誘い
「タバコ一本であれくらい怒れるって結構な事で....」
そう言いながら竜崎さんと喚いている人を見る。
「いやいや、止めて下さいよ」
そう言っていると、奥田さんが、声に怒りを含ませながら出てきた。
「何喧嘩しているんだ!!今は、協力しながら生活しなければ、ダメなんだ!!山田さんも、周りに迷惑を掛ける行為をやめて下さい!!竜崎さんも、来てそうそう、周りに反感を買うような行為を止めて頂きたい!!」
「お、おう...」
竜崎さんが、ちょっと引き気味に答えた。
「分かったろ?俺も周りに迷惑を掛けるのは、気がひけるんだ、だからタバコをくれよ?な?」
何が「な?」だ。
まぁこの場合年上だが、俺が上司になるので、尻を拭く。
「いやぁ~すみませんでした!うちの古い奴が迷惑掛けたみたいで!」
そう言いながらタバコを一箱取り出し渡す。
「銘柄も少ないんですが、コレで勘弁して下さい!」
「お?分かるじゃねぇか!部下の教育をちゃんとしておけよ?」
そう言いながらタバコを引ったくり、肩を小突かれた。
「えぇ!申し訳ございませんでした!」
そう言って頭を下げた。
覚えとけよ?
そうこうしながら辺りも暗くなってきた。
周りを見ると、カップ麺や、何処から持って来たか分からない、アルファ米などを用意して皆食事を取り始めた。
すると、さっき殴られていた太っちょが、ふらふらしながら何処かに歩いて行くのが見える。
デブは、皆同士!
食料は、多くはないが、まだ有るので、後ろから着いていき様子を見ようと思う。
「姫華ちゃん、ちょっと席外します。 もしかしたら、もう一人増えるんで」
「は~い分かりました!」
そう言って席を外した。
後ろから着いき、結構歩く。
すると、SA内の結構離れた場所の所にダンボールが敷いてあり、そこで太っちょが、寝転んだ。
あれ?飯は?デブなのに食べないとか死ぬ気か!?
場所は、離れた所に有る便所の前。
ライフラインも止まっており、あまり、衛生的に、宜しくない臭いが漂っている。
「兄ちゃんこんな所で寝てるのか?」
そう言うと、頭を此方に向け、ふてくされた顔で頷いた。
どうにもムカつく顔だコレは殴りたくなるのも頷ける。
「け、怪我とかしてないのか?」
そう言うと吃りながら答えた。
「だ、だだ、大丈夫です....何しに来たんですか?」
怯えも見えるぞ!!
「いやぁ~飯とか食べないのかなと思って来たんだが、食わないのか?」
「俺は、何もしていないから、俺にはご飯が無いんだ...」
「え!?デブなのに?生きてて楽しいのか!?」
そう言うと怒りを少し表して、寝転びながら壁を蹴った。
どうにもトドが暴れているようにしか見えない。
「ほっといてくれ!」
「いや、飯食うかなと思って誘いに来たんだが、いいのか?」
「いらねぇよ!!」
施しは受けぬ!!ってか?
「じゃあお前の分もう出来てるけどそれ捨てるわ」
そう言うと少し動揺しながら此方を見た。
「す、捨てるのか?」
「いや、いらねぇ!って言ったじゃねぇか?」
「いや、捨てるのなら....」
ここは俺が折れなきゃ食わねぇよな?
「まぁ来いよ!ここの話とかしたいから誘ってんだしさ」
そう言うと、しぶしぶついてきたようだ。
死兵ってのも必要だしね。