表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

第16話 未来への一歩

今回で第1部は終わりです。案はあるので、人気が出れば続きを書きます。これまで読んでいただきありがとうございました。

 私たちは祭壇にある、次元の裂け目を生み出す魔法陣を壊すために動き出す。

 ルーカスとレオンが協力して、巨大な魔法陣を作り上げ、私はその中心に立って魔力を注ぎ始めた。


「これで次元の裂け目を閉じることができる」


 手が震える。だけど、その時、エドガーが私の手を握る。その手は温かく、強く、私の不安を静かに取り除いていく。


「大丈夫だ。自分を、俺たちを信じろ」


 彼の声に、私の心は揺れ動いた。エドガーの言葉が、どれだけ私を支えているか。彼の存在が、どれほど私にとって大きなものになっているのか。


「ありがとう、エドガー……」


 思わず、彼にそう告げた。彼は微笑み、私の手を握り返した。その瞬間、胸が熱くなる。今なら、できる気がする。彼がそばにいてくれる限り、私は負けない。


 魔力が流れ込み、魔法陣が輝きを放ち始める。私は必死に魔力を注ぎ込み、次元の裂け目が閉じるように祈る。


「俺の力も使え!」


 エドガーが力強く言いながら、自らの魔力を私に送り込んでくる。そして、私たちの魔力が一つになると、次元の裂け目の魔法陣はしずかに消えていった。


「魔力の反応はもうないよ! 魔法陣は完全に消えた!」


 ルーカスが嬉しそうに言うと、空にあった次元の裂け目が徐々に閉じていく。

 しばらくすると裂け目は完全に閉じて、空に明るさが戻る。私たちの長い戦いが終わりを迎えたのだと実感した。


「やった……」


 私はその場にへたり込みそうになった。体は限界だったけど、裂け目が消えたことにほっと息をつく。これで王都は、世界は救われた。私はやっと、この長い戦いに終止符を打ったのだ。


 エドガーが私の肩を優しく支えてくれる。「やったな、アイリス。君の力がなければ、全てが終わっていた。君は本当に聖女だ」


 彼の声に、私は微笑んで頷いた。



 遺跡の冷たい空気の中、戦いが終わった静寂が、まるで世界を新たに生まれ変わらせたように感じられた。影との決着がついた今、私の心も軽く、未来視の力が戻ってきたのを感じた。

 すると、私の視界がぼやけ、未来の光景が鮮明に現れた。


「未来が……見える!」


 静かな草原で手を取り合う私とエドガー。彼が私を優しく抱きしめ、耳元で囁く「君と一緒に歩んでいきたい」という声。彼との穏やかで温かい未来――それは、私がずっと心のどこかで願っていたものだった。


「アイリス……?」


 エドガーが心配そうに私を見つめている。彼の手は、まだ私の手を包んだままだ。未来視で見たその光景が、心の中で大きくなり、言葉が自然と口からこぼれた。


「エドガー、私もあなたと一緒に未来へ歩んでいきたい」


 彼の瞳が一瞬驚きに見開かれ、次に柔らかな笑みが浮かんだ。


「君がそんな風に思ってくれていたなんて……」


 彼の声には、嬉しさと安堵が混じっていた。私の心があたたかいもので満たされ、彼の手をしっかりと握り返す。


「これからも、君と一緒にいたい、ずっと……」


 そう言うと、彼はしっかりと私を抱きしめてくれた。私はその胸の中で、未来視で見たその光景が現実のものになっていくのを感じた。



「取り込み中のところ悪いが、アイリス、もう一度その力でこの国の未来を見てほしい」レオンが少し申し訳なさそうに声をかけてきた。

 影との戦いが終わり、これからの世界がどうなるのか、私たち全員にとって気になる瞬間だった。


 私は頷き、集中して再び未来を見た。未来視は私に、明るい光を見せた。国の繁栄、平和な時代――そして、聖女の役割を果たしながら、エドガーと共に未来を築いていく私自身の姿が浮かび上がる。


「平和が……戻ってくるわ。この国は明るい未来に向かって進んでいける」


 仲間たちの顔に笑顔が広がった。これまでの戦いが報われ、私たちの頑張りが国を救ったのだという安堵が広がっていた。


 ――――――――――


 その夜、私たちは戦いの疲れを癒すため、静かな場所にキャンプを張った。夜空には星が瞬き、心地よい風がそっと吹き抜ける。私はエドガーの隣に座り、星空を見上げた。


「これから、私たちの未来はどうなるんだろう?」私は彼に問いかけた。


 彼は私を見つめ、少しだけ考え込んだあと、笑みを浮かべて言った。


「未来視で見たんだろ? でも、俺はどんな未来でも君と一緒にいたい。それだけは、確かだ」


 その言葉に、私の心が大きく動かされた。彼のまっすぐな言葉が、私の胸に深く響く。どんな未来になろうと、彼が私のそばにいるなら、怖くないと感じた。


「うん、私も同じ、エドガー……」


 そう答えると、エドガーはゆっくりと手を伸ばし、私の頬に触れた。彼の手の温かさが、私の心をさらに柔らかく包み込んだ。


「アイリス……君とならどんな未来でも乗り越えられる」


 その言葉と共に、彼の顔がゆっくりと近づき、私たちは自然と唇を重ねた。心臓が早鐘のように高鳴り、彼の温もりがすべてを癒してくれるように感じた。


 ――――――――――


 未来視で見た通り、エドガーと私は共に新たな未来を歩んでいく。彼と一緒に笑い合い、支え合いながら歩む日々――それがこれからの私たちの物語だ。


「一緒に、新しい未来を創っていこう、エドガー」

「もちろんだよ、アイリス。君となら、どんな未来だって楽しみだ」


 彼の言葉に、私は強く頷いた。未来視の力が戻り、私はこの世界で新たな平和を築く手助けをする。そして、何よりも大切なのは――私が愛する人たちと、笑顔で過ごす未来だということだ。


 影との戦いが終わり、平和が訪れた。私は聖女として、今度はエドガーと共に、真実の愛と希望を胸に、これからの未来を切り開いていく。

読んでいただきありがとうございます!


今回の話、面白いと感じたら、下の☆☆☆☆☆の評価、ブックマークや作者のフォローにて応援していただけると励みになります。


今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ