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魔法と鍵の種類が増えすぎて作者が覚えてません助けてください

ご愛読ありがとうございます。

カクヨムにて

フォーカード・ジョーカー~イケメン四人が好き勝手戦いながら自由に解決する事件簿~

というアジュヴァンルシードカムイの男4人の外伝を描き下ろしております。よろしければどうぞ。

両方感想お待ちしております。

 明らかに城というかシェルター兼工場っぽい場所を探索する。

 ここは薄暗く、戦闘はバトロワという最悪の環境だ。どうにかしてギルメンを見つけよう。死ぬぞ。ここは遮蔽物がまるでない。隠れられないんだ。

 そっと壁にあるパイプに触れてみる。たまに光の塊のようなものが運ばれていることに気がついた。決してそういう照明じゃないだろう。


「生命力?」


 魔力に近いが、もっと大雑把で根源的な何か。俺の語彙力で言い表すなら、生物の元々持っている生命力だろう。

 こういうものは循環しているか、どこかに集められているかだ。なら辿っていくべきかもしれない。


「雷光一閃!!」


 嫌な予感に咄嗟に長巻を振ると、軽い火花と重い衝撃。攻撃魔法が飛んできていた。どこからか攻撃されている。即座にリベリオントリガーを発動させて、また攻撃魔法が来た方向へ攻撃を返す。


「サンダースマッシャー!」


 天井に一瞬見えた人影は、体格からして女だ。


「いない?」


 だが天井にはいない。俺の背中は壁だ。じゃああいつはどこから来た? 最悪だが光速突破勢ならできるかも。だが確かめようにも雷は光って目立つ。乱用はしたくない。というかリベリオントリガーも目立つ。


「とことん俺に不利だな」


 ここで立っていても不利だ。まず誰かと合流する。最速で駆け抜けるしかない。


「雷分身! ライトニングフラッシュ!」


 分身を二体作り、前後にライトニングフラッシュ。光マシマシで撃ったらすかさずその中に入って駆け抜ける。俺の攻撃魔法で俺が傷つくことはない。雷速で分身を走らせれば、どちらに向かっているかわからないはず。


「へっ、ぬりいなてめえ!」


 声の方向と逆にバックステップ。暴力的な何がが目の前を通り過ぎていった。


「ちょろちょろ逃げてんじゃねえよ! さっさと死んじまいな!」


 また消えた。戦闘スタイルと武器がわからない。棒術に近いだろうか。


「逃げ隠れしているのはそっちじゃないのか?」


 苦し紛れに挑発する。こんなもんに乗るアホじゃないだろう。


「誰が逃げてるって!!」


 乗るんかい。灰色の髪と目の女だ。全身黒装束だが、それだけで隠れきるのは不可能だろう。


「2ブロックのやつだな」


「おう、正面から殺してやるよ!」


 姿が消える。剣を前に出しておくと、凄まじい衝撃が襲う。この反動を利用して後方へ飛んでいこう。


「逃さねえよ!!」


「逃してくれていいんだぞ」


「うっせえ!」


 あまりにも速くて重い。こいつどうなっているんだ。下手すりゃヴァンレベルか。


「くたばれや!」


「ちっ、どんな馬鹿力だ」


 こっちも最速で動いているのだが、確実に相手が追い詰めてくる。強化魔法をかけているようにも見えないし、魔法も効かない。インフィニティヴォイドならダメージ入るかもしれんが、チャージ時間がないぞ。


「サンダースプラッシュ!」


 来る方向と、どうやって隠れているかを探ってみる。電磁波の動きを見て、クナイを投げつけた。


「ライトニングジェット!」


「あん? どこ投げてんだあ?」


 背後から猛烈な殺気がした。ライジングナックルを背中から出して防御を試みる。


「効かねえよバーカ!!」


 押し戻すだけでダメージはないな。このままじゃ勝てない。思考を切り替えろ。こいつはあんまり頭がいいタイプじゃない。感情が表に出る。そういえばさっきクナイを投げた時、あれは挑発じゃない。疑問に思っている口ぶりだった。


「試すか。サンダースプラッシュ……十倍!!」


 全体に濃度を変えた粒子を振りまく。必ず薄くなるポイントがあるはずだ。


「チカチカと目障りなんだよ!」


「それが狙いだとしたら?」


「ぶっ殺す!!」


 攻撃を凌ぐのも限界がある。集中して調べるが、一箇所じゃないぞこれ。散らされているんじゃない。どこかに吸い寄せられている。


「見た目もショボけりゃ攻撃もカスだなてめえ!」


「お前勇者科にしては下品すぎないか?」


「うっせえ死ねや!」


 まあ俺が言えた口じゃないが、それでも下品だな。ぶっ飛ばすのに遠慮しなくて助かるが。


「プラズマイレイザー!」


「ちっ、うっぜえ!」


 武器が見えた。太めの黒い棒だ。この暗闇と自分の体で隠していたのか。あれを見えない速度で振るとは、なかなかにやばい暴力だな。


「やはり吸われているか」


「何ぶつぶつ言ってんだきめえな」


 生命力がこの施設に吸われている。壁にも床にもそういう機能があるのだろう。そしてパイプを流れる光が高速で全回収していく。


「この城はどういうことだ。ちゃんと説明しろ」


「説明して理解できんのかあ? 時間稼ぎじゃねえの?」


「そういう頭は回るのかよ」


 いい加減腕が痺れてきた。こいつ一撃が重すぎる。受け流しても響くぞ。


「やっていられるかボケ。退散!」


 煙幕ばら撒いてさらに逃走。今度はパイプの光が進む方向に全力ダッシュだ。そっちが奥、もしくは装置のある場所だ。破壊しなきゃジリ貧である。


「そんなもんで逃げられると……」


『ソニック』


 久々に鍵を使っていこう。これでこいつの動きがスローになる。ソニックは別に音速で動ける機能じゃない。周囲の時間を激烈に遅くして、その中で俺だけが超加速する。ほぼ時間の違う世界を複数重ねているようなもの。なので俺を認識できない。


「少し邪魔させてもらうぞ」


『ソフト』


『バースト』


 壁、床、天井を超柔らかくし、中心部に爆発機能を追加。これで全方位落とし穴みたいにできる。跳ね回り続けろアホめ。


「それではさようなら」


 雷速で逃げよう。光が向かった先は記憶している。知り合いなら全員中心部に行く。理由はそれぞれ違うが、間違いなくそうする。だから俺も行くしかない。


「おううぉおあああ!? ぬああわあああ!? どばああぁ!?」


 ソニックを解除すると、さっきのやつの叫びと爆発音が聞こえた。


「はっはっは、ざまあみやがれ」


 効果が切れる前にできるだけ先へ行こう。あれと二連戦は死ぬ。さてさて風景が変わらないが、そろそろ奥に来ているはずだ。


「この辺から戦闘の気配がする……」


 少し先の曲がり角で魔力が迸っている。普通なら行きたくないが、まあしゃあない。行ってやろうじゃないか。そう決意した瞬間、でっかい何かが左から右へとぶっ飛んでいった。


「やはり戦闘中だな」


 決着つくのを隠れて待つのは無理。ここ遮蔽物ゼロ。そして飛んでいったほうがこちらに気づいた。


「アジュか」


「ルシード?」


 アークを身に纏ったルシードだ。つまりそれを使わないと厳しいわけね。うわあ俺が死ぬなあ。


「悪いが今は……避けろ!!」


 咄嗟に飛び退ると、道を埋め尽くす炎が通過していった。


「おいおいどういう状況だ」


「おや、外したか。存外しぶといじゃないか」


 また聞き慣れない女の声だ。男装の麗人というのだろうか。短い金髪と赤い目のスーツを着た女だった。


「気をつけろ。やつは超人レベルだ」


「さっきの女もそうだったぞ」


「そちらはアジュ・サカガミか。やれやれ、男一人始末できないとは、あれは粗暴で質が悪いな」


「合わせろ! プラズマイレイザー!」


「二の太刀、閃光!」


 適当に言ったが合わせてくれた。アドリブに強いなルシード。


「無駄だよ。一度で覚えてくれると嬉しいねえ」


 二人の光が敵の魔法とぶつかり合う。やがてこちらの魔法が小さくなって消える。後先考えない魔力量だ。あんなのすぐ魔力切れになるぞ。


「やつに魔力切れはないぞ」


「マジ?」


 嫌な予感がして、三人の魔法が消える先を詳しく探知する。

 うーわ、全部施設に吸われた。しかも足元から女に吸収されていく。


「私はラッカとは違う。私の方が権限は上なのさ」


「つまり使った魔力が戻る?」


「オレ達の力も取り込んでな」


「最悪だ」


 ここ不利すぎるだろ。こんな一方が有利な試験とかいいんですかね。


「どう倒す?」


「魔法はできるだけ避け、物理で倒すのである」


 アークからの最悪なアドバイスが飛ぶ。


「俺の苦手分野だ。頑張れルシード」


「できる限りやってみよう」


 素直だと少しだけ罪悪感あるよね。将来苦労するぞルシードさんよ。


「一の太刀、彩色」


 光の屈折率で刀身を消す技だったか。便利だな。ここは完全にルシードに任せよう。魔法主体の俺では敵を回復させるだけだ。


「なるほど、始末するならアジュから、ということだね」


「やめろ俺を見るな」


 正直勝てる気がしない。単純な魔法の撃ち合いですら、あっちは無限にできるのだ。こんなのどうしろってのさ。


「ルシード俺を守れ。できる限り最速で誰か呼んでくる。リリアならそろそろ俺のいる方へ近づいているはずだ」


「なるほど、リリア・ルーンが来てしまうのはいけないな。あれは全軍で潰す」


「そういや2ブロックはリリアの隣だったな。どうせ勝てなかったんだろ?」


「あの女は化け物だ。最適解を何の興味もなくさらりと全軍に課す。どんな戦場でも駒の性能を100%使い切る。だが死人が出ない」


 かなり恐れているようだ。だがリリアは他人を使い捨てると面倒だからやらないはず。実際に戦うと感想が違うのだろうか。


「兵士を使い捨てにするタイプじゃないからな」


「そうだ。他国の軍より少し上等な扱いをしていた。兵からの評判もよい。だが間違いなく駒としての性能で自軍を見ていた。命令は適格で、決して無茶はさせない。兵の心の機微まで完全に計算で読み切っていた」


 俺とリリアの目的は、一緒に異世界で楽しく遊んで暮らすこと。

 それができない途中過程なんてどうでもいい。成績が悪くならなければヨシ!

 なのでトップなんて目指さないし、最初から他人にたいした興味もない。


「死人が出ると次で使えず無駄だから出さないということに気づいた。次第にどんな命令でも勝つと信じて黙々と従う兵士ができていった。正直恐怖だったよ。そこまで片手間でやってるようでもあった。我々と戦っても心ここにあらず。けれど絶対に届かない差を感じる」


 女の両手に魔力が集う。さっきより格段に上だ。プラズマイレイザーをほいほい超える威力を貯めるな。


「だから、あの女と戦う時は、他者の介入があってはならない。今のうちに始末する。悪く思うなよ?」


 両手から迸る高専は、最早どう避けても無駄だ。


「インフィニティヴォイド!!」


「多重閃光剣!!」


 現時点で最大の攻撃魔法だ。インフィニティヴォイドは真っ直ぐ撃てるようになった。これでしばらくは時間が稼げるぜ。


「ほう、やるじゃないか。今なら下僕にしてやってもいいぞ」


「断る!」


「同じく。女の下なんざ死んでも嫌だね」


 強がってはみたものの、こいつマジで魔力無限だな。まったく疲れた様子もなく、更に威力が上がっている。インフィニティヴォイドで押されるのは正直予想外だ。


「ルシード、必殺技とかないのか?」


「出す時間も距離も足りぬ」


「俺もだ……しょうがねえ、全力全開で撃ち続けろ。いいか全力だ。それしか方法はない」


「いいだろう。アーク最大出力!!」


「委細承知」


 それから数分。数分のはずだ。いやに長く感じるが、それでもなんとか撃ち合いは続く。もうすぐのはずだ。俺達二人が全力を出しているのなら、その時は近い。


「ふはははは! いつまで力比べで遊ぶつもりだ!」


「ルシード、ここは撤退も考えるのである」


「光速で動く相手にか?」


「もうちょい頑張れ。そうすりゃ勝てる」


「世迷い言を……ならばじわじわと押し込んでやろう。この無限のパワーでな!!」


 もう既に限界ギリギリのところだ。これ以上は鎧の出番だと思っていたが、どうやら杞憂に終わってくれたな。


「はあ……間に合ったか。任せるぞ」


 敵の横っ腹に何かがぶつかる。超スピードで飛んできたそれは、敵を遥か遠くまでぶっ飛ばした。


「まったく、この程度で苦戦するでないわ」


 リリア到着。

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[一言] >こんな一方が有利な試験 忘れてた。そういや試験中だったわ。でも実際問題殺意が高すぎて、今の自分は「試験。蟲毒の別名だっけ?試験……??」みたいな顔になってると思う。 またどっかのトンチキ…
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