嵐の前に
オーシャン家に到着した。
そこには父さん、母さん、ナーヴァさん、ライアスのお父さん、孤児院の院長が待っていた。
アクナ「カルーバさん、久しぶりだね!」
アクナは孤児院の出身であったため、院長のカルーバさんが来たのだろう。
ライアスの父さんは久しく会っていなかった。
見た目は父親譲りだろうか。優しそうな人…
ライアスは7人兄弟だが父親が違うらしい。
ライアス、2人の妹、3人の妹弟、1人の弟と、
4人の異父兄弟だ。
この世界では一妻多夫制が導入されており
オーシャン家というのはナーヴァさんの家系の名だ。
より良い子孫を残すための制度だという。
もちろん魔力も女性の方が多く待ち合わせている事が一般的で
戦闘においても女性が軍隊長を務めることが多い。
俺の母さんは出産の時に子宮を失っているため、兄弟が今後出来る事はない。
ナーヴァ「それでは卒業祝いと入団の宴を始めましょう」
大広間には豪華な食事やお酒が並んでいた。
楽しく食事と会話を楽しんで行った。
宴会も進んで行く中でライアスとナーヴァさんの雰囲気があまり良くない事に気がついた。
少し気になったが、聞かないでおこう。
アクアは院長と母さんと楽しそうに話していて
父さんとライアスのお父さんもお酒が進んでいるようだった。
この2人は同じ軍に所属しているらしい。
昔話で盛り上がっていた。
ナーヴァ「エナ、ちょっといいかしら」
ナーヴァさんに外に呼び出された。
そして真っ白な白髪の少年を紹介された。
ナーヴァ「エナ、こちらはルーク・ラガー。私の護衛。
年齢はあなたと同じ。特殊な子でね、もう戦争の経験者でもあるの。ルーク、こちらがエナよ」
ルーク「エナ…あの噂の」
「?噂の?…あ、初めまして。エナです」
握手をしようと右手を差し出したが、応えてはくれなかった。
ルーク「ルーク・ラガーだ」
そういって背を向けられた。
ナーヴァさん曰く、ラガー家は昔からオーシャン家に仕えているらしい。
それにしても白髪…
たしか歴史上だと迫害を受けていたような……
あとでライアスに聞いてみよう。
挨拶も終え、部屋に戻ろうとした時
ナーヴァさんに声をかけられた。
ナーヴァ「ルークはこれからエナの護衛につかせるから、仲良くしてね」
そういうナーヴァさんが少し怖いような、頼もしいような
そんな気持ちになった。
部屋に戻りライアスにさっきの出来事を話した。
ライアス「ルークがエナの護衛に?うーん…そっか!良かったね!」
納得がいってないような表情をしていた。
それもそうだ。
オーシャン家の護衛を代々してきたラガー一族が
ライアスではなく、俺の護衛に回るのだから。
俺も不思議な気持ちでいっぱいだった。
そしてライアスとライアスのお父さん、父さんの4人で
戦争について熱く語った。
ライアスのお父さんが
ライアス父「そういえば、エナは開眼していないが魔術は使えるのか?」
「あぁ、使えるよ!水術を少しだけだけど」
父「そうか、お前も立派になったな」
ライアス「エナは魔術だけではなく、武力も高いです。凄いですよ!」
褒められて嬉しかった。
もうすぐで梅雨の時間…そして戦争の始まりの時期となる。
今夜は目一杯、楽しもう。