第4話 王都の危機
第1部全16章38,000文字となっています。評価していただければ続き書きます。ダメそうなら新作頑張って作ります!
「王都が、危ない……?」
ギルドの訓練から戻った夜、突然ギルドマスターが現れて、そう告げたのだ。いつもは落ち着いている彼の表情に、緊張感が走っているのが一目でわかった。
「どういうこと? 詳しく教えてください!」
私は思わずギルドマスターの前に詰め寄った。不思議とこの街を守らなければならないという気持ちが溢れた。もうここが大切な居場所だと感じているからかもしれない。
「近隣の村が次々と襲われている。どうやら魔物の大群がここを目指して動き始めているらしい」
「魔物……大群⁉」
エドガーやレオンもその場にいたが、ギルドマスターの言葉に表情が険しくなっていた。王都の守りは堅固だと聞いていたけど、魔物の大群ともなれば話は別だ。これまでの戦いとは違う、より大きな脅威が迫っているらしい。
「報告によれば、ただの魔物の大群ではないという話だ。何かしらの強力な魔物に率いられている可能性が高い。これほど大規模な動きは前例がない」
私は寒気がした。これまでの訓練とは次元の違う戦いが、すぐそこに迫っている。私はまだ未来視の力を十分に使いこなせていない。なのに、こんな状況で私は役に立てるのだろうか。
「アイリス、大丈夫だ」
エドガーの冷静な声が、私の不安な心を落ち着ける。彼は、私を見つめるその深い眼差しで、私の不安をすべて見透かしているようだ。
「状況は深刻だが、まだ手立てはある。まずは王国騎士団や冒険者たちで防衛体制を整える。そして、お前はお前の力を信じろ。これまでの訓練を無駄にするな」
そう言われても、内心は不安でいっぱいだった。力を信じる……そのためにここまで訓練してきたけど、実際に大規模な戦いとなれば、どう動いていいのか分からない。
――――――――――
次の日、王都全体が緊張感に包まれた。
エドガーやルーカス、レオンと一緒に、街の様子を見に出た。街道はいつもの賑やかさとは違い、どこか沈んだ空気が漂っている。露店の店主たちも忙しそうに荷物を片付け、町の外れでは王国騎士団が慌ただしく武器を手にして準備を進めていた。
「アイリス、心配しなくても、俺たちがいるさ」ルーカスが冗談めかして肩を軽く叩いてくれた。
「そうだ、私たちがいるから大丈夫だ。何が来ようともな!」レオンが大きく笑ってそう言った。こんなときでも笑顔を見せるレオンに、少しだけ心が救われた気がした。
でも、私は何かが引っかかっていた。魔物が大群を形成しているという話が気にかかる。今までギルドで聞いた話だと、魔物は一般的に群れを作らず、何かに引き寄せられることはあまりないとされている。それなのに、今回だけはなぜかまとまって行動している。それが何か大きな「意図」によるものだとしたら……。
私は未来視に挑戦することを決意した。
今の私にできることは、未来を見て、何が起こるのかを正確に把握することだ。それができれば、どんなに厳しい状況でも対策を立てられるかもしれない。自室に戻り、ベッドに横たわり、深呼吸を繰り返す。心をできるだけ落ち着けて集中しようとする。
(何か見えるはず……見えなきゃ、王都が……)
その瞬間、視界がぼんやりと揺れた。ぼやけた未来が一瞬、脳裏に浮かび上がる。まるで霧がかかったようにぼやけていたが、次第にはっきりとしてくる。
そこに映っていたのは――黒い霧に包まれた王都と、巨大な魔物。街は崩壊し、燃え上がり、魔物たちが街中を蹂躙していた。そして、その中心に立っていたのは、黒いローブをまとった謎の人物。
「なに……これ……」
私は急いでベッドから飛び起きる。額に汗が滲んでいるのを感じた。あの黒い霧とローブの人物……ただの魔物の襲撃ではない。もっと大きな何かが背後にある。
――――――――――
私はすぐにギルドで皆にその未来を話した。
「黒い霧……か。王都全体が覆われているなんて……」エドガーが険しい表情を浮かべ、腕を組んだ。
「それだけじゃない。その中心に、何か……黒いローブをまとった人物が、魔物たちを操っているように見えた」
「つまり、ただの魔物の暴走じゃなくて、何者かが背後にいるってことか」レオンが腕を組み、深く考え込む。
「それなら、そいつをどうにかすれば大群も止まるんじゃないか?」ルーカスが指を鳴らしながら軽い調子で言う。
確かに、未来視で見えたあの黒いローブの人物がすべての鍵を握っているように感じた。でも、どうやってその存在を探し出すかが問題だ。
作戦会議が始まった。
王都の防衛体制を整えつつ、魔物の大群がどこからやって来るのかを見極める必要がある。さらに、私たちはその黒いローブの人物を探し出し、どうにかして魔物の指揮を止めなければならない。
「ギルドの連中と王国騎士団が防衛線を築く。それまでに、お前たちは黒い霧やその謎の人物を探し出し、何とかその計画を止めてくれ」
ギルドマスターの命令に従い、私たちはすぐに行動を開始した。
夜が明ける頃、ついに敵が動き始めた。
遠くから地響きのような音が聞こえ、地平線に黒い影が見え始める。王都の城壁の上に立つと、その向こうに広がる光景は……魔物の大群だった。霧のような黒い影が町に近づくにつれ、周囲の空気がどんどん冷たくなっていくのを感じた。
「……嘘、でしょ……?」
私の声は震えていた。目の前に広がる光景は、まさに未来視で見たものそのままだった。地平線の向こうまで続く黒い影が、こちらにじわじわと迫ってくる。魔物たちは、まるで一つの巨大な生物のように蠢きながら、街に近づいていた。
「いよいよだな」と、エドガーが剣を握りしめながら呟く。
「ここからが本番だ」レオンもまた、盾を構えている。
私もギルドメンバーと共に、未来視の力を使って戦況を探る準備をしていた。この戦いで、何としてでも王都を守らなければならない。
「アイリス、今は君の力が必要だ。未来を見て、俺たちがどう動けばいいか指示してくれ」
エドガーの真剣な眼差しを受けて、私は再び目を閉じた。私にできること――それは未来を見て、仲間たちを正しい道へと導くこと。心の中でその決意を固め、ゆっくりと集中する。
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