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スネルの虹窓

作者: HORA


…ぶくぶくぶく…


…コポコポコポ…


街から離れたとある山間にある湖で


高校生カップルである瀬戸切(せときり)(あらし)白芹(しらせり)音愛(おとあ)がやり取りをしている


「結構遠い所まで来ちゃってるね。」


「あぁ。家族は探してるだろうな。」


「結構時間も経ってるもんね。」


「まぁ別に一生会えないって話じゃないからな。」


「そうだね。でもここに来てからどれくらいの時間が経ってるんだろう?」


「時計とか無いから分かんないけど、音愛(おとあ)と一緒だったら俺は大丈夫だ。」


「うふふ。私も(あらし)とならどんな状況でも幸せだよ。」


「相性抜群って事だな。俺の人生で一番の幸運は音愛(おとあ)と会えて一緒に居られる事だよ。」


「もう、恥ずかしい。学校じゃそんな事言ってくれないじゃない。」


「…そりゃそうだろ。皆に聞かせるような事じゃないし。」


「うん。許してあげる。…はぁ~…、、ここから見る湖の景色は綺麗ね。」


「波風が立っていないと湖は水の上の景色も見られて神秘的だよな。光の反射だか屈折だかで。」


「うん。凄く素敵。」


「ネットとかで富士山が湖に反射したのを写して逆さ富士って見た事あるけど…あれは何が良いの?」


「うふふ。日本一が二倍!みたいなノリなのかな?三倍にすると富士三…なんてね~。」


「あっはっはっ。でも富士山は一つだけの方が良いと思うけどな。一富士、二鷹、三茄子なんて言うし。」


「初夢のやつね。初夢関係なくこれまで夢の中でこの三つを見た事ないんだけど…、、、」


「あぁ。確かに四扇、五煙草、六座頭って続くけどどれも見た事無いよな。」


「え!そうなの?あれって三以降もあったんだ!」


「扇とか煙草、座頭ってもう令和の時代だと…な~、、、扇はぎりで分かるけど。」


「座頭ってあれだっけ?盲人が同業者組合【座】で助け合って仕事してたってやつ?」


音愛(おとあ)は文系だからそっち詳しいよな。俺は全然ダメ。」


「うふふ。でも夢になんか見ないよね。ここから富士山でも見えれば良いけど…。」


「まぁ流石にここから富士山は見れないでしょ。…でもこの景色はほんと不思議だよな。」


「うん。何でこんな見え方するんだろ?」


「スネルの窓って知ってる?」


「ううん。初めて聞いた。」


「何かね。小学校の時に水槽の中の金魚を見てた時に不思議だなーって思ってた時に調べたらスネルの窓って言葉が出てきてね。」


「うんうん。」


「水の中から空気のある方向を見た時に、水面にぽっかり丸い円ができるんだよ。」


「あ~。なるほどなるほど。」


「水中から空気中を見ると48.75°以上の入射角になると全反射するだろ?」


「うー…。中学でやった気がするけど何となくしか分かんない!」


「あはは。でも経験で分かるじゃん。目から48.75°の倍の97.5°の角度だけ水上が見えてぽっかり円が開くんだよ。」


「とりあえず考えるな、感じろってこと?」


「あっはっは!そうだな。んで、その97°の外側に関しては全反射して水中の光景が映し出されるんだよ。」


「うーん。難しいな~」


「でそのスネルの窓。97.5°はその端側に行く程に徐々に暗くなっていくんだよ。」


「ん?何で暗くなるの?」


「そのスネルの窓には、空気中の景色が180°全部見えるんだよ。」


「え!?97.5°の円なのに180°全部が見えるの?」


「そうそう。それが屈折だな。端の方に行くほど反射が増えて水中に行く光が減るけど、一応180°全部見えるらしい。」


「そうなんだ。じゃもしかして陸上にいるより水中にいる時の方が視界って広いの??」


「あー、、かもね。地上だと200°くらいだろうけど水中だと反射を含めて270°くらいは見えるんじゃないかな?」


「そっか~。魚釣りの時に魚の視界に入らないようにって言うのって魚からは人が見えてるってことか~。」


「みたいだな。だから波が立ってる時の方が釣果が良いっぽいし。」


「波があると魚から見えないからってこと?」


「そうそう。まぁ理由はその一つじゃないらしいけどね。」


「へー。屈折と言えば、、そういえば中学の卒業文集!水泳部の写真があってね。」


「ふむふむ。」


「男女一緒に水着で写真に写ってるんだけど、何人かはプールの中に入ってるの。」


「あ~…。たぶん判った。」


「うふふ。女子は恥ずかしいからか、体型を隠したいからかな?プールの中にいるんだけど、屈折してて体と脚が凄い短くなってるの。」


「あれって、顧問とか写真の撮影者が教えてあげないのかな?そうでなくても、水泳を長くやってるならNGだって知ってそうだけど…」


「女心は複雑だって事よ。」


「え~。絶対うっかりだって~。」


「そうかな~?…でもさ、その光の屈折のおかげで空に虹がかかるんだよね?」


「確かに!雨の粒に入った太陽光が屈折と反射をして俺達には虹に見えたはず。色によって屈折率が少しずつ違うからグラデーションになるんだよな。」


「そうなんだ!なんか国によっては6色だとか、8色だとかに見えてるとか言うよね。なんか4色に見えてる国もあったはずよ。」


「4色は酷いよな。闘牛の赤色は牛って認識してないみたいな話か。」


「牛って赤、見えてないんだ?」


「そうみたい。動きに釣られてるだけなんだって。逆に鳥は紫外線とか赤外線も視えてるらしいね。」


「人間だってカメラとか使えば視えるよ!」


「ま。もちろん肉眼の話ね。」


「うふふ。」


「あーあ。俺も音愛(おとあ)を見たいなー。」


「そうだね。私も(あらし)のことを見たいよ。こんなに視野も広くて、こんなに近くにいるのにね。」


「まぁ誰かに発見してもらうしかないのかな。」





………



…ぶくぶくぶく…


…コポコポコポ…



『いたぞ!きっとあの2人だ!』


『よし!このまま救出するぞ!』


25年前。付き合っていた高校生カップルが休日に遊びに出掛けたまま2人とも行方不明となる事件が発生した。両家族から行方不明届が出され、事件性の高さから警察が捜索を行ったが手がかりは得られず。そのままこの失踪事件は迷宮入りするかと思われた。



しかし事態は2025年に急転する。とある酒場で初対面の老人と中年の言い争いがエスカレートし、老人が中年をサバイバルナイフで刺す事件が発生する。通報され老人は逮捕。凶器が凶器なだけに警察がその老人宅を捜索したところ、その老人が過去に何人も人を殺していることが判明。それらはスクラップノートに証拠としてまとめられ、被害者は10人以上にも及んでいた。その中に25年前に若い男女を殺して湖に捨てたという証拠が見つかり警察の捜索の結果、2人の白骨死体が湖に沈められていた。




音愛(おとあ)。ようやく会えたね。」

「うん、(あらし)。久しぶり!」


スネルの窓は画像検索にかけていただけると一発です

文章での説明は酷いものです…失礼しました…


赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)の虹の7色

英語ではROYG.BIV(ロイジービブ)【Red Orange Yellow Green Blue Indigo Violet】

という語呂合わせがあるようです


登場人物2人の名前の由来も語呂で

赤外線側から→あおきりあらし

紫外線側から→しらせりおとあ


赤と青

ひらがなだと「あ」

漢字音読みだと「せ」

かぶって困りました

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― 新着の感想 ―
〉令和 ポカでしたか。 湖の底で動けずその場の視界オンリーが情報源だと、どう理屈をこねても令和を知ることは無理か。 なんなら修正して、この2回目のコメントも含めて削除してもらっても構わないので、ご自由…
25年も愛しい恋人と会話できていたことを祝福すべきか、悩んで逃避をしたくなる悲劇だな…。 ところで、2000年に亡くなった彼らが「令和」を知っているってことは…。 令和の被害者が近くに沈んでます……
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