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あなたは私を信じますか?  作者: 古月 うい
中学一年

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11/15

定期テスト終わり

「っつ、ついに!ついに終わっった〜!今日から部活だーっ!」


「こぼしてる」


喜びながらカレーを食べる友達二人を横目に見つつ、昨日のことを思い返す。


あのあと答えを返そうとしたら、いつものように無表情に受け取られた。


私のお礼に何か返事をするでもなく、ただ受け取ってくれた。


それが本当に嬉しくて、昨日はあまり寝られなかった。


「おーい真白ー」


「なに?」


スプーンに乗せて突きつけられた豆を貰いつつ聞き返す。


「真白も今日部活?」


「うん、金曜日だから」


茶道部は水、金の週ニ日。他の部活に比べると活動日は少ない方だった。


「いーな、茶道部。お菓子食べれるし、運動しなくていいし」


運動部から見ればそう映るだろう。


「確かに」


美術部の方も羨ましがってきた。


「…でも、ほら。正座しなきゃだよ」


「あー、それ無理かも…」


「十分保たない」


(よかった)


このまま部活に来られていたら困ると焦っていた。


なぜなら、部活の居心地の良さがなくなってしまうと思ったから。


クラスメイトが誰一人いない部活は、私にとって安心できる居場所になっていた。


少し奥まったところにあって、普通に過ごしていたらそこが作法室だとは夢にも思わない。


そんなところにいるのは、本当に安心した。


「あ、真白!」


「葵!久しぶり。テストどうだった?」


またもや階段で遭遇して、二人で部室に向かう。


「今日どのぐらいかかるかな…今日塾ある日なんだよ…

テストの日ぐらい休ませろー!」


葵は私とは別の塾に通っていた。


葵の振る舞いに笑っている私も、今日塾がある。


「いつも通りだったら四時には終わるはず。今日早いし」


いつも一時間半ぐらい活動していて、終わりが五時半や六時になることもあった。


「よし!」


葵は俄然やる気になったようだ。


この日は先生の解説に沿ってお点前をして正面の人にお茶とお茶菓子を振る舞う、ということを二回行った。


最近は割稽古からこういう通し稽古に変わっていた。


いいことなのだが、ただ…長い。


説明最中にも注意して所作の解説をするので、けっこう時間がかかるのだ。


「ほら、そこはゆの字って言ったでしょ!一週間経って忘れちゃったのー?」


注意されて直されるの繰り返し。


段々よく注意される子と褒められる子、そのどちらでもない子の三種類に分かれてきた。


私と葵はどちらでもない子、今井さんは褒められる子、注意される子の筆頭が、藤岡玉響さんだ。



ようやく終わりの挨拶のために並んで座った時、先生が紙を配った。


葵が隣ですっごく嫌そうな顔をしている。


「今日の掛け軸、いつもと違うのにみんな気づいた?」


そう言われて掛け軸に目を移すと、確かに普段より文字数が多い。


…達筆すぎて読めないけれど。


「これは、正直清浄礼和質朴と読みます。このみなさんがお稽古している流派のお心構えを表したものです。みなさん、プリントにも書いてありますから、よーく読んでおいてくださいね」


プリントには、より詳しく書いてあったが何を言っているのかは理解できなかった。


『正直をもって心を守り、清浄をもってことを行い、礼和をもって人と交わり、質朴をもって身を修める』


その日の稽古は4時半までかかった。授業が三時間の意味が全くない。


帰りに今井さんに声をかけようとしたが、人の波の中にいてできなかった。

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