私は二度拾いました
みなさんは、昔捨て猫を見たことはありますか?私は小学3年生の時の下校中に捨て猫を見つけました。ダンボール箱の中には白い子猫が入っていました。小さかった私は単純に捨てられた猫のことが可哀そうと思い、そして同時に私が飼おうと思い子猫を抱きかかえて帰りました。
もちろん、母にはうちでは飼えないから捨ててきないさいと言われました。私は途方に暮れていました。捨ててくるなんてかわいそうなことはできない、私が飼ってあげないとこの子は死んでしまうんだと思い手放すことができずに公園のベンチで座っていました。そして、夜になっても私はベンチから動かずにいました。猫を捨てなければ家に帰れない。猫を捨てるなんてかわいそうと考えていましたが、いつの間にやら寝てしまっていました。
目が覚めるとそこは自分の家の自分の布団の上でした。夜遅くまで帰ってこない娘を探しに来た母が寝たままでいる私を起こさずに連れ帰ったのです。私は猫を抱いていたはずなのに、私の腕の中には猫はいませんでした。あの子は一緒には帰れなかったんだなと思い、捨ててしまったであろう母のことを恨んでしまいました。私は、母に恨みをぶつけようと思い、母のもとへといきました。
そこには、母に抱かれた猫がいました。なぜ、私の家に捨てられたはずの猫がいるのかと、思考が停止している私に母はいいました。私が寝ていてもずっと猫を離さずにいたので母は諦めて家で飼うことと、私がきっちり責任を持って世話をすることができるか?という言葉に、私は何も考えずに うん! と答え、その時に猫は私たちの家族になりました。
さて、私が猫の世話をしたのは最初だけでした。小さいなりに責任を持って学校から帰ってくるたびに一生懸命に世話をしました。子猫が大きくになるにつれ興味が薄れていき、猫の世話は結局のところは母が世話をすることになりました。私はというと、たまに気が向いたときにかまう程度でしたが、家族の一員として大切にしていたつもりでした。
私は、いつかは猫が死んでしまうことを考えてはいませんでした。我が家に猫が来てから4年目に、猫は死んでしまいました。私は家族が死んでしまったことに悲しみ泣きました。こんな思いをするならば拾わなければよかった。私がちゃんと責任を持って世話をしていれば、私の家族であるこの猫はもっと長く生きられたのではないかと後悔しました。
何が言いたいかというと、私は二度と拾わない。 と、誓ったのに私はまた拾ってしまったのです。