私は二度見しました。
私の名前は 如月 葵 といいます。桜上水女学園に通う、高校2年生です。自分で言うのも変だと思いますが、かわいいとおもいます。ただ、そんな私を周囲の人達はことごとく、普通・平凡だと言い友達には 凡ガール 等というあだ名まで付けられているのです。何をしても普通であり平凡だと言われてしまうのです。平凡な日常ばかりが続いていたのです。
そんな私は今日、平凡な日常から脱出しました。
私は、現在一人暮らしをしています。最初のうちはがんばって料理をしていましたが、今ではスーパーの割引惣菜を買って食べてます。
というわけで、今現在買い物を終えて路地を歩いているのです。早く家に帰ってごはん食べるぞーと思いながらあるいていると、私の視界の隅にありえない光景が見えてしまったのです。見てはいけない、見てはいけないと考えつつも、平凡な日常に不満があった私は二度見てしまったのです。
なんとそこには、 ひろってください と書かれたダンボール箱に膝を抱えて座っているオジサンがいたのです。見てしまった・・・もうダメだ・・・目を逸らせない・・・
私はそんなオジサンに聞いてしまいました・・・
「捨てられたんですか?」
するとオジサンは、
「ハハハ・・・、そうだよぅ、オジサンはね長年勤めた会社に捨てられ、信じていた妻や娘に捨てられ、親や兄弟にまで捨てられちゃってねぇ・・・。仕事ばっかで友人の一人もいなかったしねぇ・・・オジサンはもう何ももってないんだよ・・・。」
と、いい溜息をふぃ~と吐いて少しおいてから、
「オジサンに声をかけたのはキミだけだったねぇ・・・。まぁ、オジサンがこんなことしてたらコワイしね。もうそろそろ死んじゃおうかと思ってるんだよ。キミには関係ないことだし気にせず帰っちゃってよ。オジサンが死んじゃっても別にキミのせいにはならないよ。」
まさにその通りである。ここはなかったことにしようと思い離れようとしているのだが、足がうごかないのです。あぁ、やっぱりやってしまったんだ・・・。見なければよかったのにと後悔してしまいました。
オジサンは、
「あ~・・・死ぬ前に飯食っておけばよかったな。て、言っても残金8円じゃ何も買えないけどな。ハハハ・・・ハラヘッタ・・・。」
私はその場から離れてしまいました。