卒業
謹慎期間も終えたが、変わらずオーシャン家で魔術を学ぶ日々。
目は変わらず真っ黒のままだが、なぜか簡易的な魔術は使えるようになっていた。
俺が使えるのは水属性の魔術…
父さんも母さんも水属性だから当然だろう。
属性は遺伝で決まるらしい。
そして属性の中でもまたランクが決まっていて
そのランクによって配属される軍が変わるのだと。
そして卒業試験の日…
なぜか学校ではなくオーシャン家に試験官、学長、ナーヴァさんが集まり魔術を披露した。
そしてナーヴァさんから
「エナは我が軍の配下に置く」と告げられた。
試験官や学長は俯いたまま、何も言わなかった。
ナーヴァさんの軍は国内トップレベルの軍で
その中でも軍隊長のナーヴァさんの権限は大きい。
こんなに偉い人だったのだ、と痛感したが
同時にこんな名誉ある軍に入れて嬉しい気持ちでいっぱいだった。
レイトー軍…
氷魔術が主流の軍で総員数が1万程。
戦場では最前線に置かれる部隊で、国内が平和なのはレイトー軍の活躍が大きい。
そして国内でも研究や開発を行う、知力の才もあるエリート軍団だ。
学校でも上位者しか入団出来ず、誰もが憧れる軍団…
卒業式を迎え、久しぶりに学校に行った。
久しぶりにライアスと会った。
ライアス「エナ、体はもう大丈夫なの?」
心配そうな表情を浮かべるライアスの隣で
なぜかアクナがニコニコしていた。
「列に並べー!!!」と教官が叫ぶ。
卒業式…
この頃には全員が開眼しており、黒い目の俺はとても目立っていた。
皆が静まり返る中
「これより、配属される軍と名前を呼ぶ!言われた者は前へ!」
と、次々呼ばれていっていた。
「最後にレイトー軍!ライアス・オーシャン、アクナ、メロウ、ダン・ロイズ、フォート・ニュー、エナ、以上6名とする」
会場が一気にざわめき始めた。
ライアスはオーシャン家だし、アクナはとてつもない魔術が使える、メロウはあまりよく分からないが実力者なのだろう…
ダンは…ロイズ?ロイズ家なのか?
フォートはクラスで唯一のオッドアイの持ち主だ。おそらく水と氷が使えるのだろう…
騒ぎの原因は…俺か。
罵声が飛び交う中、モーバンがまた俺の胸ぐらを掴んだ。
落ちこぼれだの、開眼してないだの、ライアスのコネをつかっただの散々の言われようだった。
まあナーヴァさんに言われていなければ
俺は軍にも入れず、一般人としての未来が待っていただろう。
しまいには
モーバン「ライアスもだ!お前はオーシャン家で産まれたからって調子に乗りやがって!!」
とライアスにも殴り掛かろうとしていた時
モーバンの動きが急に止まった。
ダン「実力が全てだ!エナはお前たちより優秀だったって事だろう!文句がある奴は俺が相手してやる」
そう言って右手を前に差し出す。
会場に吹雪が吹き始めようとした瞬間
ライアスがダンを止めた。
ライアス「君はこんな所で違反をしたらダメだよ!」
ダンは右手を下げ、魔術を抑えた。
少し騒動もあったが卒業式が終わり、ダンにさっきの事を謝った。
「前の喧嘩の時も、止めてくれてありがとうな」
ダンは振り向きもせず
「俺は……あ、いや。気にするな」
と言い残し去っていった。
アクナ「今日はオーシャン家でエナの家族も皆でお祝いするんだって!」
ライアスとアクナ、3人でオーシャン家に行く事になった。