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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
第十四章 夏休みを満喫しよう

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お偉いさんと食事するのめんどい

 戦闘も終わり、舞台に溢れた金が固まったのを見計らい回収。

 全員で脱出してシャイニングブラスターで空に浮かぶ闘技場を消したら帰還。

 事後処理は神々に任せ、とりあえずフルムーン城で一泊した。


「アージュー。起きてるー? お昼だよー」


 シルフィが起こしに来た。前もこんなことがあったな。


「まだ昼か」


「今寝ちゃうと夕方だよ。ほら起きる」


 布団の上から揺すられる。せっかくいい気分で寝ていたのに。

 ベッドが高級品だからか、寝心地が良くて寝すぎてしまう。


「布団をひっぺがします」


「やめろ寒いだろ」


「まだ夏じゃぞ」


 横で寝ているリリアも起きたようだ。いやなんで横にいるかなこいつ。

 俺はいい加減気配とか読めるようにならないのか。


「なんだろうな……部屋が広いからか? なんか寒い感じがする」


 独特の暖かさと冷たさがある。高級ホテルとかこんな感じなんだろうか。

 だとすれば間違いなくスイートに泊まっているわけだが。


「あー……ちょっとわかる。わたしもそんな感じだった」


 シルフィの過去を聞いた今となっては、言ってることをより実感する。

 なるほど、こりゃ布団にくるまっているしかないな。


「っていうかなんでリリアは一緒に寝てるのさー!」


「寝たかったからじゃ」


「ええい、わたしが入っていけないのを知っての狼藉かー!」


 朝っぱらからテンション高いなシルフィ。

 いやもう昼なんだっけか。


「そうね。そろそろ起きましょう」


 布団からのそのそイロハさん出てきましたよ。

 お前らはどうして忍び込むのさ。


「うわあ今回はイロハもいる……わたしの家なのに一番不利だ!」


「それはちょっと同情する」


 しれっと横にいやがって。イロハはなんかいつも通りだ。

 俺はまだなんで昨日あんなことしちまったかわからんというのに。


「同情じゃなくてこう、ご褒美を! 頑張ったシルフィちゃんにご褒美をあげましょう!」


「一番頑張ったの俺じゃね?」


「アジュがいじめる……」


 どうしろってんだ。そもそもこいつらが勝手に入ってくるのが悪い。


「ああもう飯なんだろ?」


「もうすぐみんな揃うわよ」


「ほれほれ起きるのじゃ」


「なんだよ……なんか予定あったか? 食事の約束とかなかったはずだぞ」


 なんかあったかな。そもそも里帰りに同行しただけだよ。


「昼食でポセイドンさんから報告があるはずよ」


「リウスさんもお礼が言いたいって」


「お礼とかいらん…………あー腹減ってきた」


「じゃあ起きよう。色々と説明はしておいたからさ」


 渋々起きる。着替えは早着替えの術でやってもらった。

 もう慣れている自分自身をどうかと思う。

 広くて長い廊下を歩いていると、眠気も消えてきた。


「お偉いさんと飯食うの嫌い」


「マナーとか厳しい席じゃないよ」


「そもそも人と飯食うの嫌いなんだよなあ」


「わしら以外と食べる機会を極力減らしてやっておるじゃろ」


「感謝しているよ」


 こいつらは理解者であり、そのへん完璧なので苦にならない。


「ゆっくりお話しながらとか、誰かに合わせるの嫌いだもんね」


「まず飯食いながら話すのがめんどい。飯に集中したいんだよ。あと俺が食い終わって、相手が食い終わるまで待っている時間だるい。食ったら好きにしたい」


 ほいほい他人と飯食えるやつが理解できん。

 自分だけで食っている方が好きなもの頼んで好きなペースで食って帰れる。


「まあ自分勝手の極みのようなやつじゃからのう」


「そういうこと」


「お待ちしておりました」


 豪華な扉の奥には、いつかと同じ豪華な食卓があった。

 どうやら全員揃っているようだ。


「やっと起きてきたか。このハンサムが待ちぼうけだぞ」


「お館様は昼まで起きてこないと言ったでござろうに」


「だからこそこれから昼食なのですわ」


 フルムーン家とフウマ一族。そしてポセとヘファイさんにリウス親子。

 さらにはヒメノ一派までいやがる。

 うわあ大人数での食事めんどい。


「あぁ……やっぱりめんどくさそうな顔っすね」


「アジュくんだものねえ」


「遅れてすみません」


 別に約束とかしていないんだけれど、一応謝ってみる。


「いやいや、こちらで勝手に決めたことでね。気にしないでくれ」


「最悪来ないことまで想定してこそ旦那の知人というものですぜ」


 そこまで行動パターンが読まれているのもどうかなと。

 そんなわけで席につき、飯を食い始める。

 既に横で肉の鉄板焼きなんぞ始めているミナさん。


「アジュ様、お肉の焼き加減は?」


「肉はがっつり焼いてくれ。レアとか肉って感じがしないし、なんか好きじゃない」


 高級志向のやつってレア以外食わなくて飽きないのかね。


「食べながら聞いて欲しい。今回も国の危機をサカガミ殿に救われたわけだ。本当に感謝している」


 そこからお礼ラッシュが始まった。

 飯食っている時に大勢からお礼言われると対応めんどいぞ。


「いいですよ。成り行きといいますか、そうするしかなかったもので」


 味付けが薄いのは昼だからか。がっつり肉食う感じじゃないしな。

 チーズかけてくれるんだけれど、これがサイコロステーキに合う。

 ちょいとサラダつまみながら、肉とパンを食べていく。


「こちらの事情に巻き込んでしまってすまない」


 ヘファイさんと知らないおじさんに頭を下げられる。

 別にいいと断ってスープを飲む。口の中がすっきりするいい味だ。


「クレオス・リウスだ。ホノリが世話になっているらしいね」


 ホノリの親父さんらしい。凄い筋肉だ。

 短く切りそろえられた髪と、髭のないさっぱりした顔。

 どことなくホノリに似ているな。


「いえ、こちらこそ世話になりっぱなしですよ。なので今回は恩が返せました」


 ホノリには試験の時も、カトラスを作ってもらう時も世話になった。

 ちょっとくらい助けてもいいさ。恩は返しておこう。


「あ、できれば今回の件は神と……じゃあサクラさんがやったことに」


「じゃあって、私は無理よ。今回の騒動自体、秘密裏に処理するわ」


「そうですか。まあ気にしないでください。こっちはこっちの事情で好きにやっただけです」


「かたじけない。時にうちの娘とはどういう関係で?」


「同級生ですよ。武器作ってもらったり、同じ勇者科だったりするだけです。男女の関係ではありません」


 娘を心配するお父さんの顔ってこういうのなんだろうか。

 俺との関係が気になっているが、助けてもらった手前強く出られないのだろう。


「そこは私も保証する。というかアジュはもう相手がいる」


「それが誰かは言わないでおいてくれ。めんどい」


「わたくしもその一人ですわ」


「それは違う」


「ヒメノはだめ。アジュのことがちゃんとわかってないし」


 しれっと入ってくるヒメノはちゃんと否定しておこう。

 紅茶貰って一息つく。ちょっと味に飽きたなと思ったら、ミナさんが鉄板で半チャーハン作ってくれた。ありがたい。


「そうか。初対面で失礼した。これからも学友でいてあげて欲しい」


「あまりおすすめはしませんが……何かあれば手伝います」


 細切れの肉と卵のチャーハンめっちゃ深い味がする。

 なぜここまで美味いもん作れるかね。


「完全に食事のことしか考えておらんじゃろ」


「いやあ王宮の飯って美味いな」


 ぶっちゃけ話半分である。いいんだよ俺には難しいこととかわからないし。

 その後もポセとヒメノにより、捕まえた女神ウルドは神界の城で取り調べを行うことが決定し、もう搬送を終えたと話された。


「どうもサイクロプスとヘカトンケイルに近づき、財宝コレクターのファフニールをそそのかして総取りを企んでいたらしい」


「なぜそんなことを……」


「誰かになびいて突然消えた姉妹より上の存在になりたかったらしいぞ」


「よくわからん」


 クリームコロッケが美味いのは凄くよくわかる。

 これなんだろう。カニじゃないな。貝類に近い。

 まったりして濃いめなのにしつこくないし、クリームの味を阻害しない。

 むしろお互いを引き立てているじゃあないか。


「エイラ貝のクリームコロッケです」


「ホタテみたいな大きさで、味がちょい独特なんじゃよ。ドリアとかグラタンとか、クリーム系の料理に合うのじゃ」


「ほう、いいことを聞いた。こりゃ美味い」


 覚えておこう。安ければ自宅で作ってみるかな。


「もう少しこちらに興味持って欲しいですわ」


「やかましい。ぶっちゃけお前らの不手際というか、神同士で解決しろ。人間巻き込むな」


「それを言われると痛い。ハンサムの泣き所だな」


 余計なことで夏休み使わせやがって。もうすぐ新学期だぞ。


「テスト前に妙な戦闘させやがって」


「テスト?」


「勇者科は新学期明けに中間テストなんだと」


「それはまた……ならば必要なものがあれば揃えましょう」


 試験内容がわからないため、回復薬とか備品にとどめてもらう。

 俺は自前で装備があるからな。


「せっかくですから王都で遊んでいきなさい。欲しいものがあったら相談にも乗るわよ」


「二度も国を救ってもらったのだ。値段が張るものでも構わんぞ」


「……客室のあの異様に手触りの良い毛布欲しいです」


 王宮の布団って凄い。すべすべでふわっふわだったよ。

 家に欲しい。マジであれ一式くれないかな。


「そこで寝具に行くのね」


「アジュじゃからのう」


「アジュですからね」


「与えたらずっとお部屋でごろごろしてる気がする」


 それもやむなし。あんな手触りの毛布さんに責任がある。


「じゃあちょっと遊んでから学園に帰ります」


「では備品と毛布は積み込んでおきますね」


 そんなこんなで食事は終わり。さてどこに行くかな。

 今日の夜には家に帰りたいんだけれど。


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