AI大賢者の能力
誤字報告ありがとうございます。
気を付けてはいるもののまだチェックが甘いようです。
テンポの遅い拙い作品ですがユニーク1,700を越えました、ありがとうございます。
第二章 『世界廻転』 変わりゆく世界へ突入していきます。
月穂にとっても昆虫モンスターにとっても毎度悲劇となる地下二階。
「先ずは俺が体験するからその後に月穂に戦闘交代するよ、次は昆虫階層だから無理はしないでいいから」
「う⋯⋯虫⋯⋯分かった、アイ宜しくね」
「お任せ下さい、では新しい戦闘の感覚を掴んで下さい」
「よし、アイ! 目からビーム出したいんだけど出来るか?」
「可能です、光魔法の『殲光』を手ではなく目からの放射に魔法陣をカスタマイズします」
「キター! ついにビームを放つ時が! 見るだけで敵が蒸発していく脅威の攻撃! 見せてやる!」
「では発動直前まで魔法を展開しておきます、タイミングを見計らって唱えてくれれば代理で魔法を行使します」
「オッケー! 出てこい昆虫共ー! 焼き払ってくれる!」
「あはは、乗ってるね十三」
少し苦笑いで見守る月穂の視界にトラウマ対象の巨大ムカデがズルリと現れた。
「来たな! くらえ『殲光』!!」
目の前に魔法陣が瞬時に展開され目から眩い光線が迸った。
「ふははは、どうだ十三ビームの味は!?
って、あれ? 眩しくて目の前が何も見えない⋯⋯」
十三がキョロキョロとムカデを探そうと頭を降るたびにビームが振り回される。
「ちょっと十三! 危ないよ止めて!!」
一旦目を閉じてビームを終息させるとそこには焼け焦げて切断されたムカデと破壊され尽くした周囲の岩場が現れた。
「⋯⋯」
「ねぇ十三⋯⋯」
「思ってたのと⋯⋯違う⋯⋯
目の前眩しいだけで何も分からなかった⋯⋯」
「危ないからもう使わないでね⋯⋯」
「うぅ⋯⋯」
夢にまで見た目からビームは数秒で禁呪となった。
「次は私ね、虫嫌いだから一発で一掃したいなー」
「では月穂様の得意の水魔法で一気に洗い流しましょう、本来まだ月穂様が扱えない水魔法で処理はどうでしょうか?」
「いいね、じゃあ水圧で流し潰しちゃおう⋯⋯この地下二階全体を⋯⋯ふふふ」
「では私が地下二階のマップを展開して殲滅状況を表示します、魔法の情報はニューロリンクで渡しますので詠唱と魔法陣構築を行って下さい、その際の補助は随時行います。
月穂様の思考加速と代理演算の為にリンクの深度を少し上げます」
アイとのリンクが強まるのを感じるとその瞬間、世界が止まった。
正確には月穂の思考が加速し周囲が置き去りにされているのだ。
(うわ、凄い! 喋ったり動いたり出来ないけど頭の中だけがものすごくクリア)
(これが加速状態の体感世界です、ではこの階層を洗い流すのに必要な水の量、強さ、水流操作を代理で演算します。
情報を渡したら魔法陣に一緒に組み込みましょう。
その後、思考加速を解いたら魔法を発動させて下さい)
(うん、分かった)
その間、およそ0.1秒程。
傍から見ると一瞬で魔法陣が構築され、加速を解いた月穂が詠唱する構図になる。
「星を包む母なる水よ うねり渦巻き荒ぶり猛り 抗える者なき行軍を従え 穢れた大地を洗い流せ⋯⋯『御津瀑布』」
体から一気にとんでもない量の魔素が抜けていく感覚に膝をつきそうになる。
月穂の手の前に展開された魔法陣を中心に全てを押しつぶすような水圧の水が回転しながら放出されていく。
「ぐっ⋯⋯うぅ⋯⋯」
その反動と魔素量に押されていく背中を十三が支えた。
「大丈夫か!?」
「うん、ありがとう⋯⋯あと少し⋯⋯」
怒号を響かせながら放たれ続ける水流は約10秒後に収まった。
「一度にここまで魔素持って行かれたの初めてだよ⋯⋯」
月穂はガクンと膝を地面について息を荒げているが心身に異常はないようだ。
「一つの階層を飲み込んだんだろ? それぐらいにはなるだろ、立てるか?」
「まだちょっと無理、休憩させて」
「そういや水は最終地点どこまでいったんだ?」
「ボス部屋の前だよ」
「前回は月穂の鬼畜ぶりにボスが怯えて出てこなかったんだよな、今回もこれだと出てこないだろうな」
「人を鬼みたいに言わないでよ、だって巨大昆虫見たくないんだもん⋯⋯」
前回は月穂が範囲魔法等を連発しながら視界に入る前に殲滅しながら悪魔の行軍により、昆虫モンスター達にトラウマを植え付けたのだ。
「哀れ昆虫⋯⋯おっとそうだ、どうだった思考加速やら魔法補助は?」
「とんでもないよ、時間止まったかと思うような世界を見てきちゃった、魔法もアイの補助に任せたらどうとでもなっちゃう」
「やはりチート⋯⋯」
「でも頼るとこれからの戦闘で経験は積めないし、感や対処能力とか皆無になっちゃう。
自己研鑽は怠らずにどうにもならない本当のピンチ時に頼るくらいにしないと成長できなくなるよ」
「だよな、今まで通り自分で学んで経験積んでいかないと上にはいけないよな」
「仰る通り、常に自己鍛錬は積んで下さい、私はあくまで必要な時だけサポートに徹します」
「うん、頼りにしてるよアイ」
水が消えて少しの休憩をした後に昆虫のいなくなった階層をボス部屋まで進むと、そこには大量の魔石が押し流され纏まって積まれていた。
「これは⋯⋯」
「キレイに全部ここに流れてきてたんだね」
「何だ狙ってやったんじゃないのか」
「あはは、流石に無理だよそれは」
「これ、使わずにマジックバックに入れといていいんじゃないか? マジックバック使用の電池として必要だろ?」
「そだね、これで等分困らないだろうしそうしよう」
ジャラジャラと軽く100を越える魔石をマジックバックに詰め込んでからボス部屋を開けた。
「前回同様⋯⋯いないね⋯⋯」
「そりゃそうだろ、前回のトラウマと今回の件、この階層のボスとは二度と会えない気がする」
この階のボスは配下の虫から前回の悪魔が現れた報告を得た直後、身を潜めた。
その後、逐一報告をするよう指示しておいたが直ぐにそれが途絶え事態を察し、決して相対してはいけない存在が下の階層へ降りていくまで壁の中でやり過ごした。
「さて、次はゴーレム階層だな」
「そういえば今のとこアイは魔法方面に特化してるけど近接戦闘とかはどうなの?」
「近接戦闘に関しての能力は魔法ほど多くはありません、以降が主な能力として有用です。
『思考加速』による時間圧縮。
『魔法代理行使』による属性付与などによる魔法補助。
『電気適正付与』による高速戦闘
『事象、空間解析』『詳細鑑定』による戦場、戦況アナライズと弱点看破」
「やっぱりどれもチートじゃないか」
「凄いね、本人の高い身体能力が加わったら誰もついてこれないんじゃない?」
「『電気属性』の高速戦闘と『思考加速』だけでもう周り置き去りだろうな」
「身体と頭はそのその能力についていけるのか?」
「双方負荷はもちろんかかりますので長時間戦闘は避けたほうが良策です、身体の負荷はある程度は治癒魔法でカバーできますが脳への負担はカバー不可能ですので注意が必要です」
「短期決戦専用と捉えておいたほうが良さそうだな、まぁなんにせよ試してみないとわからないからゴーレムきたらやるぞ」
「分かりました」
少し進むと前回居たデッサン人形が佇んでいたので十三はアイに戦闘開始の合図を出した。
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