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わたしのすきなこと
小さい頃から、バスに揺られながらぼんやりと外を見つめるのが好きだった。
バスに乗る度にぼんやりと外を眺めるだけの私を、親はいつも心配して声をかけてきた。
けれど、私は外を眺めるのが好きだった。
何をするでもなく、ただ揺られながら外を見るだけ。
親の運転する車よりも遅く、自転車よりは少し速いぐらいのスピードで動いているので、標識の文字を読むのにも十分だった。
横に流れていくいつもの生活と、私が向かおうとしている目的地との非日常との落差がよく感じられた。
通り過ぎていく景色を眺めていると、私が世界から取り残されたような感覚に襲われる。
それが、たまらなく好きだった。
朝早くに行って、誰もいない学校で過ごすのが好きだった。
ほんの十分や二十分だけ早くに行くと、誰もいなくて、つけ始めたばかりのエアコンの音を聞きながら何をするでもなく過ごす。
誰にも文句を言われずに、怒られずに、拒絶されずに過ごせる、学校内での唯一の時間だったから。
今回はだいぶ趣向を変えて、現代の中学生が主人公です。
このあと暫く間が開くよていです。




