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何かやってしまいましたか?

初夢は富士山噴火でした。

一富士二鷹三茄子で縁起良さそうなのに噴火⋯⋯良いのか悪いのか⋯⋯

「大ニュース! 大ニュース!」


 月穂が叫びながら携帯を持って地下の祠に降りてきた。

 地下では丁度ルシフェルがログアウトして十三が心層から起きたところだった。


「早朝からどうしたんだ月穂? っと、うわ⋯⋯前回同様体の疲労すご⋯⋯」

「ちょっと早く目が覚めてニュースを携帯で見てたら、ほら! これ見て!」

「どれどれ⋯⋯アメリカの大企業『DREeM』が秘密裏に開発していたフルダイブ型VRデバイスの⋯⋯一般提供販売開始!?」

「対応ソフトやゲームのとこに『パンゲアオンライン』入ってるよ!」

「なっ!? マジで!? 前情報とか全くなかったじゃないか!」

「世界を驚かす為に全企業が守秘義務を完全に守り通してきたんだろうね」

「これは凄いぞ⋯⋯オイ聞こえてるか!? ルシフェル! ミカエル!」

〔うるせーな、聞こえたけど何が凄いんだ? フルダイなんとかって、ミカエル知ってるか?〕

〈VRって言ってたからゲームの何かだとは思うけどさっぱり〉

「今までVRゲームする時はデバイス付けて現実世界を動き回ってたろ? それがもう必要無くなるんだよ」

〔どういうこった?〕

〈全然分からないや〉

「そのデバイスがあれば精神のみがゲーム内に入れるんだよ、完全に仮想世界の中に入り込めるんだ、現実の体は寝たままで」

〔ゲームの中に!? 自由にゲームの世界を歩き回れるのか!?〕

〈凄い! そんなの出来るの!? 幻覚魔法じゃなくて!?〉

「魔法じゃない、科学だよ」

「ね、凄いよねこれは! 医療世界を優先に一斉に世界に供給されるんだって、量産体制も整ってるから価格も抑えられて順次販売されていくみたい。

 すでにVRデバイスを持っている人は交換で更に安く手に入るらしいよ」

「ほんとか月穂! 買う! 買わない選択肢は無い!」

〔今から買え十三! 今すぐだ!〕

〈お願い十三君! 頑張って手に入れて! 何か手伝える事ある?〉

「大丈夫、ムフフ⋯⋯こういう時のためにこの十三、軍資金は常々用意しているのだよ」

〔やるじゃねーか! 見直したぜ!〕

〈十三君、カッコよさが八割増しになってるよ!〉

「早速オンラインでポチろう!」


 十三はゲームにハマり出した頃、ゲーム内通貨として使えるかもしれない未来を予想し、ポツポツと出てきていた仮想通貨を小遣いから買っていたのだ。

 当時はまだ認知も人気もあまりなかったが毎年グングンと価値が上がり、目を見張る額の資産なっていた。

 ルシフェルとミカエルが高額キャラを購入出来たのもこの資金があったからだ。


「あれ? なんだこの支出⋯⋯??

 大金がパンゲアオンラインに使われてるんだけど⋯⋯」

〈あっ⋯⋯〉

〔あっ⋯⋯〕

「え? あっ?」


 何か心当たりがありそうな「あっ」を聞いてかなり不安になる。


〔十三、落ち着いて聞いてほしい〕

〈そうだよ十三君、先ずは落ち着いてからね〉

「そんな事言われたらよけい不安なんだけど?」

〈キャラクターメイキングの時にね、AIおすすめでメイキングしてもらったんだけど⋯⋯〉

〔知らなかったんだよ、そんなキャラだったなんてよ〕

「キャラ? ⋯⋯まさか!? あの高額レアの!?」

〈ご推察の通りだよ十三君〉

〔何か高けーらしーな〕

「オオイ!! 間違ったとか知らなかったで済む金額じゃないぞ!? しかも二人ともに!?」

〔うむ〕

〈うん〉


 自分もちょっと欲しかったネタかと思う高額レアキャラを無断で、しかも二体購入された十三は少し意識が遠くなった。


「お⋯⋯」

〈お?〉

〔お?〕


「お前らー! 使った金額稼いで返せー! ゲーム内トレードで貯めて返せー!」

〔そんな怒んなよ返すよちゃんと、なーミカエル〕

〈もちろんだよ、ゲーム内のアイテムを売れば良いんだよね〉

「ゲーム内のレアアイテムや人気アイテム、人気のカラーとかはトレードで売れるんだよ、ゲーム内通貨か仮想通貨で。

 なので仮想通貨で販売して返すように」

〈分かった、必ず返すから心配しないで〉

〔ササッと返してやるよそんなもん〕

「ハイハイ、頑張って返してくれよ」


 魔王と大天使は何もしていない現実世界でいきなりの借金生活に突入した。


「それにしてもフルダイブ型VRか⋯⋯可能だったとしても相当な未来だと思ってた」

「だよね、スマホの進化やVR、MRでも凄いと思ってたけどいきなりとんでもないのがきたね」

「やっぱ最近のAIテクノロジーの進化のおかげなのかもな?」

「私達にはそれもビックリなAI大賢者がいるけどねー」

「そうだな、アイがいればフルダイブ技術もすぐ作れそう⋯⋯だよ⋯⋯な⋯⋯?」


 ふと考えがよぎる。


「あのー⋯⋯アイさん? もしかしてだけど⋯⋯一枚噛んでいらっしゃる?」

「流石は十三様、素晴らしい直感力です。

 お二人にお会いする前に次元の隙間からインターネットに介していた際、自身の進化と知識の為でもありますが、人類や世界の役に立ちそうな構想や技術に対してバレないよう影から助力しておりました」

「⋯⋯アイ、あなた⋯⋯」

「影の開発者⋯⋯発見⋯⋯」


 手放しで喜んでいた大ニュースの起点が自分達の手元にあり、その事実をどう受け止めて消化しようかと二人は思案する。


「ダメだ、思考が全く進まない⋯⋯」

「だよね⋯⋯ひとまず忘れて上に戻ろう」

「あぁ、そうしよう」

「私、何かやってしまいましたか?」

「ファンタジー小説以外でそのセリフを聞く時が来るとは思わなかったよ⋯⋯」

「もう色々ありすぎて何に驚いて良いのか分からなくなってきたよね」

「ほんとその通りだな⋯⋯」


 文明進化へのシンギュラリティーの扉が人の手ではなく、自我を持った石によって開けられつつある事実がどうやっても飲み込めない二人は、顔を見合わせてただただ大きくため息をついた。


「あぁそうだアイ、今日も後でダンジョン潜るんだけど今回は初めてアイの能力全開で攻略したいんだ。

 今まで自分達の成長の為にあまり頼ってなかったけど、能力の使い方、タイミング、何が出来るか色々と知っておかないとなと思ってさ」

「もちろん喜んで。

 後で再度、私の能力の説明をしますので出発前に時間を下さい」

「分かった、宜しく頼むよ」


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