退屈な授業 side夜風
黒板に文字を書きながら教師は言う。
「簡単に言えば『災厄の誕生』と『抗う力の発現』と言うことだ」
この言葉を何度聞いただろうか?
聞いた後に言われる台詞は………
「つまり、『第三の巫女』は人類にとって災厄でしかなく消さなければならない火種だ」
やっぱりこれだ。今までに何百、何千と聞いているこれを聞いたら次に聞こえるのは、授業終了のチャイムの音。
本当に毎回、毎回退屈な授業だ。何故、他の奴らが真剣になれるのか“オレ達”は分からない。
◆◇◆◇◆
「「「有り難う御座いました」」」
「じゃあ、また来週」
帰りの会が終わり担任が教室から出ていった。
教室には荷物をまとめる者、友人と話をする者など、放課後の教室なんていつも同じだ。ただ、オレが特殊なだけで…
席をたち教室から一歩踏み出た瞬間に聞くのは…
「夜風!!」
すぐ隣からの少女の声。
「姫」
振り向けば学校指定の白を基調としたブレザーに黒のスカート……じゃなくて、小袖に緋袴という一般的な巫女装束を身に纏うオレの……
え!?…………
「何故ここで巫女装束ッ」
「だって……学校で巫女服とか新しくない?」
オレの幼馴染みである、姫宮 雪華 通称「姫」
「新しいけどさ…」
「夜風はどうなの?」
「何が?」
姫がクルッと、その場で一回転してから言う。
「巫女服の私を学校でみれた感想だよ」
「ああ、感想か……」
はっきり言って可愛い。可愛いのだが…
「学校なんだし制服の方がオレは好きだな」
「え、あっ………」
姫が急に落ち着きを無くした
「………?」
「えと、えと………」
しばらく考えた後に……
「き、着替えて来るっ!!もも、もちろん制服に!!」
それだけ言い、姫はオレに背を向け髪を乱雑に揺らしながら駆けていった。
◆◇◆◇◆
姫が走り去ってから数分経って今現在。教室前で待っている。
「凜條君またねっ」
「さようなら、夜風君」
何故か女子がやたらと前を通っていく
……別にどうでもいいな。
「夜風!!」
どうでもよくない声がした。どうやら、帰ってきたようだ。
「着替え終わったか」
隣には、今度こそ学校指定の白を基調としたブレザーに黒のスカートを纏う姫の姿があった。
「じゃあ、行くか」
「みんな待ってるかな?」
今日も“あの教室”へと
“オレ達”の課外活動へと