バイク屋
ロシアの輸送ヘリMi-17(ヒップ)と言うヘリをやり過ごし稜線裏で話し合う。
「で、これからどうやって基地に帰るかだが...」
「意外と話し合ったら基地に帰れるかもしれませんよ?」
「最初に撃ち殺したせいでそれも出来ねぇよ」
「徒歩で帰るにしても距離がありますからね...」
「どうするか....取り敢えず、市内方まで降りてみて、連絡を取る方法を探しますか?」
「そうだな...NVゴーグルを使って麓まで降りてみるか...」
「そうですね」
「わかりました」
そう言って我々は、山を下った。
山を下っている途中でもゾンビが少しウロウロしていたが、崖から突き飛ばしたり背中を押してやると転げるように山をゾンビが下っていった。
山を暫く下ると、開けた所に出てきて、車が駐車場に停まっていた。
「あれを乗れたらいいんだが、絶対にバレるだろうな」
「しかもこの辺りに救援物資が投下されているので、下手に道路を通れませんからね」
そんな話をしながらタバコに火を着けようとすると、竜崎さんにもぎ取られた。
「匂いって言うのは結構厄介なもんで、タバコは、やめとけ」
「加齢臭もその話に含まれるのですか?」
姫華ちゃんが、言ってはいけないことを言う。
「私のお父さんは、お酒を飲んだ次の日物凄く臭いんで...」
竜崎さんが、袖の臭いを嗅いでいる。
「りゅ、竜崎さんは、大丈夫...ですよ?」
フォローをする。
「あ、ああ...大丈夫だ...」
そんなこんな話をしながら道を進む。
曲がりくねった道を進んだりしていると、道に独特な履帯の跡が見えた。
土が乾いており、かなり時間が経ったようで周りにディーゼルの臭いもしない所を見るとかなり時間が経っているようだ。
「この履帯は何ですか?」
「いや、見ただけじゃ解かんねぇよ....でも、大きさ的にBMPだろうな...」
「そうですか...早く抜けた方がいいですね」
「...」
そうしてまた道を進む。
そして結構な時間を歩き襲撃も無かったが、警戒しながら道を進む。
辺りは、未だど田舎に見えるが、イオンが後10kmっていうところを見ると、少し栄え始めてきている。
「本日泊まるお宿は、何処にしますかね?」
「イオンは、他の難民が居るかも知れねぇから別の場所にしようぜ」
「じ、じゃあ温泉入りたいです!!」
「水道も止まってんのにどうやって入るんだ?ガスもそうだ」
「ぐぐ...」
「まぁ取り敢えずバイク屋が見えるんでそこに行きませんか?」
そう言いながら指を指す。
「お前は...」
「いや、バイクなら結構進めると思いますよ?幸い彼処のバイクショップは、エンデューロのショップのようでオフ車を多数置いていそうです!!」
そう言いながら看板をガン見する。
ちなみにNVゴーグルを着けたド変態だ。
取り敢えず行きましょうか...
ゾンビもある程度増えたが、こっそり建物を使いながら進む。
筋肉痛になりそうな動きをしつつ着いて行く。
竜崎さんは、見た目とは全く違う素早い動きで建物に上ったり、姫華ちゃんは靭やかな動きで、美しく動いている。
俺は、ドタドタと走り、カッコつけて飛び乗ったりして、下腹部が攣って「救急車呼んで!!」と叫んでゾンビを集めたり、皆が軽く飛び降りている所を、転げ落ちるかのように落ちて藻掻いたりしながら必死に着いて行く。
そんなこんなをしながら走っているとバイク屋の前まで来た。
「ニート!!早く登れ!!」
「早く上って下さい!!」
「待って...心臓爆発する...俺を...置いて...先に..行け.....」
「黙って早く登れ!!」
そう言われ後ろからゆっくり着いてくるゾンビの手がとどかないように必死に姫華ちゃん達が居るヘリにしがみつく。
「無理!!無理!!落ちる!!」
そう言いながら姫華ちゃんと竜崎さんに引っ張りあげてもらう。
ヘリの上で寝転びながら自販機を壊して取った温くなったコーラーを飲む。
部活で炭酸禁止と言うのがあるが、俺は全く理解できない...
世界にはこんなに美味しい物が有るのに野球部や、運動部は、飲んだことが無いのか!?
そんな事を思いながら温くなったコーラーを一気飲みする。
意外と自分は悪食で、マズイものも旨く感じれるが、少しでも一線を超えるとまたく食べられなくなるピーキーな舌を持っています。
「旨い!!」
「うるせぇ!!」
「静かにして下さい!!入りますよ...」
そう言って姫華ちゃんが銃底で窓を叩き割る。
ガシャンと言う音と共にバラバラとガラスが落ちる。
中に入ると普通二輪のオフと、奥にビッグオフが置いてある。
「俺あれがいい!!あれ乗りたい!!」
そう言いながらBMWのアドベンチャーに抱きつく。
「俺はこれに乗るんだ!!意地でも乗るんだ!!」
BMW R1200GSデカく!!大きく!!そしてデカイ!!ビッグオフ!!
昔一度とある小説を読んでオフロードに目覚めたきっかけのバイク!!
多分展示用で置いてあるビッグオフで、BMWから借りているのだろう。
見た目はかなり綺麗だが、タイヤは、少し泥がついており未だ走れそうな状態だ。
台数は五台置いてあり、どれも稼動しそうだ。
「竜崎さんもこれでいいですよね!!姫華ちゃんも!!」
そう言いながら見ると、あっけらかんとした顔でこちらを見ている。
「お、おいニート...姫華ちゃんもこれに乗るのか?」
そう言われ、戸惑う...そうだ...250のオフ車とは、ワケが違う。
デカすぎる見た目の通り、足も片足が届く位だろう。
転けて怪我をする可能性を含むこのバイクを姫華ちゃんに乗せるのは酷な話だ。
「わ、私は、この小さいので良いですよ...」
そう言って指を刺した先にはセローがあった。
「俺もビッグオフ乗るぜ」
そう言ってテレネを選んだ。
ホンダもスズキもヤマハもカワサキも好きです。