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異世界美少女達よ、ぼっちだった俺を攻略できるもんならやってみろ~最強無敵の力はハーレムラブコメに使うらしい~  作者: 白銀天城
第七章 新魔法と召喚獣

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初心者講習に行ってみよう

 休み明けの俺達に、やた子が持ってきた依頼。その依頼をまとめると。


「騎士科や戦士科で行われる初心者講習で、突然初心者がめっちゃ強くなって暴れだす」


「暴れていたことをまーったく覚えとらんから、手がかりもなし」


「ただ初心者以外では起きないから困っている。でいいの?」


「正解っす。というわけで、本当は弱いアジュさんに白羽の矢をザックリ突き刺そうという計画っす」


 つまり俺を囮として使おうということか。


「その提案には無理がある。何故強くなって暴走するかわかんねえんだろ?」


「そうっすね。魔法なのか何かが乗り移っているのか不明っす」


「俺が暴走して鎧使ったら詰むぞ。世界が」


 俺が加減して使っているからいいものの、全力で動いてみよう! とか思って動いただけでズタボロになるわけだよ。全世界が。


「鎧っていうか腕輪なら大丈夫じゃないっすかね? なまら強いっすよね?」


「毒や呪いを弾いてくれる効果は絶大にして絶対じゃ。しかし……原因を調べてからでも遅くはないはずじゃろ」


「そもそも正式な依頼なの? やた子が依頼を持ってくること自体が怪しいわよ」


 こいつとヒメノは目的不明だったり、ノリで動いていることが多い。

 ちゃんと確認しないと馬鹿騒ぎに巻き込まれてしまう。


「ふっふーん、ちゃんと貰ってきたっすよ!」


 学園長公認の依頼である証、ジョーカーのカードだ。ちゃんと学園長のサイン入り。


「そっち系の依頼か」


「ええ、なのでアジュさんには初心者講習に行って欲しいっす」


「あたし達はお留守番?」


「みなさん初心者じゃないっすよね」


 シルフィはがっつり騎士科だし、イロハも戦闘術のプロに近い。リリアも接近戦できる。

 ラーの子孫だからか、リリアは普通に一般男性より強い。


「わしらが混ざるとイヤミったらしさ大爆発じゃな」


「いいイメージではないでしょうね」


「なので講習警備の依頼に混ざってくださいっす」


「どうせアジュには修練の場が必要じゃ。ついでに単位と報酬もいただけるならお得じゃな」


 一理ある。どうせやることもない。学園からの正規の依頼なら問題なし。決まりだな。


「んじゃ受けてみるか。講習はいつからだ?」


「えーっと、二時間後っすね」


「近いな!?」



 そんなこんなで綺麗に整備されたコロシアムに来たわけだ。

 屋根つきで観戦席もある豪華な場所だ。この学園は本当に金かかってんなあ。

 石造りの舞台の上に俺を含めた三、四十人くらいが集められている。


「よ~し揃ったな。おれが今日の講師、戦士科担当のアクセルだ。ま、よ~ろしく頼むわ」


 アクセル先生だ。またよくわからない縁があったもんだな。

 各科には複数の先生がいる。一年から三年までを全部一人でカバーすんのは無理だからな。勇者科のように超特殊クラスじゃなければ先生も増えるさ。


「お~しもうちょい離れて立ってくれ。そうそう。戦うからな。隣に自分の武器が当たらないようにガッツリ余分に距離を取れ」


 初心者の剣を鞘から抜き、相手との距離を測る。剣五本分くらいスペースが広がる。

 俺がいるのは近接主体のあつまり。遠距離主体の生徒は俺達から離れた場所で別の先生が監督している。


「よ~しそれでいい。今から目の前に幻影の敵を出す。それを使って基本的な戦い方を学べ」


 目の前に人型の幻影が現れる。剣を右手に持っていて顔がない。俺と体型は変わらないな。


「いいか、全員得意な得物が違うから、剣を持たせて素振りなんぞさせても無駄だ。身のこなしを覚えてもらう。基本的な動き方を覚えたら、自分の得意な間合いを体に叩き込め」


 そりゃそうなるわな。俺の右隣のやつなんかでっかい円月輪持ってるし。

 左隣は二刀流だ。後ろのやつはハンマーだし、同じ戦法で戦ってもダメだろう。


「まず攻撃をよける訓練だ。初心者は武器で受けようとするな。力負けするし、武器と体を傷める。幻影は一定の距離まで近づいてきたもの攻撃する。縦にしか切ってこないから、横なり後ろなりに避けろ。段々切るスピードと攻撃してくる距離が変わるから注意するように」


 そーっと近づいてみる。相手の剣が十分届く距離まで来ると、本当に縦に切ってきた。

 見切れないスピードじゃない。後ろに飛べば余裕だ。まあ初心者用だしな。


「攻撃をよけてから、反撃しろ。十回当てると今度は横薙ぎに振ってくる」


 敵の攻撃が早くなるが、縦にしか来ないとわかると余裕が出るな。

 先生は生徒を一人一人見ながらうろうろしている。

 ちゃんと全生徒に指示が出せているってことは、かなりの武器を使えるんだろう。


「余裕があるうちに敵の攻撃を見るクセをつけろ。ただな~んとなく後ろに飛んでもダメだぞ」


 敵の剣や腕の動きなんかを観察しつつ、攻撃を入れていく。

 幻影が人間の動きに似せてあるのか、予備動作があるため回避しやすい。


「横攻撃はしゃがむと危険だ。頭が晒されるからな。敵の足元でしゃがむのは厳禁だぞ」


 となるとバックステップしかない。後ろに飛んで一気に踏み込む。

 繰り返すと結構体力使うわ。剣が重くなってくる。


「終わったらランダムで縦・横・斜めを繰り出してくる。幻影の剣もまた幻影だ。殺傷能力はない。だがまあ緊張感がなくていけねえや。だ~からちょいとビリっとくるようにしておいたぜ~い」


 先生の話に気をとられて、斜めに振り下ろされた攻撃をかわせそうにない。

 仕方なく剣の腹で受けると、軽くビリッと電撃が走る。絶縁できる柄の剣だったため、俺にダメージはないがちょいびびった。


「これか……こりゃ慎重にいかないとな」


 踏み込んで、幻影の攻撃が早くて無理そうならそのまま下がる。

 もう一度踏み込んでみよう。今度は避けられる縦攻撃だ。一気に踏み込んで一発当てて離脱。


「よし、しばらくこれやってみるか」


「お、い~い感じじゃねえか。一発当てて即離脱、が基本になりそうだな」


「あ、どうも」


 アクセル先生が話しかけてきた。確か今回の依頼のことは知っているはず。


「ああ、続けていいぜ。しっかしこうして見るまで素人だってのは半信半疑だったが」


「マジに素人なんですよ。ちょっとパワーアップする方法があるだけで」


「あ~れがちょっとなんて可愛げのあるもんかね。ま、基礎は覚えておくといいぜ」


「はい。しかし攻撃を当てるのって難しいもんですね」


 攻撃をかわすだけならなんとかなっている。

 ここから攻撃して、離脱するまでが結構しんどい。体力使うなこれ。


「パワータイプなら打ち合ってもいいんだけどな。サカガミはスピードと発想で戦うタイプだ。一撃離脱は間違っちゃいない」


「今までそんな戦い方したことないんですけど……間違ってないんですね」


「ん? ああ、その戦い方はな、今日のお前さんが真剣に戦っているから見えてきたんだよ。どう戦っても勝てるような力は、意外とそういうことの邪魔になる」


 確かに鎧があればどう戦おうが勝てるだろうしな。講習に来たかいがあったぜ。


「真剣にやって、成果が出るってのは……なんだか楽しいものですね」


「ああ、た~のしいぜい。おれはそれが楽しくて戦ってたら、教師なんぞやることになっちまってたさ」


 ニカっと笑うアクセル先生からは、本当に楽しいんだろうという気持ちが伝わってくる。


「うおっとあぶね」


 話に気をとられていたら、また攻撃を避け損なう。剣の腹にバチッと電気が走った。

 その瞬間、俺の脳裏に魔法の名前が浮かんだ。


「あの、先生」


「なんだ? どっか痛めたか?」


「いえ、その、なんとなくですが……新しい魔法の名前が浮かんできまして」


 マジでなぜこのタイミングかね。いや偶然俺の属性と同じ電撃だからか?


「ほうほうほうほう。面白そうだな。幻影に向かって撃ってみろ」


「いいんですか? どんなものかわかりませんし、俺の相手ばかりしていても……」


「いいんだよ。警備の先生が監督に回ってくれているからな。余裕がある」


 知らない先生が生徒に指導しているのが見える。二、三人いるな。

 俺はいつ増えたのか気付かないほど集中していたのか。


「忘れないうちに一発撃っときな。心配しなくても、俺が幻影の後ろに立っててやる。多少威力が強くても切り落としてやるよ」


 それは心強い。先生なら鎧無しの俺の魔法なんて楽勝で落とせるだろう。


「体と心が命じるままに動け。意味のなさそうな行動でも、魔法にはそれが必要だったりするぜ」


「はい。それじゃあ使ってみます」


 集中して頭に魔法を思い浮かべる。さっき見えたのに、ちょっとぼやけている。

 さっきは電撃を剣の腹で受けた時だった。電撃だ。イメージしろ。

 いつまでも本体が弱くちゃいずれ死ぬ。見せてやるぜ……俺の新魔法。


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