温泉卵
デッキブラシで、床を磨きつつ、特に汚れたことしてないよな?とか考えながら、掃除をしていると、ゆでたまごがそろそろ固くなるなと言い、逃げた竜崎さんを恨みつつ、ボーっと、此れからのことを考えるフリをしつつ、姫華ちゃんに話しかける。
「基地に帰ったらどうしますかね?」
「そうですね~取り敢えず、皆と、暫くゆっくりしたいですね~」
「そうですね....僕は少し体を鍛えなければいけませんね」
「贅肉を少し落としたら、きっとイケメンにもなれますよ?」
「疑問形なんですね」
「それより掃除は終わりましたか?」
「よし!こんなもんで良いやろ!!では、入っていいですよ~」
そう言うと、脱衣所に姫華ちゃんが入ってきたので、入れ違いに外に出た。
外に出ると、竜崎さんが、川を渡った所にある、源泉掛け流しの、温泉卵製造機(失礼)が有る所で、ゆでたまごを頬張っていた。
プラプラ歩きながら、竜崎さんに近づき、温泉卵を一個かっぱらう。
ゆで卵から、硫黄の臭いがし、ゆっくり殻を剝く。すると、少しずつ、肌色の殻から、純白の白身が見えてくる。
ゴクリと、口に溜まった唾液を飲み込み、殻を剝く。
ペリペリ殻を剥いていき、白身の半分くらいでかかった所で、殻が白身を持っていく。
その殻をもったいないと思い、殻を口に入れ、白身をねぶるように取る。
そうして、口に残った殻をペッと吐き出し、また殻を剝く。
殻を剥いている時は、無心で行う...
そうして剥いていき、偶には、殻に付いた白身を啜り、また剥き...そうしていると、綺麗とは言えないが殻を剥き終わる。
そうして温泉卵を頬張ろうとすると、竜崎さんが
「ん」
その一言と共に、塩を差し出してきた。
粗塩の塩だ。
此のご時世、塩は貴重品になりつつ有る。
何処で見つけたとか、野暮なことは聞かずそれをふりかける。
少し塩をまぶし、頬張る....
「旨い...」
「おかわりもいいぞ」
信じられないと思いながら震える手を差し出すと、
「遠慮するな今までの分食え.....」
急いで卵を剥き塩をかけ、頬張る。
「うめ うめ うめ」
そんな茶番を混ぜつつ、タバコを吸ったりして、時間を潰した。
すみません、ただひたすら温泉卵を食べるだけになってしまいました。
本当に申し訳ありません。