何をしていたのかしら?」


「落ち着け。俺だぞ。俺が女と何かしようと思ったり行動したりするか?」


「しなくても女が来たら匂いもつくじゃろ」


「アジュが自分から行かなくても女の子は来る! わたし達という前例がある!」


 結局全部話すことになり、余計な手間がかかった。やた子め……次にあったらもっといじってやる。

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