称賛
「この度は、日頃から当店をご愛顧いただいておりますお客様方並びに各関係者の方々には多大なご迷惑をお掛けし、また更に、当店に対する信頼を裏切ってしまったことを深くお詫び申し上げます。尚、今後はこのような・・・・・・。」
とある食品関係の企業で消費期限の偽装が発覚し、今まさにその記者会見が行われていた。
少しばかり期限の過ぎた総菜を、「経費節減」という名目の元、日付シールを貼り替えて再度店に並べていたのだ。
日本のあちらこちらで
「消費者をバカにしている。」、「もうこんな店では二度と買わない!」、「子供もいるのに安心して料理が出来ない。」
等々、批判の声が上がっていた。
その店では客の不買運動が起こり、売り上げが激減した。役員は総辞職に追い込まれ、閉鎖になった店舗もいくつかあった。
そんな折、とある国から一通の手紙が送られてきた。
消費者担当部署では、ついに海外からも批難されたか・・・と、肩を落としながらも封を開けてみる。
しかし、何やら賞状のような紙きれが同封されており、クレームにしては様子がおかしい。急いで日本語に訳すと、そこに書かれていたのは大体こんな意味であった。
「拝啓 この度貴殿の行いには大変素晴らしく思いました。ご存じのように我が国では政府が非道い有様ですが、規則に縛られることなく、余ったものを無駄にすることなく利用するその貴社の精神、是非とも見習いたいと存じます。日本国内に於きましては今後しばらく色々と大変かと思いますが、どうかこれに懲りずその精神を大切に・・・(以下略)」