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仮想と現実

〈〉ミカエル

〔〕ルシフェル

{}アイ AI大賢者


三人が混在する十三の精神内や外で成される会話を分けています。逆に読みにくいかな⋯⋯

「ついに届いたー!! フルダイブデバイス・ニューロギア【ドリームダイバー】!!」


 ルシフェルのイベント攻略の先着順特典、DREeM社の仮想空間フルダイブ型デバイスが十三(じゅうぞう)の元に届いたのだ、それを崇める様に持ち上げ声を上げていた。


「ルシフェル、ミカエル、まずは俺がダイブしてアカウントやら全部同期させてテストするからお前らは明日の夜な」

〔ふざけんなー! 横暴だー! 悪魔ー! 今すぐやらせろー!〕

〈目の前にして1日待つの!? 拷問だー⋯⋯〉

「悪魔って⋯⋯お前魔王だろ⋯⋯

 とにかくしょーがないだろ、アカウントや身体情報とかちゃんと登録しないとお前らも遊べないんだぞ」

〔ぐっ⋯⋯〕

〈それは⋯⋯困るね〉


 渋々2人が納得して大人しくなったところで十三は設定を始め、初めてのフルダイブ体験に没頭し無休で翌日まで堪能するのだった。




† † † † † † † † † † † † †



「ふぅ⋯⋯これは⋯⋯ヤバイ!!」


 ログアウトし、現実世界へと戻ってきた十三はドリームダイバーを外す。

 そしてそのショッキングな体験に興奮を隠せなかった。


〈ヤバイ!? 何がどうだったんだ十三君!!〉

〔早くやらせろコラー!!〕

「これは⋯⋯」

〈ゴクリ⋯⋯〉

〔もったいぶんなー! 悪魔野郎ー!〕

「だからお前は魔王⋯⋯もういいや⋯⋯

 それよりもこのドリームダイバー凄いぞ! なんというか⋯⋯上手く言葉に出来ないなこれは⋯⋯とりあえず自分で体験してきてくれ」

〔よっしゃー! 早く主導権よこせ!〕

〈今度は僕が先だよ!〉

〔バカ言ってんじゃねー! 誰が無料でこれ貰ってきたと思ってんだ!〕

〈う⋯⋯〉

〔分かったら黙ってろ!〕

〈ググ⋯⋯何も言えない〉

「タイマー機能ついてるから時間が来たら自動でログアウトされるからな、あとちゃんとチュートリアル受けないとまともに遊べないから必ずやれよ」

〔分かってるっつーの、んじゃ早く心層に落ちろクズ共〕

「ひでー⋯⋯」


 十三とミカエルは意識を心層へと落とすとルシフェルはすぐにドリームダイバーをつけた横になりログインした。


 目を開けるとルシフェルは宇宙空間を漂っていた。周りを見渡すと正面に地球、後ろに月が浮かび横から太陽光が照りつけている。


「星の外か? 身体が上手く動かねー⋯⋯」


 宇宙空間でジタバタしていると目の前に水の球が浮かび上がってきた。


「なんだこりゃ?」


 ジタバタしながら触れるとそこから波紋が生まれ小さな湖が現れ、1つの光の球が浮かび上がる。


「ようこそルーシェ様、新生パンゲア創世記オンラインへ、ここは新たな歴史が始まる場所【真理の源泉】です。

 初回チュートリアルを開始しますか?」

「あぁ、じゃねーと面倒臭い事になんだろ?」

「既存のVRゲームとはかけ離れた世界ですので最優先で推奨されています」

「早く始めろ」

「分かりました、チュートリアルを開始します、私に手をかざして目をつむって下さい」


 言われた通りにすると身体の浮遊感が消えた。

 目を開けるとそこはVRゴーグルで初心者チュートリアルをした場所だった。

 同じ景色、しかしすべての感覚が以前と違いそこに存在していることを知らせてくる。

「ほう、これは中々」


 手足や首、色々な箇所を動かしてみるがほとんど現実と違和感がない。


「これから基本操作、戦闘、スキル、魔法など必要最低限のチュートリアルを順に行いますので支持に従いクリアしていって下さい、終われば最初の街の噴水広場へと転送されます」

「早く始めろ」

「分かりました、ではチュートリアルを開始します」


 そこから約1時間かけてのチュートリアルが終了し、ルシフェルは噴水広場へと転送された。


「ゴミみてーな人間共も大したもん作るじゃねーか、ちょっとワクワクしてきちまった」


 その時、音声チャットのアイコンが効果音と共に目の端で明滅した。


「何だ?」

「ルーシェ! 待ってたよー!

 もう待ちきれなくてさー、丸一日寝ないで遊んでるよ!」

「暇人が」

「お互い様じゃない?」

「うるせーよ」

「あははは、で、どうフルダイブは?」

「予想以上だな、幻術的な物くらいに考えてたがここまでの物とは思ってなかった」

「凄いよね、僕もう興奮しっぱなしで血圧かヤバイよ死にそう。

 ねぇ、ルーシェはこれからどうするの? 僕は【仙人の霞】のスキル獲得を目指すんだけど」

「あー、面倒だけどしないといけねーんだったな」

「共同クエストでレアアイテム狙いながらやらない?」

「レア⋯⋯しかたねーな」

「相変わらずレアの単語に恐ろしく弱いねルーシェ⋯⋯」

「うるせー」


 2人は身体操作や戦闘に慣れる為にも優し目のエリアで共同クエストを開始した。


「戦闘慣れるっつっても俺はインベントリから物飛ばすだけだから大した事しねーんだよな」

「それを言ったら僕だって召喚士だから自身はあんまり激しく戦闘に入るタイプじゃないよ」

「呼吸法先にやるか」

「習得には時間がかかるって言ってたしねー、かなり難しそう」


 ルシフェルはインベントリから【仙人の霞】を取り出し、顔の前に両手で持ってきた。

 大きく息を吐くと、ヒュオッ! と呼吸音をたてて霞を吸い込んだ。


「ちょ⋯⋯は?⋯⋯えぇー!!!?」


 普通に1発で吸い込んだルシフェルを見てミストラルは驚愕に目を見開いた。


「やっぱり⋯⋯この呼吸法だったか、魔法を知る奴が絡んでるのが確定したな」

「ちょ! ルーシェ!! 1発成功とか意味分かんないんだけど!? この1日頑張ったのに僕のはビクともしなかったんだよ!!」

「あ⋯⋯お前居たんだったな、忘れてやっちまったじゃねーか」

「ヒドイ! 居たよずっと横に! さっきまで会話してたじゃん!! どうやったら存在忘れられるの!?」


 ルシフェルの目の前にスキル【仙人の呼吸】獲得の表示パネルが現れ、続いて【仙人の資質】が開花した事が記された。

 クリックすると詳細情報が別ウィンドウで開かれた。


【仙人の呼吸】Lv1

 通常の呼吸よりも大量の酸素をコンパクトに瞬時に取り込み、体内のミトコンドリアを覚醒させ大量のエネルギーを生み出す呼吸法。

 熟練度によりその効果持続時間が大幅にに伸びていく。


【仙人の資質】Lv1

 丹田が覚醒し身体にある気孔が開くようになる。

 熟練度によりオーラによる様々なスキル恩恵を受け扱う事が可能になる。


【賢者の資質】Lv1

 呼吸法で体内に覚醒した魔臓器へと魔素を取り込み循環させ効果的に魔法を扱う事が可能になる。

 熟練度によりその量、質、操作などが向上してゆく。


「未知のスキルを1発で⋯⋯君いったい何者なの? ゲームの運営側とかじゃないよね?」

「何言ってんだ?」

「ごめん詮索はNGだよね、で、スキルとれた? 効果とかどうなってるの?」


 ルシフェルは3つの獲得したスキルを教えるとミストラルは疑問を呈してきた。


「あれ? 魔法職があって魔法使えるのに今更魔法の基礎資質スキル的なのは何なんだろ?」

「さあな」


 ルシフェルははぐらかして答えるも既にそのスキルの意図はほぼ見えていた。


(魔臓器に魔素ときたか⋯⋯確定だな。

 第1の星の軌跡を利用した魔法で月の魔石化による地球の魔素環境の構築、第2の魔法での魔臓器の強制覚醒、そして仮想世界の世界観と精神フルダイブを利用した現実世界と共有される呼吸法、さらに【資質スキル】でのオーラと魔法の習得ガイド⋯⋯

 完全に昔の時代を今に再現させる気だな、ただまだ分からないのはその目的⋯⋯

 長い年月、無限にも見えるおびただしい数の星が描く軌跡の演算とそれを絡めた魔法陣の構築と魔法知識、それを実行する魔素量。

 十中八九、俺とミカエルを十三に突っ込んだのはコイツだろうがそれも含めて全てが異常すぎて見当もつかねー⋯⋯一体何のメリットがあって計画を練って実行に移しやがったんだ⋯⋯

 何よりもイラつくのは⋯⋯

 俺を出し抜いて世界をめちゃくちゃにしようとしてるとこだ)


 ルシフェルは仮想世界の空を見上げて見えない黒幕を睨みつけていた。


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