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第13話 闇の魔神

第1部全16章38,000文字となっています。評価していただければ続き書きます。ダメそうなら新作頑張って作ります!

「こんなものが、まだ隠されていたなんて……!」


 巨大な魔神が咆哮し、大地が揺れた。目の前にそびえ立つその姿は、圧倒的で、ただ見ているだけで心が折れそうになる。けれど、逃げるわけにはいかない。この魔神を倒さなければ、王都はもちろん、世界そのものが危機に晒されるだろう。


「アイリス、どうする?」ルーカスが、魔法を構えながら私に尋ねる。


「私たちの力だけで、あれを倒す……」


 不安と焦りが交錯し、頭が真っ白になりそうだった。でも、エドガーの声が私を現実に引き戻す。


「君ならできる。俺たちがいる。だから、絶対に諦めるな」


 その力強い声が胸に響き、私の不安を払拭してくれた。エドガーがいる。ルーカスもレオンもいる。どんなに大きな敵でも、私たちなら……!


「ありがとう、エドガー。私たちでこの魔神を止める!」


 魔神が巨大な手を振り下ろすと、地面が砕け、衝撃波が広がる。エドガーが素早く前に出て、その攻撃を受け流す。ルーカスは遠距離から魔法を放ち、雷の光が空中を駆け巡る。レオンは左右から猛然と攻撃を仕掛け、魔神の動きを封じようとしていた。


 魔神の動きが一瞬止まったその瞬間、エドガーが叫ぶ。「アイリス、今がチャンスだ!」


 私は魔法の詠唱を始め、魔神を攻撃する。生まれた隙をつき、今ある知識を総動員して魔神の体を分析する。これまで見てきた古代の封印術に関する知識が役に立つかもしれない。


(あれだ……! 魔神の胸部にある核心が、魔力の源!)


「魔神の胸に魔力が集中してる! そこを狙って!」


「分かった!」エドガーが力強く頷き、剣を構えて突進する。


 エドガーが魔神の胸に狙いを定めた瞬間――。


 魔神は咆哮を上げ、その巨大な腕を振り回した。エドガーはかわそうとするが、予想以上に速い攻撃に捉えられ、体が吹き飛ばされる。


「エドガー!」


 私は叫び、急いで回復魔法をかける。しかし、その瞬間、魔神の次の攻撃が私に迫ってきた。


「くっ……!」私は必死に盾の魔法を展開するが、衝撃が強すぎて吹き飛ばされる。地面に叩きつけられ、息が一瞬止まった。


(くぅっ……! ここで倒れるわけにはいかない……!)


 私は必死に立ち上がろうとした。体中が痛むけれど、ここで諦めるわけにはいかない。エドガーが倒れてしまった今、私が何とかしなければ――。


「アイリスは俺が守る……」


 声が聞こえた。エドガーが、血を流しながらも再び立ち上がり、剣を構えている。その姿を見て再び力が湧いてきた。彼が私を信じてくれている。だから、私もどんなに苦しくても立ち上がる。


 私は再び魔力を集中させ、魔神に向かう。心の中でエドガーの声が響き続け、私を奮い立たせた。


 エドガーが再び魔神の攻撃を引きつけ、ルーカスとレオンが連携して魔神の動きを封じる。そして、その隙に私は魔法を放った。


「これで決めるっ……!」


 魔法が魔神の胸を直撃し、核心に到達する。魔神の体が大きく揺れ、咆哮を上げた後、その体が崩れ落ち始めた。


「やった……!」


 魔神の体は霧となり、やがて完全に消え去った。その瞬間、私の中で緊張がほどけ、ようやく戦いが終わったという安堵が押し寄せた。


 だが、その時――。


「ふふふ……よくやったな、聖女よ」


 再び黒ローブが現れた。その冷たい声に、戦いの疲れが一気に吹き飛ぶ。


「まだ終わっていない。これが、真の始まりだ」


 彼はそう言って、空に手をかざすと、天がさらに裂けるような音がした。異空間が再び広がり闇が溢れてくる。


 まるで世界が崩れ落ちていくように感じた。


「まさか……あなたの目的は、世界そのものの破壊……?」


「その通りだ。楽しみにしているといい。この世界が崩壊する瞬間を」


 黒ローブは不気味に笑いながら消え去った。


 私たちはしばらく、動くことができなかった。


 魔神は倒したが、次なる脅威がすぐに迫っていることに気づかされ、絶望感が広がる。エドガーが私の肩に手を置き、静かに言った。


「アイリス、君はよくやった。俺たちが力を合わせれば次の危機も必ず乗り越えられる」


 その言葉に、再び心が震えた。彼の存在が、私にとってどれほど大きなものになっているのかを、今さらながらに実感する。彼の支えがなければ、私はもう立ち上がれなかったかもしれない。


「ありがとう、エドガー。私たちで、この世界を守り抜こう」


 私は力強く頷き、次の戦いに向けて心を固めた。何があっても、エドガーや仲間たちと共に乗り越えていく。それが、私の未来だと信じているから。

読んでいただきありがとうございます!


今回の話、面白いと感じたら、下の☆☆☆☆☆の評価、ブックマークや作者のフォローにて応援していただけると励みになります。


今後ともよろしくお願いします。

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