表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
ネフェニリタル観光編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

615/640

聖地にて説明を受ける

 聖地にある城で、ネフェニリタルの神マナに話を聞いていた俺達だが。


「ここで葛ノ葉シリーズくるかー」


「妙な縁もあったもんじゃのう」


「くずのはしりーず?」


「こっちの話だ。だが納得した。名前の付け方おかしかったもんな」


 これはずっと引っかかっていた。ネーミングセンスが南国じゃない。


「名前ですか?」


「南国リゾートでフランはフランチェスカなのに、オトノハはオトノハで、ヒジリさんだろ? 名付け方がフウマっぽいんだよ」


「私達に似た名前だとしたら、アジュがたまに言う和風というセンスに近いのかもしれないわね」


「だと思う」


 どこかでルーツが混ざったんだと思う。個人的に調べたいテーマではあるが、完全にみんな置いてきぼりだ。


「葛ノ葉の正当な血筋であるリリアさんにパチャロが懐くのは、王刃を覚えているからなのかもしれません。パチャロは神獣。その記憶と恩は輪廻を繰り返しても、うっすらと引き継がれているのでしょう」


「ほほう、わしがかわいいからではないんじゃな」


「自己評価が高いぜ」


「心の優しい人に懐くのは動物の本能ですよ」


 俺の説明がつかねえだろそれ。動物には極力優しくしているけどもさ。


「さっきから何のお話ですか?」


「すまない話がそれたな。本題に入ってくれ」


「聖地の最深部には、王刃の剣が突き刺さった心臓があります。この心臓を浄化することでパズズはこの世界から完全に消えます。これ以降は存在を知るものが現れても無効です」


「ゴールは近そうだな」


「問題はここからです。首謀者のパズズの血族の所在と、心臓をどうするか」


「そうね、どちらかを残しても戦争は続きそうだわ」


 めんどいねえ。パズズが死んだことを知らせないといけないし、でもパズズ自体の存在が公になっていないし。秘密裏に消していくしかないのだろうか。


「パズズ教の首謀者はどこにいる?」


「ゲオダッカルのはずです。現地神を奉じた中央大神殿の地下深くに、パズズを祀る秘密の祭壇があるはずです」


「上の神をカモフラに使ってんのか。そりゃ面倒な」


「なので心臓を浄化して、教祖を倒す手段が必要です」


 これはできれば同時にしたい。証拠が消えるのが一番よろしくないのだ。


「確認だが全員邪教のテロ集団だよな?」


「はい、疫病を身にまとい、死んでいないだけのパズズの道具です」


「それでも信仰は集められるのだから厄介ね」


 待てよ、これ皆殺し前提なんだよな。なら一番シンプルかつ全滅させる方向でいこう。これが最善手だ。


「じゃあパズズ復活させようぜ」


「は?」


「ええぇぇぇ!? 何言っちゃってるんですか!?」


「話聞いてました?」


「なるほどのう、効果的じゃな」


 ネフェニリタル陣営は驚き、リリアは納得、シルフィとイロハは俺の意図を読もうとしている。やはりリリアだな。こいつがいないと話が進みにくい。


「別に難しい話じゃない。心臓を浄化する方法があるんだろ? それが無理ならで構わないから、俺が消す。鎧について知っているならわかるだろ?」


「それは……ですがなぜ」


「あっ、そうか! 教祖様の前で復活させるんだ!」


「実現可能なら問題ないわね」


 シルフィは正解にたどり着いた。いい子だな。イロハも理解したようだ。


「アジュへの理解度が上がっておるのう」


「ふっふっふー、リリアだけリードはさせないのさ!」


「もう一年も一緒だもの、理解も深まるのよ」


 密度高くてなんか十年くらいいる気分だが、一年で俺を理解できるのは凄いことだぜ。ギルメン最高だねえ。


「どうせパズズと教祖をコケにして、信者から信仰心を消そうとかそういうことでしょ? アジュくんの考えそうなことだわ」


 静寂が訪れた。そして最初に口を開いたのはリリアだった。


「やはりまだちょっとアジュのこと気になっとるじゃろ?」


「ちょっ、違うわよ!? 副官だったから慣れただけ! そういうんじゃないから! 変なこと考えないで!」


「お姉ちゃんもアジュさんに何かされたの?」


「されてない……ちょっと待ってお姉ちゃんもってどういうこと? オトちゃんに何をしたの?」


 フランの声が低く通る。待てや俺が悪いみたいな空気にすんな。


「別に何も」


「男性観を破壊されかけただけだよ」


「どういうことよ!?」


「めんどくせえから本題に入れよ」


「めんどくせえで済まさないで!」


 女は恋愛が絡むと脱線するね。フランにもオトノハにも何かするつもりがないので、ひたすらにだるい。


「おおっと、アジュがめんどくさくなってる! 話を戻します!」


「うむ、これ以上は仮眠取ろうとするのじゃ」


「じゃあマナ様、具体的な浄化方法をお願いします。できれば正式な方法も」


「えっ、ああはい、オトノハ・サーシャクルに協力していただきます」


「オトですか?」


 ここでオトノハか。本人も驚いているし知らないのだろう。


「王族にはこの世界に生きる命に好かれ、生命力を貰って使う素質があります。あなたはそれがとても強く出ている。本来なら成人して聖地で浄化のために過ごすことになるのでしょうが、今回は鎧と剣の男が一緒だから必要ないかもしれません」


「えーっと、それはつまり、オトって聖地から出られなくなるってことだったりしちゃいます?」


「正確にはネフェニリタルから出ないことが最低条件です」


「おおう、いきなりヘビーな話になったぜぃ」


 なるほどなあ……少し納得いった。俺は他人の感情や好意が理解できん。だが哀れみや同情の視線というものを身を持って知っている。女ならなおさら見慣れている。フランがオトノハに向ける視線は、親愛っぽいものの中にわずかな同情があった。


「これはネフェニリタルの平和に必要なことなのです」


「そうだったんだ……じゃあ、お姉ちゃんがお外をいっぱい見てきなさいって言ってたのは……」


「ごめんねオトちゃん。王族の中には、聖地に定住しなきゃいけない人が出ることがあるの。私はその素質がなかった。だからせめて、オトちゃんには負担をかけず、その時が来るまで精一杯外の世界を楽しんで欲しかった」


「そんな……だってお姉ちゃんは完璧で何でもできて、オトがいなくても大丈夫で……お姉ちゃんにできなくてオトにできることなんて……」


「政務なんて将来やることになるんだから、学生時代くらい普通の子のように遊んで欲しかったのよ。私はやればできないことはほとんどなかったから」


「話してくれればよかったのに!」


「ごめんね。私達の勝手なおせっかいだったみたい」


「違うよ。謝って欲しくなんかない。ちゃんとお話して、それで納得して動きたかった。今回だってそう。お姉ちゃんが頑張ってるのに、オトだけ何もできない。だからせめて聖地の外の問題を解決して助けたかったの!」


 めっちゃ雰囲気暗くなるやん。姉妹で仲がいいのにすれ違ったりするんだな。

 当然だが俺は解決する方法など知らん。ぼーっと見ているだけ。


「よかれと思ってやったことで、あなたを苦しめていたのね」


「あのー……結局今回は問題ないので、その制度も廃止に動くと思いますが」


 マナの言葉でまたも静寂が戻る。俺がかかわるとこういうの台無しになるよね。だからあんまり他人と何かするべきじゃないんだよなあ。


「こほん、私達は自由になったのよ! これからは一緒に色々と楽しいことを見つけていきましょう!」


「そうだねお姉ちゃん! もう自由になるんだもんね!!」


「すごい、あの状況からごり押しでいい雰囲気にしようとしてる」


 感動の再会的な雰囲気で抱き合う二人。本人がいいなら止めないよ。長引いてもめんどくさいからね。


「よし、じゃあ手順を確認するぞ」


 マナの説明を含めた作戦はざっくりと以下の通りだ。

 ・聖地から心臓のある場所へ行く。

 ・剣を心臓から引き抜き確保。

 ・ゲオダッカルの教祖がいる場所へ行く。

 ・パズズを復活させて目の前でボコる。

 ・教祖もろともパズズを殺す。

 ・運良く教徒も皆殺しにできればハッピーエンド。


「まずヒジリさんががんばる。無理なら俺が全員殺す。ただし最終手段だ」


「わしらが殺しても公表できんからのう」


「手柄はヒジリさんとフランに全振りで」


「了解しました」


 こうして一日城に泊まり、次の日の朝。聖地の奥へと向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ